地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記⑧ ~寒さの中で感じる二次障がいとの戦いに思うこと / 渡邉由美子

昨年は、11月が凄く暖かかった為に冬の到来を実感したのは、12月になってからの事でした。

新型コロナウイルス感染症の第三波を気にしながらも、常日頃よりお引き受けしている介護者を増やす為の社会参加活動やリハビリ、社会保障を後退させない障がい者運動は休むことが出来ません。

私は、脳性まひの痙直型というタイプなので筋肉にいつも必要以上の力が入ってしまっています。例えば、意識の中では手を伸ばそうとしているのに、脳と筋肉はそれに相反して縮めようとする指令を出てしまいます。それ自体が正しくない異常な指令なのです。曲げる力も伸ばす力も一緒に入っているので力が抜けず、身体が一本の棒のように固まることになるのです。

棒状に固まった身体は、まるで冷凍でもしたかのごとくカチコチな状態であり、柔軟性や血流や動きが乏しくなってしまうのです。私にとって普通なので、こんなものだと考えて、それが特段本人にとって辛いとか苦しいという事はありませんでした。しかし高校2年生の時、全身に激痛を覚えるようになりました。

当初のお医者さんの見解は、筋肉の成長と骨の成長が追い付かず痛みが生じているとのことでした。成長が止まれば、自然に戻れると言われていました。筋緊張の強さは収まることを知らず、今に至り、加齢に伴う二次障がいであろうということになりました。

この症状と上手く付き合いながら日常生活に支障が現れないように暮らすため、長年たゆまぬ努力を続けています。数えきれないぐらい多くの治療と時間を費やして試してきました。

代表的なものをいくつか挙げてみたいと思います。西洋医学的な治療としては、筋弛緩剤に代表される筋肉の強張りを緩める薬、ボツリヌス療法、ペインクリニックで行われるレントゲンの透視を用いた神経ブロック療法、鍼灸やマッサージ、精神を落ち着かせる薬の数々、睡眠導入剤など薬漬けになっていたほどの処方薬でした。その他に注射で身体に薬剤を入れたりしていました。

日々のやる事のトップが通院で、仕事みたいになっていた時もありました。知人、友人からの名医の紹介やネット情報で少しでもよさそうだとなれば、時間とお金をつぎ込んで試してみていた時代もありました。結局、何がどれくらい効いているのか、自分でも分からなくなったり、意識が朦朧として活動性を一切失い、文字通りの寝たきりになりかけました。

鍼灸治療は施術中の痛みも強く、私には結局合わなかったのかなぁと思う感じです。そんな中でも温熱療法は全身を温められる赤外線治療で、寒い時期にはその時だけ芯から身体が温まると同時に睡眠を誘ってくれるので、痛みの強い時には救われる思いでよく使っていました。

自分の家にも常備したいと思いましたが、高額であること、冬以外にどこにしまっておくのかなどの諸問題が生じ、治療院に行ける時以外はその気持ちよさの恩恵を受けることは難しいという現状となってしまいました。同じ効果をもたらすものとして、浴槽にゆっくり浸かる入浴をするという方法があります。

私は介護用リフトを使って入浴するので、気持ちよくなる前後にメッシュのスリングシートを素肌に装着しなければならず、それがまた痛みのひどい時には地獄を見る感じになってしまうので、冬の必要な入浴が難しくなってしまうのも現実なのです。

2人介護を得る事が出来るときには2人で抱えてそっとお湯に身体を放ってもらえるので、とても至福なひとときを得る事が出来るのです。

そんな治療経過の末に、たどり着いたものは結局、子どもの頃から受け続けてきた運動発達を促すための運動療法の中の治療体操でした。全身をマッサージした後、可動域いっぱいにストレッチをかけていきます。

やっている時は柔軟体操を激しく限界を超えてやっているような感じなので悲鳴を上げるほど痛いですが、全身の筋肉を、がんじがらめに縛られていたものから解き放つように緩ませて、血流が全身に行きわたり真冬でも暑さを感じるほどになると、それと同時に血流に洗い流されるがごとく、痛みも軽減されていくのです。

その治療をもう20年以上受けていますが、治療する先生自身がお歳を召されてきており、もう10年も前から後継者を探したいと思いながら今になってしまっている状況です。

重度障がいを持ちながら地域生活を継続し、いつまでも元気で生活をしていくためには行きついた治療を継続できる人がどうしても必要です。この原稿を読んでくださっている皆さん、脳性まひ専門の上記のようなストレッチやマッサージを施す事が可能なリハビリ師さんや治療師さんをご存じありませんか。

30代以降の重度障がい者は多かれ少なかれ二次障がいの克服の問題を抱えています。情報交換を活発に出来るツールや場を探しています。もちろん、日々の介護者との生活の中で姿勢の保持や介護のされ方、日常で出来る身体にいい事を継続する生活は大前提として、優れた治療者の育成と発掘に今後の人生をかけたいと願ってしまう私がいます。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動