私が介護の仕事を始めた理由 / 外村優樹(ホームケア土屋 九州南部)

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私は高校、専門学校と工業系の学科を専攻し、自分が将来介護の仕事に就くとは夢にも思っていませんでした。
私は専門学校を卒業後は地元の工場に就職し、何気ない日々を過ごしていました。
ところが10数年前の世界的な不況の際に勤めていた会社が事業を縮小する事になり、年末に職を失うことになりました。
しかしまだ、「所詮テレビの中の出来事」「都会ほど就職には困らない」「なんとかなるだろう」と楽観的に考えていました。
年明け、それが甘い考えであったと痛感しました。

ハローワークには数百メートルの渋滞、1つの求人に数十人から数百人単位の応募。応募しても企業の担当者から「応募が多すぎてまともに選考が出来ない、不採用でも連絡が出来ないがそれでも良いか?」と言われました。まともに仕事を探しても見つからない。
就職活動に完全に出遅れたことに気づきました。

それから貯金を切り崩しての生活が数ヵ月続き、別の職種を視野に入れ考えていた時、テレビで介護が人手不足というニュースを目にしました。翌日ハローワークの求人を探したところ、特別養護老人ホームの夜勤の仕事を見つけました。「無資格未経験可」という夢のような言葉、すぐに応募しました。応募者もほとんどおらず、トントン拍子で面接に進み、面接したその日のうちに採用連絡していただきました。

しかし、安心したのもつかの間、なんの準備も無しに介護の現場に出た私は本当に何もすることが出来ませんでした。特養の夜勤というなかなかハードな介護現場に自分の無力さを思い知りました。しかし、先輩職員さんからのアドバイスで利用者の方とコミュニケーションを取り、食事の支援をした時に小さな声で「ありがとう」と言われました。それが初めて利用者の方から言われた感謝の言葉でした。その言葉で自分の心が少し楽になったのが分かりました。

その日、自分はほとんど役には立たず、先輩の足を引っ張ってばかりでした。
この初日の夜勤で自分の未熟さを嫌というほど感じ、このまま介護の仕事を続けられるのか?という葛藤は凄くありました。ただ、指導してくれた先輩職員さん、優しく接してくれた利用者の方々を思うと大変な仕事ではありましたが不思議と嫌ではなく、こういう仕事も悪くないなというのが正直な感想でした。

これが私が介護の仕事を始めた正直な理由です。

きれい事無しに「生活のため」という、介護の仕事に最初から誇りを持ってされている方からは叱られるかも知れない理由ですが、やってみて介護の魅力が分かりました。
自分が10年以上続けられているのはそれだけ魅力のある仕事だからだと思います。

 

外村優樹(ほかむら ゆうき)
ホームケア土屋 九州南部

 

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