『現場から見える風景②』 / 富田祥子

私たちは在宅で職務に当たる。すると当然、利用者の方とお話しすることも多くなる。私は大人数で話をするのがあまり得意ではなく、大抵、聞き役に回る。でも、利用者の方とは一対一。だから、私は結構よく話す。

重度訪問介護のお仕事をするに当たっては、まず統合過程という研修を受けるのだけれど、ここでは研修を受けに来た人から、「どんなことを話せばいいんですか?」という質問が結構来たりする。

他のみなさんはどんなことを話しているんだろう?
少し気にかかるが、私はといえば、とても他愛ないお話しをすることが多い。こんなことがあったとか、テレビを見ながらああだこうだとか、後はなんだろう。天気の話しやドラマの話し、利用者の方の頼み事から広がるお話しとかだろうか。
幾人もの利用者の方と関わっているから、総合してだけれども、だいたいこんな感じだ。

ある程度の時間をともに過ごしているから、自己紹介というのも遥か昔の出来事だし、しいて言うなら親しい知人との会話に近いものがある。とはいえ、年長者の方も多いので、そこは意識するよう心掛けている。
会って間もないときは、お互いを知るために、好きなものとか趣味とかの話をしていたような気もする。

たまには真剣な話もする。辛かったことや、悩み事や愚痴を聞いたりもするし、聞いてもらったりもする。今までの人生について耳を傾けることもあるし、私のこれまでを語ったりもする。

そんな中で、こういうことをしてみたい、という話が出るときがあるけれど、私はこれには結構テンションが上がる。なにか新しいことを始めたり、いろいろなことに挑戦したりするのが好きだからかもしれない。
そして、そういうとき、それを阻む現状があると、やはり社会が変わっていかなければならないのだと思ったりもする。

もちろん、いつも意見が一致するわけでもないけれど、結局のところ、大事なのは相手を思いやる心や聞く姿勢、尊重の気持ちではないだろうか。
どの仕事でも、どんな人間関係でも同じであるように。

誠実に向き合って、誠実にお仕事をする。きっと、こうした日々を積み重ねることで、心を通わせられる関係が出来上がっていくのだろう。

この世界は、気長に待ってくれる。そう思って、私は明日も彼らの笑顔に会いに行く。

 

富田祥子(とみたしょうこ)
ホームケア土屋 大阪