地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記㉝~コロナ禍でのオリンピック・パラリンピック開催に思うこと~ / 渡邉由美子

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この文章を書いている時は東京オリンピックの開会式の一週間前を切っている時期です。聖火リレーはすでに最終地点の東京にきており、実感は未だに湧かないものの、オリンピックは間近に迫っているようです、

このいよいよオリンピックという時期ともなれば、テレビのニュースやSNS上では日本で開催されるオリンピックでなくても、どの競技でどこの国が金メダルをいくつ取れるかなどの予想や、どんな競技が日本選手は強いのかといった話題で持ち切りな期間であるはずです。

しかし、全くと言って良いほどそのような報道はなく、大会を開催するにあたってのコロナ対策や暑さ対策、参加する選手の行動規制やPCR検査の体制、空港での水際対策などのことしか報道されない毎日です。

そして、この期に及んでも、緊急事態宣言下であること、その宣言の効力がない状況で利権のために開催されることは人命を無視した行動であることを根拠に、いまだに東京オリンピック・パラリンピックの中止を根強く訴える世論の声は大変大きく、紛糾しています。

そんな異例のオリンピック・パラリンピック開催のドタバタ劇の裏側で、デルタ株を中心としたコロナウイルスの変異株によるコロナ感染者の再拡大は留まるところを知りません。

連日東京における感染者数の増加に関するニュースが取り上げられていて、開会式の日には2000人を超える感染者を数えているのではないかという話題も取り沙汰されています。

このオリンピックを目標に日々努力を重ねてきた選手達は何も悪くないのにも関わらず、その頑張ってきた功績を報道されることも称えられることもないままに、「開催した」という形だけを残そうとしている強引な政治の力で押し進められる東京オリンピック・パラリンピックに対しては疑問を持たずにはいられません。

たしかに、このオリンピックを開催するにあたって建設された様々な競技場や施設への莫大な建設費を回収するといった目的や、他国に対しての日本の魅力を伝えるための開催ということは分かっています。しかし、オリンピックを開催することによって一般国民の生活に及ぼす影響が多大に考えられます。

例えば、コロナ感染対策として有益とされているワクチン接種はオリンピック関係者に対する接種が最優先となり、ファイザー社製のワクチンの国民への供給が私の住む地域ではもうすでにストップされ、モデルナ社製のワクチンも残りわずかとなってしまいました。

政府のオリンピックまでに蔓延を防ぐために進めるといっていたことも達成できないまま当日を迎える結果となり、このままいくと医療従事者がオリンピックの期間中オリンピック関係者の対応に当たることとなり、かねてより懸念されている一般医療も含めた医療崩壊の状況下となるのか、と思うと恐ろしいことと感じます。

政府の判断の間違いを後で評価した時には、こういった医療崩壊などのオリンピックによって及ぼされたことは政府による采配ミスから来る人災として取り扱われることになると思います。

その他にも、公共交通機関のダイヤを一部変更して、臨時列車を走らせたり、終電の時間を普段は早めたりする政策を進めているにもかかわらず、この開催期間中だけは深夜1時ごろまで首都圏に電車を走らせることとなっているなど、矛盾だらけの準備となっています。

実際に選手は移動できる範囲が極限まで制限され、管理された選手村での生活を余儀なくされるという状況の中で、誰がその深夜に走る電車に乗る事を想定した施策なのでしょうか。疑問しか浮かばない形となっています。

それでも各競技に出場する選手の立場からすれば、これを目指してずっとたゆみない努力をしてきて今があるのですから、持てる力を全て発揮して日本がよい成績を残してくれる大会になれば選手冥利に尽きるのだと思います。

本編のオリンピックですらこのような状況で、オリンピックの後開催される予定のパラリンピックは、オリンピックの2週間後の開催という事もあり、オリンピックによる感染者数のリバウンドと新規感染者数として数えられる時期が重なってしまうことで中止の可能性もあるといった情報も流れてきています。

パラリンピックがこのまま影の薄い存在で終わるのかと思うと、障がい者という人々が普段から置かれている社会的地位をそのまま物語っている気がして、何ともやりきれない思いに駆られるのは私だけではないはずです。

オリンピックが終わったあと日本の国が戦時下のような社会状況へ変容するのではないかと囁く一部の情報や、コロナ復興税なるものの新たな税金の創設により多額の税金が万人から徴収されるようになることはもう避けられない事実?なのかもしれません。

これ以上、税金や就労困難による生活困窮で死者が増えない事を祈りつつ、税金に頼って生活している私たちの暮らしが大きく脅かされることがないことを祈るばかりです。

みなさんの血税により生かされている重度障がい者は、私も含めて襟を正して、できることはなるべく自助・共助で補いつつ、今までと変わらない生活の営みを続けていきたいと切に思います。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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