地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記㉜〜誰もが着やすいファッション性のある洋服を求めて〜 / 渡邉由美子

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私は服装をあまり構うことなく、今まで生きてきてしまいました。
今から思えば人生損をしたと思うのです。何故かといえば、人が美しく装うことが生きる上での楽しみの一つだから、その楽しみを自ら放棄してしまうことになっているので凄くもったいないことをしたと思います。

洋服を着ることを躊躇する理由は、身体に変形があったりするし、立つことができないとどんなにかっこいいものを身に付けても不格好になってしまうことに劣等感に似た思いがあるためなのです。

細身でスタイリッシュになればなるほど身体を締め付けて窮屈感が否めない状態となります。長時間身に付けていることが苦痛となってしまうのです。

そんな状況で前向きな気持ちになれずに、いつしか私には縁遠いと感じるようになりました。こんな時には、洋服を買っても楽しめないのでお金がもったいないとさえ思っていました。

夏は涼しいのですが、身体の露出度が高いと障がいをさらけ出すような気がして地味な色、シンプルな形を求める傾向になり、究極的にはジャージのようなものが1番良いとさえ思ってしまう若き日もありました。
そんな理由で、若い時はおしゃれを興味の対象と思えないでいました。

しかし現在では、障がいを持つ人も着やすいファッショナブルな洋服が、普通に出回るようになってきました。

この原稿を書いている時期は、真夏のような暑さと梅雨本番の蒸し暑さが入り混じった体感が混在し、何を着ていたら良いのかわからない、重度障がい者には脱ぎ着の大変さの解消が難しい不快感の強い状態となっています。そんな中、衣替えをそろそろ考えたくなる季節となりました。

重度障がいという身体の不自由さが、私の日々のファッションを決める時にも横たわってきます。見た目に素敵なかわいい洋服、凛として見えるスーツの様な服装を時としては着たいのですが、脳性麻痺特有の筋肉の緊張をなるべく誘発しない様に日常生活を送る事がどうしても優先となり、着心地の楽さを求めたいと思う気持ちとのせめぎ合いをしなければなりません。

そんな障がい当事者の現状を踏まえて、大手の企業も高齢者や障がい者も着やすい衣服の開発に一部乗り出してはいます。大量生産が難しいのでコスト面が課題の一つとされています。

障がい者といっても麻痺の具合や変形の具合、その程度などによって、万人が着やすいというわけにはいかない個別性をどのように解決し、普通の洋服よりは障がい者に着やすい服となるのかがもう一つの大きな課題のように思います。

私のように衣服の着脱にも全面介護を要する重度障がい者は、伸縮性の良さ、そして通気性の良さなど様々なことを洋服に求めていきたくなります。

そして、障がい者にもTPOに合わせた服装が必要なことも社会参加活動を活発に展開するためには重要な要素となってきます。ましてやこれから重度訪問介護を使った就労ということを目指すためには、身なりをきちんと整えるという事は社会人として第一歩といえるマナーだと私は思います。

服装をきちんとすると精神的にもピリッとして、よしがんばるぞ!と気合が入るのは間違いありません。

車椅子に座っていると、どうしても背中やお尻の部分の服がめくれがちになってしまうので、それを起こさないために後ろ見頃が長くなっていたり、ズボンの股上が深いズボンなどが開発されて、だらしなく見えない工夫がなされています。

企業もそのようなものを開発する際のアイディアを出したり、実際に使っている人の立場を重視しています。このため障がい当事者が本当に必要とする実用的な洋服の開発のために雇用される時代となってきています。

それは本当に良いことだと思います。日常的な洋服のみならず、車椅子用のウェディングドレスやお色直しのカクテルドレス、成人式の着物まで多種多様に車椅子でも普通の人と同じようにファッションを楽しむことのできる状況となってきています。

そしてそのような商品開発をしていることを広く様々な人に知ってもらうために、ユニバーサルデザインの洋服のファッションショーも当事者モデルを使って行われています。

本当に時代は変わったと思う今日この頃です。実用性、機能性を重視したものとしては、手足がうまく伸び縮みできなくても着やすいダウンコートやジーンズなども数多く量産されるようになってきました。自分の体に合わせてイージーオーダーすることも昔よりは安価で出来るようになってきました。

ある程度のユニバーサルデザインの型は決まっている中で、幅だけもう少しゆったりしていたらもっと楽に着られるとか、ボタンではなくホックの方が着脱がしやすい、指をひっかけられるリングをつけてもらえれば自分でチャックの開閉が可能になり助かるみたいな要望が少しずつ叶うようになってきています。

市販のものも上手に活用して、障がいゆえに配慮を求める部分は、障がい者用に開発されたものにうまく組み合わせることで楽しく豊かに衣服を選択していくことが良いのだと思います。

たとえベッドから起き上がることがなかなか難しい障がいで、1日ベッド上で過ごすようなタイプの障がい者も、日中は洋服に着替えて過ごすことによってメリハリのある楽しい生活が実現でき、今度はお化粧やマニキュアをして友人を家に招き、楽しんでみたいという意欲の源になる場合も容易に想像できるのです。

夏は身軽になれる季節なので、新しい発見を求めて爽やかな服装を楽しんでみたいと思う今日この頃です。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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