信頼について / 原えり(CLO 最高法務責任者)

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信頼と信用は違うだろうなと思ったところ、信用とは過去の実績から判断して信じること、信頼とは未来の行動を信じて期待すること、と解説されていました。そして信頼について更に自分なりに考えてみたところ、①信用ありきの信頼、②信頼に足る信用の積み重ね、③形式的な信用・信頼、という種類分けができるのではと思いました。

①信用ありきの信頼

オーソドックスな信頼で、信用なくして信頼なし、信頼は信用の積み重ね、という言い回しにあるように、時間をかけて少しずつ蓄積していく信頼です。この人のここは信用できる、等の条件がつけられることも多く、その条件とは、心技体の要素に大別されるように思いました。

具体的には、心はソフト面で、コミュニケーション力です。リーダーシップ力、フォロワーシップ力、謙虚さ、ユーモア力、傾聴力、察知力、洞察力、忖度力、推察力、優しさといった能力です。技は知識、能力、経験値であり、説明力、資格、実務経験、専門的知見、幅広い知識がこの要素です。そして体はハード面で、体力、忍耐力、心と体の回復力、鈍感力、自己覚知の程度、他人と自分の感情に振り回されない力、他人の批判をかわす力、苦手なことや嫌いなことから心身を守るために適切に逃げることのできる逃避力、が挙げられるだろうと思いました。

また、信用の条件にはポジティブの信用もネガティブの信用もあるように思います。先の心技体において、例えばリーダーシップは難しい、知識が乏しい、体力が人並み以下、といった負のベクトルの信用もあるように思います。技の項目は努力で改善することもできますが、心と体の要素はその方の持って生まれたものにも依るように思いますので、取り繕うよりは苦手を認めた方が逆に信用になるように感じています。

この信用ありきの信頼は、時間はかかるものの、心理学でいう単純接触効果も追加されて、地道で確実な信頼の獲得の方法と考えられます。

②信頼に足る信用の積み重ね

これは、初めに信頼があり、その信頼に足るように信用を積み重ねていくパターンです。人事昇給が実績に基づく信用ありきの信頼で行われるとしたら、こちらは新入社員の採用面接であり、まずは信頼して実績は今後に期待、となるものです。

採用面接は典型的ですが、短い期間で誰かと信頼関係を結ばなければならない状況にあるときは、応募側は程度の差こそあれ、過大評価や拡大解釈を交えたり、あえて欠点を明かさない傾向にあり、採用側も空席を埋めるという目的があるので、双方が相手をよく知らないままスタートが切られてしまうことが多いように思います。応募側のアピール力が長けている場合や採用側が業務内容を十分開示していなかった場合、ミスマッチが起こりやすいように感じています。

一方で、マッチした時は双方に強い信頼が築けるような気がします。応募側としては、実績のない自分を信用してくれたことへの感謝が上乗せされ、採用側としては、賭けに勝ったような高揚感が加味されるように思います。ハイリスクハイリターンの結果の信頼ともいえるかもしれません。

③形式的な信用・信頼

社会的地位の高い人の意向、上司の下した判断、その場の雰囲気に従わなければならない状況で生じる信用・信頼です。自分としては信用・信頼することに疑問があっても、すべてを覆すような反論は持ち合わせていないので、致し方なく賛成に一票を投じたり、そもそも議題に対する情報を持ち合わせていなくて賛同する根拠も異論を唱える理由もないときは、長いものに巻かれるようにそれを信用・信頼することになります。

このような形式的な環境要件により生まれた信用・信頼は、本質的な信用・信頼に変わるまでに時間がかかるように思います。他部署から異動してきた新任管理職が既存の職員との信頼関係を構築するのに実はとても時間がかかるというようなことが典型例ですし、商品陳列棚の一番目立つところにある商品がなんとなくよさそうに見えてしまうこともこの信用・信頼に類推されるかと思います。

また、この類型は形式的なもののため、信用とも信頼とも明確な区別がつけられないということになると考えます。

 

以上の、①信用ありきの信頼、②信頼に足る信用の積み重ね、③形式的な信用・信頼、は人だけでなく企業にも同じことがいえると思います。何百年も続く老舗企業には信用ありきの信頼があり、創設数年のベンチャー企業は信頼に足る信用を積み重ねることが必要で、宣伝広告に魅せられてしまうことは形式的な信用・信頼に該当します。

私たちの株式会社土屋は、創設1年未満の会社であり、社会的にはまだまだです。今後どこからみても信用も信頼もされる企業になれればと思います。

 

原えり(はら えり)
CLO 最高法務責任者

 

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