NBAファイナル / 雪下岳彦

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ツール・ド・フランスも真っ盛りの時期であるが、アメリカのプロバスケットボールリーグであるNBAもクライマックスを迎えている。
全30チームを東西2つのカンファレンスに分け、成績上位の8チームずつがプレーオフトーナメントに進み、それを勝ち抜いた東西のカンファレンス王者がチャンピオンの座をかけて争うのが、NBAファイナルだ。

今年のNBAファイナルには、フェニックス・サンズとミルウォーキー・バックスが出場している。
ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスといった大都市のチームではないため、わりと地味な顔合わせとなっているが、同じ年にNBAに加入した2チームという不思議な縁でつながるチームの対戦だ。

私はアメリカ留学中に両方のチームの試合を見たことがある。
ミルウォーキー・バックスの本拠地であるミルウォーキーはアメリカ中北部にあるビールで有名な町だが、残念ながら行ったことはない。
ただ、留学先のサンディエゴからロサンゼルスまでNBAを見に行ったときに、地元クリッパーズの対戦相手がミルウォーキー・バックスだった。

当時のバックス、クリッパーズにはスター選手がおらず、両チームとも冴えない成績だったため、盛り上がりに欠ける試合だったが、バックスにはマイケル・ジョーダンと共にNBA3連覇を果たしたクロアチア出身のトニー・クーコッチ選手がプレーする姿を見られて、ちょっとテンションが上がったという思い出がある。

一方、アリゾナの本拠地で見たフェニックス・サンズの試合は、人生でも一二を争うほどエキサイティングだった。
3月はアリゾナでメジャーリーグのキャンプが開催されていて、せっかくの機会だからとサンディエゴから車で7時間かけてアリゾナに行っていた。
サンディエゴからアリゾナまでは、砂漠を貫くフリーウェイをひたすらまっすぐ走り続けるという貴重な体験だった。

お目当てのサンディエゴ・パドレスのキャンプに連日通っていたところ、今晩フェニックス・サンズの試合があるということを知った。
この年のサンズは絶好調で、チームは快進撃を続けている状態。
しかも、対戦相手は前年のチャンピオンチームだったデトロイト・ピストンズで、全米に中継される一戦とのこと。

これはぜひとも見たい一戦だったが、もちろんチケットは持っていなかったので、ダメ元でアリーナへ。
試合はすでに始まっていたが、なんとか車を置いて、チケットオフィスに聞いてみたところ、、、パソコンをのぞき込んだカウンターの人から思わぬ言葉が。
「あるよ」

車いす席が1席と、ちょっと離れた場所に同行していた妻の分の1席、それでいいならチケットあるよとのこと!
まさかの展開にOKと即答してチケットをゲットして、アリーナに飛び込んだ。
その時のアリーナの雰囲気は、鳥肌ものだった!

すり鉢状の客席は超満員で、絶え間なくサンズへの声援とピストンズへのブーイングが鳴り響き、声援に応えたサンズが前年チャンピオンのピストンズを撃破!
興奮のあまり写真を撮る余裕もなく、あっという間に夢のような時が過ぎていった!
これを超える体験は、未だにないのではないかと思う。

そんな縁があるので、このNBAファイナルはフェニックス・サンズを応援している。
まだ一度もNBAチャンピオンになったことがないサンズに、神様は微笑んでくれるだろうと信じている。

フェニックス・サンズのアリーナを出た後、思い出したように撮った写真

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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