よりよい組織づくりのために / 原えり(CLO 最高法務責任者)

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よりよい組織づくりのために / 原えり(CLO 最高法務責任者)

ラリー・グレイナーの企業の5段階成長モデルというものがあります。組織の成長と成長段階によって生じる5つの危機を示したものです。

分かりやすい解説文の表現を借りると、組織はゼロイチのスタートダッシュ期は、社長のリーダーシップと創造性が発揮され、社長の指示で社員が少数精鋭で一人何役もこなしながら成長していくそうです。しかしながら、社員が増えて30人規模になると、そのマネジメントに行き詰まりがみえるそうです。ここで必要になるのが内部管理とマニュアルです。

そして部や課が作られていき、管理職が役割分担とマニュアル化のもとに指揮・命令をして、社員がきちんと行動しているかを管理することで、効率的な運営による成長フェーズに移行していくそうです。成長の一方で、社員が100人規模になると、マニュアル以外のことはやらない社員が現れたり、ルールや指示と現場のリアルに生じた差に対して、現場の人間が自主的に判断して柔軟な対応をすべきか厳格なルールに従うべきかで迷いが生じるそうです。

この段階で必要になるのが権限移譲だそうです。事業部という概念が表れるのもこのフェーズだそうです。企業が事業部に課すのは目標と結果です。マネージャーは、細かい指示から解放され、どうやったら目標を達成できるかを考えるようになるそうです。しかしながら、業績管理による成果主義においては、社内での競争が激しくなっていったり、ときに社会的な影響も無視することがあるそうで、経営陣は現場が見えなくなり、組織全体のコントロールが難しくなるそうです。この危機は社員2~300人規模で訪れるそうです。

そして企業は全体最適が大事だと気づくそうです。全体最適をかなえるには調整が必要で、そのために企業は各部門に事前に計画を提出させ、実施に必要な予算とリソースを配分することで更なる成長をするそうです。官僚型ともいえるこの組織では、ビジネスモデルが確立され、いかに儲けるかとその儲ける仕組みをどれだけ波及させられるかが最重要課題となるそうです。よって社員は統一化や標準化された仕事を正確に行うことが求められ、組織はピラミッド型になっていくそうです。この第4段階で生じやすいのが、社員の視野が目の前のことにしか向かなくなったり、従来のやり方に固執したり、組織が先駆的なアイディアを異質なものとして一掃するといった、大企業病やイノベーションのジレンマだそうです。社員1000人くらいの規模でこの危機が訪れるといわれています。

そして、既存のビジネスモデルの安定化を図りながら、イノベーションが起こる組織体制を作っていく意識が生まれると、企業はグレイナー・モデルの第5段階である、協働でマネジメントするステージに移行していくそうです。ここでは、行動や結果といった分かりやすい指標で統制するのではなく、価値観や理念を共通価値とし、全体としては緩やかに統制されていながらも、個々の創造性を発揮できるような環境が作られるそうです。1972年に提唱されたこのグレイナー・モデルは、ここでまた新たな危機を迎えるとしていますが、その新しい危機を乗り越えた先の第6段階は示されていないので、第6段階は現在進行形で構築中ということになります。

今の株式会社土屋は、従業員規模が1000人を超えており、ここに至る過程でこのモデルにあるような危機を乗り越えてきたことも記憶に新しく、まさに第5段階の協働による成長のフェーズに移行しつつあると思うととともに、グレイナー・モデルの信憑性は実感をもって高いと感じています。一方で、企業全体では協働による成長のフェーズにあっても、事業別や地区別にみていくとそれぞれがこの5段階の下位のどこかにいるということは想像がつき、各チームにこれから訪れる成長とそのひずみが予見できるということになります。

そして成長という視点から、株式会社土屋は面白いほどに成長しているように感じています。新しいツールがどんどん導入され、能力のある方々が次々とステップアップし、新規事業の話は常に耳に入ってきます。また、社内で新規事業や新規部門を応援する文化がある一方で、当社を後方支援してくださる外部の方々もたくさんいて、社内と社外の双方からの協働による成長の段階にあることが誇らしく感じます。

当社がなぜこのように健康的に変革できるのかというと、社会的課題の解決を経営理念に掲げたからではないかと思っています。部分最適ではない全体利益を考えての調整を、一企業の利益ではない社会全体の福利に変換したということが、株式会社土屋で働くことの充実感をもたらし、形式主義にはまりすぎることなく協働を可能にしているのではないかと思うのです。

もちろん日常はきれいごとばかりではないのですが、よりよい組織づくりのために必要なことは、このような組織の成長モデルを知っておくことで、現在のフェーズと今後どのような危機が現れるのかを予測しやすくすること、そして当社が順当に成長しているのだという自負をもちながら、自分たちのやっていることが社会全体の福利に寄与することだと信じ続けることではないかと思います。

そして、この成長フェーズにも新たな危機が訪れることを意識しておくことが大切だと思います。新たな危機は、価値を共有する人しか組織にいられない、組織と社員を疲弊させる可能性がある、社員の自主性や専門性が必要となる等が挙げられています。現在当社でこの危機を回避するための施策は、社員の給与水準を上げること、教育の機会を作りその質を高めること、ブランディングを強化することが該当するのではと思います。グレイナー・モデルにある新たな危機の具体例があまりない現在、目の前の課題に対して必要だと思うことを実行して、軌道修正をしながらそれを地道に続けていくことがよりよい組織に不可欠だろうと思っています。

 

◆プロフィール
原 えり(はら えり)
1981年東京都生まれ。
東京都立大学経済学部卒業。
20代は法律系事務所にてOL、30代は介護・障害福祉分野で現場の実務や組織マネジメントを学ぶ。女性管理職応援中。
CLO 最高法務責任者

 

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