地域で生きる/21年目の奮闘記㊲~台風の季節到来に思うこと~ / 渡邉由美子

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二年前の千葉県南房総地域を中心に甚大な被害を及ぼした台風19号の時も、直撃すると言いながら電車が止まるような事はないだろうと高を括っていた部分がありました。その事があって以来、台風シーズンは私にとってドキドキの季節となりました。

人間の力ではどうすることも出来ない気象条件は多数他にもあります。私の家に来て下さる自薦の介護者は遠方からきてくださる方も多いので、二年前の時は本当に直撃するとわかった時点でひどくならないうちに、私の家に前泊してもらおうかと思いましたが、私の家ではやはり勤務感は拭えず辛いとの介護者からの申し出ももっともで、軽視することも出来ない議論でした。

これを災害時の前例にしないもっと普段から対策を考えることを約束するなかで、近くのなるべく安価で泊まれる宿を前の日からおさえてその時をしのぎ、いつも通りの介護者交代をする事が出来ました。

気づけば、あれから二年も経ち、同じ事を心配している自分に戸惑いを隠せません。結局その時々で、誰が来るか?によって同じ対応で済むとは限らないので、お互いが安全に少しでも気持ちよくその時をやり過ごす事が出来るように相談するしか根本的な解決策はないような気がしています。

最大の自助努力としては、普段から自転車で来られる距離の人も探さねばと思いつつも、見つけられず、また同じ心配の繰り返しとなってしまうのが何とも言えず、苦しいところです。人材の質を担保し、生活のクオリティーを重視して介護者を探していると、近い人ばかりではなくなってしまうのです。

毎度思うことは、電車が止まってしまって、物理的にどう頑張っても来られない状況になってしまった時、その日一日をどう生き延びるのかということです。数々のシミュレーションは折に触れ、考えていますが、暴風雨や突風による建物の倒壊の危険性と、落下物による事故やケガのことを考えると、自分が介護に困るということだけに執着して、絶対に来なくては困るとはいえない側面も多々あります。

交代をするはずの前の時間の介護者をどこまで非常事態ということで残業して頂くか、という話にもなってきますが、勤務時間が終わればその人にはその人のスケジュールがあり、家族もあり、非常時ともなれば、その残してきた人たちが心配で一刻も早く帰りたいという心理状態もあるわけなので、これまた私の都合ばかりを押し付けるわけにもいかないのです。

そんなことを堂々巡りに考えていると、どうにもならない現実の中で、心がおかしくなってしまいそうな時が毎日の暮らしの中でたくさんあります。日頃の人間関係を良好に保っておくことで、この人は助けてあげたいと思うような関係性を保ち、お互いにどこまで譲り合えるのか、ざっくばらんに話し合えるような雰囲気にしておけることで、救われる生活もあるのかもしれません。

私は元来の心配性で、ケセラセラなるようになるとは何事においても思えない性格なので、備えあれば憂いなしと用意周到な準備をして万端に生きられるようにしたいと思います。台風の備えで言えば、ぬれない丈夫な雨具を用意したり、膝の上くらいまであるレインシューズなどを複数用意して、何かの役に立てばと思っています。

お金で全てが解決できると思っているわけではありません。でも、現金をある程度蓄えておくことで、危ないからタクシーに乗ってきてということも選択肢に入れられるようにしておきたいと思っています。

今は台風だけではなく、政策ミスとも言っていいほどにオリンピックを強行したことで、コロナウイルス感染症の患者が再び今まで例を見ないスピードで増え、ワクチンを接種した人が増えているにも関わらず、全国的に病床が逼迫するほど医療体制が厳しくなっていることをニュース報道で見るにつけて、介護者を頼まなければ生きていけない私を含めた重度障がい者は、どのように生きていったらよいのかと再び悩みながら、それでも生活を止めることはできないので、なるべく最低限の生活をし、外出は控えるなどの従来の方法を継続しながらこの事態が一日も早く収束したり、治療薬がインフルエンザのタミフルのように開発されることを望んで止みません。

そういうことをさまざま総合的に考えていくと、重度障がい者は生きているだけで十分仕事をしているのだから、堂々と生きていいと教えてくれた、自立生活の先駆者たちの言葉を今は自分のものとして、しみじみとかみしめることが出来ます。

雪、台風、目に見えない感染症、健常者でも状態によっては仕事がなくて食べていけない世の中を、どうこれからも命ある限り生き抜いていくのか、悩みは尽きませんが、めげずに支えてくれる人々と共に、地域で生きることにこだわって、自分らしいオリジナリティに溢れた生活をこれからも継続していきたいと思います。

同じような立場で暮らしている仲間の皆さん。大変さをたまには吐き出せる場所を作り、強く生き抜いていきましょう。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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