地域で生きる / 21年目の地域生活奮闘記⑦ ~2021年の幕開けに思うこと / 渡邉由美子

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2021年に思うことは、とにかく今までと変わらない日常を淡々と送ることが出来ることを目指して生きるということです。新型コロナウイルス感染症がここまで全世界に影響を与え、暮らしに影を落とし、生きづらさに拍車をかけるとは、一年前の私たちは誰も想像しなかったと思います。

遠い中国武漢の富裕層がゲテモノ珍味を喜んで食し、ウイルス感染したとも言われており、その他にも様々な仮説があります。しかし、自分には全く関係が無い事としてニュースで見ていた記憶があります。

新型コロナウイルスが日本に入ってきたというニュースも、横浜の豪華客船に乗っている人が遊んだ後に狭い船内で風邪にかかるのと同じ要領でコロナウイルスに感染してしまったのであって、私には関係のない事、海外にも行けないし豪華客船にも乗れないからと思っていました。

それがまさか身近で一年も流行し、リーマンショックの時よりも社会情勢が悪い中での新年の幕開けであり、それを踏まえた自己防衛策を講じながら生きていくことを考えなくてはならないということです。

飲食業や旅行業等が大きな打撃を受けていることが連日報道され、医療体制の逼迫が叫ばれ、東京だけで感染者が900人を超える状況が連日続き、初詣も家族との一年に一回の再会も果たしてはいけないと、政府が声を大にして伝えている異例の年始です。

そんな中で、来年度予算が年末に確定し、総額が96兆7218億円となりました。コロナ対策費も含んで過去最大の予算とのことです。しかし、国は赤字国債を沢山発行してこの金額を成り立たせていますし、その内訳を見てみると相変わらず防衛費が占める割合がとても多くなっております。という事は、いつか借金を返すということになるのです。何一つとっても明るい兆しの見える国全体の運営でないことは誰でもわかる事実です。

このように、私たち国民に負担が投げかけられている現状の中で、自殺者が多数出ており、その状況を食い止めようと親身になって動いているのは、リーマンショックの時にその状況を回避する努力をした「年越し派遣村」等を主催した民間NPO団体なのです。

結局、肝心要の時には国は助けてくれないことを思わざるを得ません。昨年、一律十万円を国民一人あたりに配りましたが、富裕層で困っていない人にも給付したために、国の赤字国債は膨らみに膨らんでいる訳です。そのすぐ後に配ったアベノマスクは誰の為になったのか?本当に疑問です。

次は、マイナンバーカードを普及させるため、マイナポイントなどをふんだんに付与して、マイナンバーで国民の生活の全てを国が管理しようとする政策が大真面目で行われようとしています。国民の預金や資産や通帳を紐づけすることでガラス張りにして、取れるところから働いても働いても税金を取る国にしようとしているのです。総務省はそれを早期に実現しようとしましたが、国民の反発がさすがに強く、見送りとなったようです。

こんな社会背景の中で、私たち重度障がい者はどうやって暮らしを続けていったらよいのでしょうか。介護者の人材不足には歯止めが無く、いつも安定した暮らしを得る事は出来ず、何十年と最低限度の生活を続けている状況です。

コロナ禍になってからは、どうしても必要な外出以外は外になるべく出ない暮らしをすることがもう一年続く結果となっています。どれだけ社会保障が厳しくなるか解らない状況では、自己防衛として自主ステイホームを続けるほかないと考え行動してきましたが、つくづく人間は衣食住だけでは満たされないと思うようになりました。生活の潤いがどれだけ日々の頑張りにつながるかということを再確認しています。だんだん皆普通に暮らさざるを得なくなり、密を避けての暮らしが難しくなっています。

首相も国の幹部職員も、自粛などどこ吹く風でしないのに、国民にはそれを強いて次から次へとやり玉にあげる有様です。年末に、海上自衛隊のトップが新型コロナウイルスに感染したニュースが報道されました。それも、14人で会食していたのだとか…。これが日本の社会の真実かと思うと、なんとも言えない気持ちになりました。

今年の抱負は、障がい者運動の原点に立ち返って、重度障がい者が自分らしく安心安全に地域生活を継続できる基盤整備を一からやり直していきたいと思います。それも、自分の為ではなく、仲間の為に尽力出来る年にしたいと思います。

今は、交渉に役所に出向こうと思っても、コロナ感染が拡大し、クラスターになると困るので交渉に来る人数を絞ることを再三言われてしまいます。なんでもコロナに乗じて必要なことまで規制されるのは困ったことです。

コロナが収まった時に、このままでは、うん十年かけてここまで来た重度障がい者の地域で暮らす自立生活が破綻して、四十余年以前に舞い戻り、施設収容されて生きるしか方法の無い時代が再燃してしまいかねません。削るところは、いつも思いますが、沢山他にあると思います。

人の命、人の暮らしが守られている部分はしっかりと継続・発展させられる世の中を作っていくために、また一年、骨身を削って活動していきたいと思います。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

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