地域で生きる/20年目の地域生活奮闘記㉚~○○歳の誕生日に思うこと~ / 渡邉由美子

  • sns

私事で大変恐縮ですが、先日私は○○歳の誕生日を無事迎えることが出来ました。この歳にして情けない話なのですが、両親をはじめ姉、義兄、姪っ子、甥っ子全員からの誕生日プレゼントという事で、大型で最新式の有名メーカーの冷蔵庫を購入してもらいました。

今まで使用していた冷蔵庫は13年程使用していたもので、古いだけではなくとても小さく、作り置きの鍋やペットボトル等が入らないことも多く、不便であると感じていたので冷蔵庫をプレゼントに、ということでお願いをしました。

色は濃いブラウンで重厚感があり、ワンルームの狭い部屋には少々圧迫感が今はありますが、見慣れてくればそのような違和感もなくなるのではないかと期待しているところです。また、とても暑い夏を迎えるにあたり、自動で氷ができる製氷機がついている事が私にとっては便利だと感じており、暑い夏は大の苦手ですが、少しは夏が楽しみになりました。

私の家にはかき氷機があり、毎年夏には介護者と一緒にかき氷を作り楽しんでいるので、今年もかき氷づくりがはかどる事でしょう。市販のシロップだけではなく、さまざまなアレンジを試行錯誤しながら挑戦してみたいと思っています。
冷凍庫や野菜室、ペットボトル入れも大きいので、まとめて購入してストックしておくことが可能となります。そのため生活の水準が高くなると思い、楽しみにしています。

そもそも、自分にはこんなに長い人生があるという心づもりも元からなく、生きられるだけ生きてみようとやってきた暮らしでしたが、振り返ってみれば自分の体感としてはそんなに歳月が経っているとはとても思えないのが正直な思いです。未熟児で救命され、この世に生を受ける事が出来たこと自体無かったかもしれないと思うと、大きな感慨を覚えます。

年を重ねていくにつれて体力や気力が嫌でも落ちてくる中で、この一年は何を成し遂げながら生きていこうか?と、誕生日までの間にひとり思案しながら暮らしていました。考えあぐねた末に結局、私の出した結論はまずは今やれていることを着実にやっていくこと、そして人に身体を動かしてもらえば動けるような身体の状態のうちに、楽しい事や今しかできないと思われることを一つずつやっていこうというものになりました。

大きな目標などを立て、それに向かって日々を忙しく過ごすのではなく、小さな毎日の積み重ねが最終的な人生の充実につながってくると考えたからです。

また、成し遂げたいこととは別に、個人的な今後の人生の言動や行動で改めたいこととしては、計画性をもって行動できるようになりたいということです。普段私はやりたいことが際限なく出てきてしまうのですが、障がいゆえに日常生活動作に時間がかかるというだけでなく、家事も遊びも、健常者でいう労働に値する社会参加活動も完璧に全てこなしたいと思ってしまい、最終的に睡眠時間を削る結果を招いています。

健常者でもすべてを行う事はできないとわかっていても、諦めることがとても下手なので疲れすぎて、感情がつい爆発してしまうなどの失敗を繰り返してしまうのです。このようないつも余裕のない生活を送っており、常に時間に追われていると感じることが多く、計画的に行動することができれば余裕を持った気持ちで日々を送ることができるのではないかと考えたからです。

口をついて「時間が無い」とついつい言ってしまうので、時間は作り出すものと考えながら生活していきたいです。誰にでも一日24時間が平等に与えられているので、優先順位をつけて、要領よく生活していくことがより良い暮らしとなっていくのだと思います。これから日々を過ごして歳を重ねていくにつれ、今より元気な時も、今日より若い時もないのですから、気力を奮い立たせ、私にしかできない社会参加活動を精力的に続けていきたいと思います。

近年の介護者不足に関する問題が依然として私だけではなく、あらゆる重度障害をもつ人たちの生活を脅かしています。そのような問題をただ嘆きネガティブな気持ちでいるのではなく、ポジティブな気持ちで日々を過ごすために介護者不足の解決方法の模索をし続ける日々です。

「重度訪問介護従業者養成研修」や「統合過程」のモデルになり、講師として少しでも多くの人が重度訪問介護に携わることが可能となるように、サポーターを1人でも増やしていく地道な努力を重ねていきたいと考えています。

そして「介護と言えば高齢者」という固定概念を覆し、介助をしてもらうことができれば働くだとか、人生設計を自分で築くだとか、普通の人と同じように結婚し子どもを育て、それが終われば自分の老後を考える、みたいな普通のライフステージを歩むことを障がいを持っていたとしても実現できる、という事実を知ってもらいたいのです。

コロナ禍で経済が低迷し、オリンピックが終われば真っ先に福祉が切られる事態が起こると懸念しています。それでも私は「地域で当たり前に生きる」という根本原則を諦めないために、仲間と共に暮らし続け、より良い年月の積み重ね方をしていきたいと思います。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

  • sns