地域で生きる/20年目の地域生活奮闘記④~介護者との人間関係の難しさ / 渡邉由美子

社会人ヘルパーと複数の学生さんが私の介護を手伝ってほしいという願いに呼応して来てくださっています。こんな貴重な一日にはやりたいことが沢山出てきます。そんな気持ちで来てくれた人たちとは絆を深めたいと思うものです。この関わりは自立生活しているからこその得られるもので心躍る瞬間です。

そして、じっくりパソコンに向かって文書を書きまとめるということをしたりする事もあります。自分で入力をすることは手が不自由で出来ないので、横に一人パソコン入力介護を専門に行ってくださる人が欲しいのです。ボランティアで来てくださる学生さんが得られる時には、そんなことを可能にすることが出来ます。

加えて、分担で手作り料理を作り置きするとか寝具や衣類の季節の入れ替えをやってしまうなど日ごろ外出で忙しい日々に備えることも可能な一日となります。とても得難いものでこんなふうに常に円滑に出来たらどんなに良いかと考えながら暮らしてはいるのです。

しかし、同じことを同じように身体の動かない私が頼もうとしても、様々な経験やそれまで生きてきた価値観の異なる人に私流を浸透させて頼むという行為は予想以上に難しいのです。

言葉を正しく的確に使ったつもりでもニュアンスの違いや価値観の違い、受け取る側も発信する側もその時の感情や疲れ具合、相性など様々な要素が重なり、伝えた!けれど伝わらない!伝わらないとやりたいことが実現出来ない。という悪循環に陥ります。

時としては、ケアの受け手である私自身が自分の中での伝わらない感情をついその時に傍にいた人に向けてしまい、それが元で人間関係がもつれることも生じます。誤解を解き、釈明をしたいと試みますが人と人との感情のすれ違いはそう簡単に次の瞬間から何事も無かったように過ごすことは難しいのです。

24時間365日の自分らしく生きる地域での暮らしを長年継続してきました。

継続は力なりとよく言われますが、逆に、積み重ねによる解決に至ることが困難な場合も残念ながら存在してしまいます。

自身よりも年上で社会経験豊富な介護者であれば、重度な障がいというハンディを持つ人が依頼してくることはあまりにも稚拙であり要領も悪いと思われがちです。

こうした方が上手くいきますよ、という相手からすれば軽いアドバイスが私には指導されると思ってしまうことも過去にあり、お互いが磁石のプラスとプラスの如く反発し合うようなこともあります。

じっくりと丁寧なコミュニケーションが成立すれば、分かり合えたり、折り合い点を見出す事が出来る場合も多いのですが、日々の流れはとても速くそのタイミングを逃してしまったり、そこまで大きなことに発展することはないとついつい軽んじてしまっていたら思いのほか根が深く取り返しのつかないことになってしまうという苦い経験もしてきました。

また、学生さんのように社会にまだ出ていない、人との親子以上の年齢差に伴う人間関係の中での介護となると、その人の経験値によって個人差がものすごく大きく、勉強だけしかしたことがなく、生活力という意味では私に頼まれる家事援助や縫い物を中心とするものは極端に苦手な人もいます。

コミュニケーション不足でその人の適材適職を見抜けず、ミスマッチな介護依頼となってしまうと当然不協和音が起こってしまい、良い結果は得られないこととなってしまうのです。

年齢や経験値、性格などを的確に捉え、その時その時で無理のない生活を判断していく力をもう少し養っていく事ができればお互い気持ちよく、同じ空間で長時間過ごす事が可能となるのはわかっているのですが…。

また、感情に任せたコミュニケーションからはよいことはうまれにくいと頭では理解していてもそれが現実のものとして体現出来ないことが今の自分自身の最大のウィークポイントとなっています。よって、もとよりの人材不足と重なって介護人材を充分に得る事が出来ていない悩みを常に抱えています。

楽しく明るく地域生活を永続的にしていくために、私の負の感情をコントロールする術を身に付けたいと思っています。

真面目過ぎて真の気分転換がとても下手です。コミュニケーションも言語障害はありませんが、福祉の話題や介護の話題以外の話を日常生活ですることがとても少ないのです。

読者の皆さんは介護者との人間関係を毎日どう築き、働きやすい環境を整えているでしょうか。秘策があればぜひ教えてほしいと思います。家族でも、恋人でもない人と日替わりで暮らす生活は楽あれば苦ありの連続です。

時には介護や福祉と全く関係ないことを趣味として行ったり、昔、介護制度が無かった時代のように飲み会の場を作るなどして本音で語り合える介護者との人間関係を構築する場面を作ったりする必要性を感じています。

仕事だからと辛いことも割り切って欲しいと言えるような職業ではもともとないのですから、○○さんを地域で何があっても支え続けたいと思うような絆の再生から介護者との距離感も含めて築き直していきたいと強く思います。

 

◆プロフィール
渡邉由美子(わたなべゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。

その後、2000年より東京に移住。一人暮らしを開始。

重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動