読書法の歴史② / 雪下岳彦

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インターネットの普及にともなう【IT革命】は、私の読書法にも革命を起こした。
前回のコラムで話したように、IT革命前の私の読書法は、目の前の書見台に本を置き、口にくわえたマウススティックでページをめくるというものであった。

2000年ごろ、ソニーからVAIO C1という超小型のノートパソコンが出てからは、正面にそのノートパソコンを置き、斜め横に書見台を置いて、本をめくりながらパソコンでメモを取ると言うことができるようになった。
アメリカ留学中は、このスタイルで学んでいた。
アメリカの大学の講義は宿題が多く、本を読む量が多い上に提出物なども多かったので、本を横に置きながらパソコンを使うというスタイルがもっとも効率よかったのだ。

アメリカの教科書は大きい上に分厚くて、マウススティックでページをめくるだけでも大変で、どこかしらの歯や顎、そして首がいつも痛かった。
余談になるが、アメリカの教科書はページ数が500ページ以上、重さにして2キロ近くあるものが多い。
1日に複数の講義があると、学校に持っていく教科書だけで5キロ以上になってしまう。
アメリカの大学生がリュックを背負っているのは、教科書が大きくて重いからだ。
私も車イスの背中にリュックを背負っていたが、教科書が重すぎてウィリーしそうになったことが何度もあった。

次第に、インターネットで調べられることが増えてきて、辞書などもインターネットで調べればわざわざ紙の辞書を開かないでも言葉の意味を調べられるようになってきた。
留学中にインターネットが発展し始めたのは、留学生活をかなり助けてくれた。

2007年ごろになると、電子書籍のサービスが始まりだした。
教科書重い問題は、アメリカでも問題になっていたためか、教科書の類いは早い段階から電子書籍化されていった。
しかし、この時はすでに帰国していたため、 「パソコン1つだけ持って大学に行く」という夢のような学生生活を送ることができなかったのが残念でならない。

ただし、当時はまだ紙の本がほとんどで、電子書籍で読めるものは、かなり限られていた。
その頃に導入したのが、いわゆる「自炊」である。
「自炊」とは、自らが購入した紙の書籍をスキャナーでデータ化して、パソコンで読むことだ。

本の裁断とスキャナーでの読み込み作業を妻が行ってくれたおかげで、読みたい本をパソコンの画面上で読めるようになった。
パソコンの操作もマウススティックを使っていたが、データ化してくれたおかげで、キーを押せば簡単にページめくりができるようになったのだ!
これこそが、私の読書法革命である!

最近では電子書籍化される本が増え、8割方の本は電子書籍で読んでいる。
気になったときに電子書籍を購入したはいいが、読まないままの状態が続く「積ん読」もできるという贅沢な環境だ。
しかも、電子書籍だと、積ん読しても机や本棚を占拠することもない。

明日こそは、どれか1冊を読もう!

そんな日が続いている。

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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