地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記㊽~衆議院議員選挙を終えて考えさせられたこと~ / 渡邉 由美子

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今回は重度障がいの当事者という観点から、衆議院議員選挙について、そして今の政治について私が感じたこと、普段から思っている事を記していこうと思います。

10月31日の投票日は社会参加活動で遠方へ出かける予定となっていたため、一週間早く期日前投票を済ませてきました。まず感じたことは、不在者投票の投票所で選挙の管理をしている人の対応についてです。

休日出勤でこの期間だけ様々な部署から人が寄せ集められてきていることは分かっていますが、あまりにもその対応が、今回に限らず不適切なのです。

私が大きめの電動車いすで投票所に入っていくと、選挙管理の人が二人も三人も私の周りを取り囲む物々しい状況で手伝ってくださります。その手伝い方が皆さんまるで分かっていないので、私が毎回一から説明をしてやっていただくのですが、毎回毎回大騒ぎになるのでとても疲れてしまいます。

候補者名や政党を書くにあたって選挙管理の人が指を指して「ここですか?」と矢継ぎ早に聞いてくるのですが、私が答えるのが一拍遅れると次の候補者に頷いたのかと勘違いされて、誤投票されそうになりました。

私は、まだ意思を明確に示すコミュニケーションが可能なために訂正はできましたが、全く自分の意思に反した人に投票せざるを得なくなる人も出てしまうのではないかと危惧される一幕でした。

高齢者と車椅子が小さな投票スペースの中で右往左往するので、お互い避けられずぶつかりそうになり、ひやりとする事もありました。

話の観点を少し変えます。どんな選挙でも近年そうですが、投票に来ている人の年齢層がとても高いということです。世の中変わって欲しいと思っているのは、高齢者や障がい者だけでは決してないはずです。しかし、投票所に足を運んで投票している人を私の知る範囲で判断すると、18歳から投票権が与えられたといいながら、圧倒的に中高年が多い現状となっているのです。

この状態を改善するためには、インターネット投票の普及が本当に必要なのだと思います。例えば、学校に通うために地方から出てきて一人暮らしなどをしている若者世代は、住民票が地元にあるために選挙権は地元に届いており、それを取りに行ってその日に投票することなど現実的に不可能なのです。

政治に関心のある若者が少ないなどとメディアで盛んに、さもよくないことのように報道されていますが、私はそのような事だけが原因で投票率が上がらないというわけではないと思うのです。

話を重度障がい者に戻します。本当に重度な人は、ベッドから起き上がる事が難しいのです。投票所に行けるわけもありません。郵便投票ができることは知っていますが、それもとても手続きが複雑で手間暇がかかるので、行う人は少なくて当然です。

誰もがどんな環境に置かれていても気軽に、例えるならばインターネットショッピングをするような手軽さで投票が可能となるシステムを構築したならば、きっと一票で社会を変革したいと望む人は少なくないと思うのです。

そして、どこの政党も政治家も選挙の公約や街頭演説で、与野党関係なく、福祉の充実、介護のマンパワー不足解消を掲げ、選挙が終わって自分の党が政権を取れば問題は全て解決すると毎回演説されています。当然のことながら、選挙が終われば、目覚ましい改善が見られた試しはない日常となってしまうのです。

一気に解決できるぐらいならば問題となってはいないはずなので、一歩一歩少しずつでも後退せずに前進して、3年前よりは少しは生きやすくなったとか、10年経ったら新しい制度ができて10年前と比較すればとても改善したと実感できれば、「御の字」なのだと思います。

私は、いつも選挙前に、マニフェストを書いた選挙公報を読んで投票するようにしていますが、良いことばかりが書かれていることに、かえって疑問を感じるのです。たまには、問題は見えていてもこのことを解決するには困難が幾重にもあって、難しいという現実を書いてある人がいたら、その人を信用して投票したい気持ちになります。それぐらい本気で国を動かすということは誰がトップになったとしても、その人だけの力では難しいのだと思います。

何はともあれ、私は今回も国民の義務を果たすことができました。即日開票で結果が出るようなので、公約に掲げられているような劇的な変化ではないにしても、コロナの復興含め、様々な問題が少しでも明るい方向に政治施策が変わる事で進み、誰もがこの日本に生きていて良かったと思える社会が実現される政治が行われていくことを切に願わずにはいられません。

重度障がい者問題で言えば、本当に世の中に知られていない存在なので、政治家に私たちのような人もこの世の中で暮らしていることを知っていただき、必要な支援が必要な人に敏速に届くよう、障がい者運動という側面から政治の後押しをしていきたいと思います。それが、私に出来る政党を超えた社会参加活動の一つの形であると信じています。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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