整理表でCSRをSDGsに紐づける ~6. CSRとSDGsとの連関 / 影山摩子弥

SDGsは、社会の期待やニーズに応える事業が経営的にとっても意味を持つというCSR(企業の社会的責任)の一環であり、経営戦略である。公害や過労死、精神疾患を量産して成長するモデルとは対極にある。

そこで、SDGsに取り組む場合、まず、自社のCSRがSDGsに貢献するものであるかを確認することになる。

その際に使うのが「SDGs整理表」である。2015年のSDGs策定を受けて、ゼミでの教育用に作ったものである。エクセルで作っただけの簡単なものなので学生でも容易に運用でき、SDGsの理解も深まる。今日はそのツールを紹介しよう。

表6-1がSDGs整理表とその書き方見本である。このような表を社内のグループワークで作れば、社員の理解も進む。自分の業務が世界にどのように貢献しているかわかり、モチベーションや会社への求心力も上がる。営業担当者がこの表をもとに取り組みを理解すれば、顧客にきちんとした説明ができる。CSR報告書へも記載しやすい。

書き方は簡単である。一番左の列に自社のCSRを記入する。ここでは1つだけであるが、「タイの中小企業を技術支援しつつ、効率の良い再生可能エネルギー創出技術を共同開発」している事業を例示した。CSRが沢山あれば、左の列の行が増えていくことになる。

その右の列には、どのゴールになりそうかを記載する。まずゴールレベルであたりを付けるのである。ここではゴールのロゴを貼り付けてあるが、手書きの場合、「7エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」のように、ゴールの番号とテーマを書けばよい。複数のゴールとかかわりそうなら、それをすべて書きだす。

次が重要で、どのターゲットに当てはまるかを考える。複数のターゲットに貢献する場合もある。ターゲットの番号と内容の文章を貼り付けると、何に貢献しているかを理解しやすい。

その右に書くのが、ターゲットへの貢献内容である。この点が説明できて初めてSDGsに取り組んでいる、貢献していると言える。

最後が分かりにくいかもしれないが、ターゲット間の連関を記入する欄である。無連関、因果関係、相互媒介関係を整理するのである。価値創造モデルの発想にも結び付く。
なお、「パターン~」と記しているのは、ゼミ生が情報を共有しやすいように、ありうる連関のパターンに名称を付けたものがあるためである。

このように文字で記載するとわかりにくいので図にした方がよい。この記載を図にすると図6-1のようになる。

なお、経営的な意味を記す欄がないのは、CSRであるという段階で経営的意味があるので、改めて書く必要がないからであるが、確認の意味で記入するのもよい。

 

◆プロフィール
影山 摩子弥(かげやま まこや)

研究・教育の傍ら、海外や日本国内の行政機関、企業、NPOなどからの相談に対応している。また、CSRの認定制度である「横浜型地域貢献企業認定制度(横浜市)」や「宇都宮まちづくり貢献企業認証制度(宇都宮市)」、「全日本印刷工業組合連合会CSR認定制度」の設計を担い、地域および中小企業の活性化のための支援を行っている。

◎履歴
1959年に静岡県浜北市(現 浜松市)に生まれる。

1983年 早稲田大学商学部卒。

1989年横浜市立大学商学部専任講師、2001年同教授、2019年同大学国際教養学部教授。

2006年 横浜市立大学CSRセンターLLP(現 CSR&サステナビリティセンター合同会社)センター長(現在に至る)

2012年 全日本印刷工業組合特別顧問 兼 CSR推進専門委員会特別委員(現在に至る)

2014年 一般社団法人日本ES開発協会顧問(現在に至る)

2019年 一般財団法人CSOネットワーク(現在に至る)

◎専門:経済原論、経済システム論

◎現在の研究テーマ:地域CSR論、障がい者雇用

◎著書:
・『なぜ障がい者を雇う中小企業は業績を上げ続けるのか?』(中央法規出版)
・世界経済と人間生活の経済学』(敬文堂)