現場から見える風景③ / 富田祥子

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一年ほど通っているお宅に、Aさんという脳性麻痺の障害をもつ女性がいます。Aさんとは、私が介護を始めた当初からのお付き合いです。

Aさんはいつも「ありがとう」と言って笑顔を見せる、とても楽しいクライアントです。

私たちは結構ざっくばらんにお話しするのだけれど、最近、Aさんは言いたいことは言おうと決意したらしいのです。
言葉に力がみなぎっています。

もともと鋭い意見で、なるほど!と思わせてくれたり、脳性麻痺の二次障害など、私がいまいち分かっていないことを丁寧に教えてくれたりします。

そんなAさんが、今まさにしようとしていること。
それは多目的トイレにリフトを付けてもらえるよう、行政にお願いすることです。

もっとも、数年前から訴えてはいるらしいのですが、Aさんはそれが叶うまで、諦めずに頑張るのだといいます。

それにはAさんならではの、深い思いが。

彼女は体重が重く(Aさん、ごめんなさい!)、移動にはいつも床移動式リフトを使用しています。
このリフトがないと、Aさんはトイレにも行けないし、お風呂にも入れないし、車いすにも乗れません。

力のとっても強い人なら持ち上げられるかもしれないけれど、Aさんはアテンダントが腰を痛めて、来てくれなくなることを一番恐れています。

なので、リフトは必須なのです。

でも、多目的トイレにリフトはありません。
だからAさんは、プライベートで外出してもトイレに行けないのです。
つまり、長くても3、4時間の外出しかできず、冬ならもっと早く家に帰らなければいけません。トイレが近くなりますもんね。

オムツですれば?という人もいるかもしれないけれど、替えられないオムツを履いて、漏れや匂いを気にしながら外出するのは楽しめないに決まってます。

Aさんは、当たり前のことを当たり前にしたいと言います。
そういう世の中になってほしいと言っています。
これからの人たちのためにも、人生に目的をもって動きたいと言うのです。

私はこれを聞いて、なんだか嬉しかったです。
目標に向かって頑張る姿は、いつだって輝いてみえるもの。
Aさんが一回り大きく見えました。(Aさん、そういう意味じゃないですから!)

私の目標はいつも私一人の目標だったけど、誰かのため、未来の人たちのための目標を持つってほんとに素敵だなと、嬉しそうに語るAさんを見て、しみじみそう思いました。

Aさん、頑張って!

 

富田 祥子(とみた しょうこ)
本社

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