ツール・ド・フランス / 雪下岳彦

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「世界最大の自転車レースで、沿道の観客と選手が接触して落車」というニュースが世界中を駆け回ったことは記憶に新しいだろう。
もしかしたら、このニュースで初めて「世界最大の自転車レース」こと「ツール・ド・フランス」という名前を耳にしたり、映像を目にしたりした人も少なくないはずだ。

私は、このツール・ド・フランスが大好きで、かれこれ10年以上テレビでレースを追いかけている。
ツール・ド・フランスの時期が近づいてくると、なんだかソワソワしてくる。そんな存在だ。

ツール・ド・フランスは、約3週間かけてフランスを一周するレースである。
3週間のレース走行距離は、なんと3000km以上!
200名近い選手が、アルプス山脈やピレネー山脈といった山間部を経由しながら、ゴールとなるパリを目指すという壮大なレースだ。
イメージとしては、お正月に行われる箱根駅伝に近い。
箱根駅伝は2日間だが、あれを3週もの間、場所を移動しながら行う感じだ。

フランスとの時差で中継は夜間になるため、ライブで追いかけるのは難しいが、ビデオに録画しておいたものを必ず見ている。
毎日の中継は3〜4時間にわたるので、録画とはいえ3週間レースを追いかけるのは、なかなか大変だが楽しみの方がかなり大きい。

しかし、「ツール・ド・フランスの何が面白いのか?」を説明するのは難しい。
特に、レースは複雑な要素が絡み合っており、その構造を理解するには時間が必要だ。
正直言うと、私も最初はよくわからなかった。
それにも関わらず、このレースを見るようになったのは、美しいレース映像だ。

自然豊かなフランスを時速約40キロで移動するこのレースは、レース映像だけでなく周りの風景も美しく映し出している。
コース周辺の自然風景だけでなく、世界遺産や城などの建造物も、ヘリコプター映像を用いて紹介してくれるので、この映像だけで立派な旅番組のように観戦できるのだ。

事実、この映像は世界中に配信されるため、ツール・ド・フランスを開催する街にとっては、大きな観光プロモーションのような存在であり、PRの場としてもかなり力が入っている。
コースとなる街では、ツール・ド・フランスを歓迎する催しが行われていたり、畑で自転車を模したオブジェを作成したりと盛り上がりを見せており、スポーツと文化が融合した光景を楽しめる。
最終日、凱旋門をバックに選手たちがレースする姿は、毎年鳥肌ものだ。

これを書いている日は、レースの休養日。
今年のレースは1週目から盛りだくさんで、早くもお腹いっぱいという感じだ。
レースはまだ2週間も残っているが、今後はどういう展開になるのか?例年以上に想像できない。
明日からの2週目に備えて、今日は早く寝ることにしよう。

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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