『現場から見える風景』 / 富田祥子

重度訪問介護の仕事をし始めて、そろそろ一年が経とうとしている。

この一年で見てきた景色は、今までのどの景色とも異なり、とても静かなものだった。優しい思いが呼応するところだった。

見知らぬ者同士が会い、一定の時間ではあるけれども生活を共にする。支援する、支援されるという違いこそあれ、お互いが形作る空間がそこにはある。

私たちがさまざまであるように、重度訪問介護を利用する人もさまざまだ。時間をかけて、お互いを知り、少しずつ少しずつ関係を積み上げていく。

ドアを開けると、「おはようございます」の聞きなれた声が耳に入る。眠そうな笑顔を見て、私も笑い、カーテンを開けて食事の準備をする。

ドアを開けると、こちらをみてゆっくりとまばたきをする。あるいは優しく微笑んで、「宜しくお願いします」と唇を動かす。声にならない声で、私たちは話をする。

介護を必要とする人を支援するのだから、もちろんするべきことは多い。あるところでは食事に掃除に洗濯。あるところでは痰の吸引に経管栄養。清拭や更衣、排泄もある。
最初の戸惑いはすでになく、今はそれが日常なのだと感じる。人が生きるための行為すべてに携わっているのだと。

障害をもつ人とのかかわりがほとんどなかった私が、今多くの時間を彼らと過ごし、人と向き合うことへの思いを、日々感じている。

 

富田祥子(とみたしょうこ)
ホームケア土屋 大阪