OK グーグル / 雪下岳彦

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今、最も多く口に出す言葉はなんだろう?ふと考えた。
間違いない、「OK グーグル」だ。
この呪文は、私の生活を大きく変えた。私の中では、まさに「産業革命」なのだ!

私は頚髄損傷による麻痺で手指が使えず、リモコンが使えない。
さらに、頚髄損傷の影響で汗がかけず、体温調整が難しい。
少し気温が上がると、体内に熱がこもり、「うつ熱」という熱中症のような状態になりやすい。
そのため、夏はもちろん5月くらいからはクーラーや扇風機が欠かせないのだ。

一番難しいのは、寝るときだ。
特に5月や6月は天気が不安定で、思いがけず夜間に気温が下がらないときが多い。
こういう天気の時、少し厚めの布団を掛けてしまうと、夜中に暑くなって目が覚めてしまうのだ。
かといって、夜中に妻を起こして布団を変えてもらうのは忍びない。
そのため、寝る前に天気予報を見て、夜間の気温変化をチェックし、最善の布団チョイスを熟考する必要があったのだ。

しかし、今はそんな必要がない。なぜなら、私には呪文があるからだ。
ちょっと暑かったら、
「OK グーグル、扇風機をつけて」
「OK グーグル、エアコンをつけて」
「OK グーグル、エアコンを22度にして」
寒くなったら、
「OK グーグル、扇風機を止めて」
「OK グーグル、エアコンを消して」
これでOKになったのだ。

私が呪文を唱える先には、Google Nest Miniというスマートスピーカーがある。
このスマートスピーカーが私の声を認識して、エアコンや扇風機といった家電を操作してくれるのだ。
ただし、スマートスピーカーだけでは家電の操作ができないので、スマートリモコンというインターネットを通じて家電のリモコン操作を可能にする機器が必要となる。
ちなみに、私が使っているスマートリモコンはNature Remoという製品だ。

Google Nest MiniとNature Remoを連携させると、「OK グーグル」の呪文が使えるようになる。
連携させる設定も、それほど難しい作業ではない。
機械関係は全くわからないという人には少し難しいかもしれないが、日頃からスマートフォンを使っている人だったら連携の設定も問題なくできるので、ご家族やお友達に設定をお願いすればいいだろう。

この2つを合わせても、1万円くらいで購入できる。1万円で産業革命級の進化ができるとすれば、決して高くはない。
以前、この手の操作を可能にする福祉機器として、「環境制御装置」というものがあった。
専用の機材を使うため、非常に高価であり、かつ業者さんにお願いして設置や設定をしないと取り扱えないような難しさがあったのだ。
もちろん、こういった環境制御装置が必要な方も少なくないが、スマートスピーカーとスマートリモコンだったら、もっと気軽に試すことができる。
また、スマートリモコンは、通常のリモコン操作をスマートフォンやタブレットの画面上タッチで可能にするため、複数のリモコンを1カ所で操作できるようになる。そうなったら、利用の幅も広げやすい。

スマートスピーカーは家電の操作以外にも使える。
私は音楽が好きなので、部屋ではスマートスピーカーで音楽をずっと流している。
気分に合わせて聞きたい曲を呪文とともに唱えれば、すぐに流してくれる。音量の上げ下げも呪文とともに指示できる。
これも、なかなかの革命だ!

テクノロジーは不可能を可能にする。
これを読んで興味を持った人がいたら、ぜひ試してほしい。
これを使えばできることが増えそうな人が周りにいたら、ぜひ紹介してあげてほしい。
革命は、すぐそこにある!

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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