「飲む」って意外に大変かも…。 / 鶴﨑彩乃

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私は、笑い上戸である。「笑顔がいいなぁ〜。」とか、「ホンマに元気もらえるわ。」などと言ってもらえることも多いけれど、悪魔がやってくることもある。腹圧のコントロールがしづらい私の身体は、頼んでもないのに発射ボタンを押されることもある。

特に、小学校低学年の頃はよく押されていたので、それが母にバレたときには、「まぁーたおしっこしてぇ〜。コラッ!」とそれはそれは大きな雷が落ちた。まだ幼かった私は、その般若を目の前に「わざとじゃないぃぃ〜。」と泣き、火にドバドバと油を注いでいた記憶がある。

それがきっかけで、私の身体は自分の思い通りにならないことが多いのだ。と心に深くインプットされたと思う。そして、母に怒られないように、介助者の間(ま)を観察してトイレでの成功率を高められるようにと、とった作戦が「水分をとらない」というものだった。

作戦と命名されるまでもないようなものだが、みるみる成果を上げていった。その「我慢」を続けていくうちに、いつしかそれが習慣化し、日常となった。そして、オムツを日常的に履くことも増え、一人暮らしに生活の形態を変えてからは、「水分制限」という特技は、大活躍だった。

サービスのない時間が長時間になっても、あまり不快感を感じなくなっていた。そんな感じで本当に息をするレベルで「水分制限」をしていた頃、1人のアテンダントさんから「水分摂取量が少なすぎる!」と言われた。

ちなみに、言われたときの水分摂取量はだいたい冬で800mlぐらい。真夏で1200ml。なんだろ、数字にするとゾッとするな。でも、人が近くにいたらもうちょっと飲んでたかな…。プラス450ぐらい、ちょっと盛ってんな。たぶん。

そんな生活を送っていたら去年の夏、脱水が原因で緊急搬送された。そのことを契機に水分制限をやめて、こまめに水分をとるようにという方針にみなさんのお力をお借りして変えていくことになった。

しかし、これがめちゃくちゃ難しい。20年ぐらいかけて構築してきた習慣を変えなくてはいけないのだ。そして、「飲む」ということを意識的に忘れ続けてきた身体にとって、真反対のことをするように仕向けるのは、困難を極める。

あと、水分を取りはじめて分かったことがある。ずーっと飲んでいると、飽きるし、しんどいのよ。飲むという行為が…。私だけ?

また、入れる量が増えると出ていく量も増えるわけで、年々尿意の感覚が薄くなってきた私に1番早くダイレクトに届く感覚は「寒いっ。」つまりは、服が濡れてから気づくのである。そして、寒いことも感覚としては一過性のもの。したがってすぐ忘れる。しかし、寒いまま放置された身体はそれが原因で、気管支炎になった。

優秀な相談員さんとアテンダントさんたちによって、すぐさまお昼枠のケア時間の増加とパットを追加でつけることになった。この、「パット様」。私の身体には少々曲者でして、膨らむたびにちょーっとずつ動くのである。そして、とあるイタズラをする。

そのイタズラというのが、毛を引っ張ること。もうね。これが、拷問かってぐらい痛い。しかも、いつ起こるか分からないし、私は泣くのを堪えることぐらいしかできない。うちのアテンダントさんの中に2人だけ名手がいるのだけれど…。デリケートな部分の情報共有って難しい。動画撮れないほど早技だしな…。試行錯誤の毎日です。

「何、書いてんねやろ。」って自分でも思う部分ですが…。アテンダントさん達に知って欲しかった部分ではあるのでコラムにできてよかったと思います。そして、まさかの続編有りになってしまいました。よかったら後半も読んでください。

 

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

 

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