地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記54~岸田政権の給付金施策に思うこと~ / 渡邉由美子 

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最近の話題として、コロナ禍における金融施策の大枠が政策決定しました。私の個人的な関心事は、非課税所帯に再度10万円の定額給付金が支払われるようになったのか?ならないのか?ということです。

それから、もっと最大の関心事は、介護士に対しての賃金を引き上げると言っていることが本当なのかということです。たくさんの条件がついて本当に賃金が上がる介護士は、常勤とか介護福祉士の資格を持っているとか限定されてしまうのではないかと大いなる懸念をもっています。

非常勤さんの力も介護を下支えする上では非常に大きいと思うのです。それなのにいつも国が出してくる条件からは該当しないことが多く、介護職の賃金が上がるという話題だけを耳にして、私たちには関係ないんだとモチベーションを下げさせてしまうだけで終わってしまっています。

賃金の上乗せ分をもらえるとされる常勤介護職員ですらも、上がる金額の幅はほんのわずかで、賃金が上がったからといって頑張れるということにはなかなかなれないのが当然だと思います。

そもそも、どこの事業所の常勤職員も元々サービスにたくさん入っており、身体は一つしかないので行きたくとも行くことができないというのが実情なのだと思います。国はそんな現場の実情も加味した上でこの賃金改定を考えているのでしょうか?

わたしにはどう考えても机上の空論と思えてなりません。賃金さえ上がれば介護職が増えるとか、現場定着率が上がるとでも勘違いしているのでしょうか?本当にお粗末な事だと思わずにはいられません。

それから、0歳から18歳の子供一人当たりに児童扶養手当の基準を単純に当てはめて所得制限960万円をボーダーとして考えるとのことです。そんな基準を元に未来応援資金と銘打って10万円配ろうとしています。児童扶養手当そのものが現代の基準に当てはまらなくなっていると散々言われながらも、きちんとした議論すらなされないものなのです。

5万円は現金ですが、5万円は来年春にクーポン券で配るのだとか?こんな既存の制度の是非も問わぬまま、それにただただ当てはめて現金をばらまいていては本当に困っている人の手元に生きるお金がいきわたるとは到底思えないのです。貧困学生にも支援するとかしないとかという話も込みで、何を考えて政治運営をしているのか、わたしには正しい理解をすることが難しいのが現状です。

国の赤字国債は膨らむ一方で、わたしが生きている間には到底返済できない状況となっています。それでも必要な所にはきちんとお金を使うべきなのですが、今打ち出されている施策が果たしてそれに値するのか?首をかしげたくなることばかりで、政治への不信感は拭いきれないものになってきています。

そう言いながらも、全ての事は政治がらみで世の中的に動くという構造が変わらない以上、政治によくなっていただくほかありません。こんな自己矛盾を抱えながら少しでも貧困問題や障害福祉の方へ予算がさかれ、弱者もみんな暮らしやすい社会を実現していきたいと思います。

来年は参議院議員選挙が控えているので、それを見据えた票取合戦の目玉政策論なのです。本当に自殺をしたいと考えてしまう人を減らしたり、景気の回復を下支えしたりするような経済対策を講じて欲しいと願うばかりです。

障がい者の生活を経済的に成り立たせている障害基礎年金や各種手当などもこれから切り下げになるというもっぱらの噂です。火の無い所に煙は出ないと思うので、今から覚悟をしておかなければならないと思います。実際、仲間の生活保護者は様々なものを切り下げられたことでもともと苦しい生活に拍車をかけているのですから、他人ごとではありません。

もしも非課税所帯に一世帯10万円が再給付されるならば、くれるというものを辞退する人はいないと思います。でもあえて一言言わせていただけるのならば、お金をただばらまいてもみんな将来が不安なのですから政府が望むような消費にはつながりません。生活が本当に困窮していれば使うことになりますが、そうでなければ貯金するのは当たり前の心理だと思います。

使ってくれないから期限付きのクーポン券を配るというのもそれを印刷して配るだけでは、またアベノマスクの時のように費用がかさむことになってしまいます。ですから始まってもいないうちから恐縮ですが、もうこの時点でダメだと言わざるを得ません。

わたしが切に望む事は、今出ている福祉制度すべてが削られることなく十年後、二十年後も必要に応じて増額されながら継続していくことです。そうでなければ、私たち重度障がい者は四十年、五十年前の処遇に戻されてしまい、生きることそのものを脅かされてしまいます。

国が真に私たちの生活実態を分かった上で、必要なところにきちんと既存の制度に囚われない施策を重点してもらえるよう、障がい者運動の継続と共に政策提言も行っていけるような法律的知識を得ていこうと思います。そして、社会保障審議会障がい者部会などの議論の行く末を注視しながら社会参加活動を活発に展開していきたいと思います。

少々批判にすぎる文面となりましたが、特定の政党を否定する意味合いではありませんので、そのことは正しくご理解下さい。引き続き仲間と連帯しながら、重度障がいを持っていても地域で個性を発揮して暮らし続けていけるよう努力していきましょう。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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