地域で生きる/21年目の奮闘記㊳~重度障がいの理解はまだまだ進まない~ / 渡邉由美子

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私は日々に様々なことを感じながら生活しています。ここ最近、特に強く思っていることとして、重度障がいの世間の理解は現状、まだまだ進んでいないのではないかということです。

先日、接種券はとうの昔に届いていたものの、予約がなかなか取れなかったこともあり、遅ればせながら新型コロナウィルス感染症のワクチンを打ちに指定された集団接種会場に向かいました。それが一回目の接種だったので、九月初旬にもう一度同じ場所で接種を受けなければなりません。

よくメディアや周りの接種済みの人が言っているような腕の痛みや倦怠感、高い発熱といったような打った後の副反応を心配していたのですが、打った日から接種部位に少し痛みを感じたのと微熱が一晩出たくらいで、思っていたよりそちらの方は軽く済みました。

ところが、接種を受けること自体にまたしても障害に対して無理解であるが故の困難が待ち受けていました。接種会場そのものは大変大きな建物でしっかりスロープもあり、移動に関しては問題がないような場所でした。これならば安心して接種を受ける事ができると安堵したのも束の間で、接種が滞るような事態になってしまいました。

接種を行う際には、接種用の囲いが設置されており、接種希望者は流れるように等間隔で次から次へと接種するのですが、私の大きな電動車椅子が接種用の囲いの中に入れず、後ろの人が滞ってしまいました。そのため、あらかじめ準備されていた接種場所ではワクチンを打つことが出来ず、具合の悪くなった人が一時的に保護される救護所で接種してもらうことになりました。

中には心無い言葉もあり、同時刻に接種を希望していた方から「この猛暑の中、こんな接種に大変な人が集団接種会場になぜ来るのか?連れてくる家族も家族だ!」と聞こえるように言われて、新人の介護者が戸惑うといった一幕もありました。

こんなことはこの日だけに限ったことではなく、日常茶飯事にあることではあります。ただ露骨にこのようなことを言われたのは久々だったのでリアクションに困り、改めて世間の重度障がいへの理解について考えさせられるきっかけとなりました。

また、接種後にもこれに似たような出来事がありました。接種が終わったのちに自宅に帰るために都営バスに乗車し、自宅近くの最寄りのバス停で降りようとしたときのことです。私はいつも都営バスに乗降する時には、運転手さんがスムーズに乗り降りをサポートできるよう、ドアから前向きに降りるか後ろ向きで降りるかを運転手さんとあらかじめ話しています。

この日も、こういったいつもの会話をしていた時に、同じバスに乗っていた乗客の一人から、「前からでも後ろからでもいいからとっとと降りろ」といったような言葉を投げかけられました。

私自身は長年の社会生活の中で、幾度となく同じ経験をしてきているので、「すみません」と笑顔で会釈しながらいつもの急げないペースでゆっくりとバスを降車しましたが、ワクチン接種会場での出来事と立て続けにこのような私の行動を助けているだけの介護者が責められてしまうことが起こったということもあり、やはりこの仕事は難しいのではと考えてしまった介護者のフォローの方に神経を後でとられてしまいました。

同じ脳性麻痺という障がいでも、見た目だけでは分からない知的障害や、各人がもっている合併症はさまざまあります。合理的配慮がこれだけ法制化されたり、一般の人の耳にも重度障がいに関する情報が届くように伝えられる社会になったとしても、重度障がいに対する真の理解は難しいと感じました。

そんな中で、理解が足りないような対応ばかりではないことも最近あり、心がほっこりするような出来事がありました。

それは、某コーヒーチェーン店のフラッペを飲みに行こうと思い、立ち寄ろうとした時のことです。期間限定のドリンクを求めて行ったのですが、一軒目では入り口に20cm程の段差があったり、二軒目では1階は注文して飲み物を受け取るだけで飲食する場所は建物の2階になっていて、階段しかないその場所では車椅子で2階に上がって店内で飲むことはできませんでした。

そのため飲み物をお持ち帰りし、外で飲もうと思ったときに、入れなかったお店の人が出てきて下さり、「この店舗の近くに通りに面したもっと大きな店舗があるので、そちらに今連絡をして車椅子の方がご来店することをお伝えしておきましたので、そちらの方にお席が準備できています」と教えてくださいました。

実際紹介された店舗に行ってみたところ、ちゃんと車椅子で座ることができる席を予約席として用意してくださっており、大変嬉しく、そしてありがたく思いました。

人の優しさがプラスされたドリンクはより一層格別な味であり、堪能することができました。設備的に決して車椅子が通りやすいようにはなっていなくても、最終的には人の配慮によってできることの幅が全く違ってくることを再認識した出来事でした。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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