障害を持つ医師 / 雪下岳彦

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記事を見て驚いた!

“28日にあった東京パラリンピックのトライアスロン女子(視覚障害)で金メダルに輝いたスペインのスサナ・ロドリゲス選手(33)の本職は医師だ。”

コロナ下「希望になる」パラトライアスロン金 医師のロドリゲス | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210830/k00/00m/050/018000c

最近、ラグビー日本代表だった福岡堅樹さんが選手を引退して順天堂大学医学部に入学したり(私の後輩になります)、柔道の朝比奈沙羅選手が獨協医科大学医学部に入学したりと、医師の道へ進むアスリートが増えてきている。

そして、東京パラリンピックで金メダルを獲得したロドリゲス選手は、先天性白皮症で視覚障害を持ちながら、医師としても活動しているそうだ。
本当にすごい!

日本では、障害を持つ医師は少ない。
二十数年前、私が医師国家試験を受ける際に聞いたのは、「私のような四肢麻痺という重度の身体障害を持った医師は、全国で3人目」ということだった。

私が試験を受けるときは、パソコンを使った回答入力システムの利用が認められ、試験会場の別室で受験した。
この時、会場で車いすを使用した受験生にお目にかかった。
自走式の車いすを使っていたので、手は使える方だったのだと思う。
自分以外にも障害を持った方が国家試験を受けていることは、かなり励まされたのを覚えている。

2001年に医師法が改正され、視覚や聴覚に障害を持つ人が医師免許を取る道が開かれた。
改正以前は、「目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者には免許を与えない」とする絶対的欠格条項が設けられていた。
しかし、この規定が相対的欠格条項に変更となり、業務を適正に行えるかに応じて免許取得が可能となった。

(参考) 「障害者に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の一部を改正する法律」について
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n242/n242_01-01.html

それ以降、障害を持つ医師の数がどう増えているかについて正確な数はわからないが、あまり多くはないであろう。
今後、少しずつでも増えていってほしいと思っている。

数年前から、筑波大学附属視覚特別支援学校で理学療法士(PT)を目指す学生さんの講義を受け持っている。
ケガをしてから、理学療法士さんには、ずっとお世話になっているので、少しでもお役に立てればと思っている。

きっと、人の痛み・苦しみがわかる医師や理学療法士になるはずだ。

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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