緊張の糸 / 雪下岳彦

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コロナウィルスの拡大が収まり、緊急事態宣言も解除された。
理由はまだはっきりとわからないところはあるが、その後も感染者の減少が続き、ひとまず一息つけるような状態になっている。
秋という季節も相まって、行楽地にはたくさんの人が訪れにぎわっているようだ。

一方で、 コロナ禍という、かつて経験したことのない緊張状態が1年以上も続いた中で、少しその不安な状況が落ち着いてきたこのタイミングで、心身の不調を感じる人も増えているようだ。
緊張の糸がふと解けたタイミングで起こる、一種の燃え尽き症候群のような感じだろうか。

コロナ禍での燃え尽き症候群といえば、特にコロナ診療に携わる医療従事者に多いと言われている。
しかし、医療従事者に限らず、真面目に感染対策に取り組み続けていた人も、精神的に疲弊して、意欲が低下したり、心身が疲れ果てたような状態となる。

このような症状が強い場合は、一度病院を受診した方がいい。
あるいは、まず信頼できる人に相談してみるのも手だ。
「自分のことは自分が一番知っている」という考えもあるが、こういうときは客観的な意見が重要になる。
また、誰かに話を聞いてもらうだけでも、かなり気持ちが楽になるものだ。
この一歩を踏み出すことができれば、問題解決に向けた大きなステップとなる。

10月10日は、世界メンタルヘルスデーだった。
あらためて、ご自身の、そして周りの人のココロの健康について、考えたいときだ。

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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