地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記⑪-2 〜寒さが厳しくなる日々に感じる体調管理 入院時ヘルパーの獲得-後編 / 渡邉由美子

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入院時の事に限らず、行政から必要なサービスを提供していただくためには、皆さんからの血税が適切に使われなければならないという大原則の基、行政担当者が私の障がい像を正しく理解して、定型にはまらない重度さを有する者に対して、本人の望む地域生活をどう継続させるのか?という全課を挙げての審査が必要不可欠なのです。

その行動が人生を懸けた大仕事として、一生のライフワークなのです。

そして様々な障がいの特性で自分で行政に伝えることが難しくても、制度を獲得して生き抜くことが可能となるのです。

私が入院を繰り返していた頃は、入院に対応するヘルパー制度は制度化されていない時代だったので、わずかでも対応策を講じてくれた行政は、その当時としては画期的な対応をしてくださったことになります。

病気になっても家族などの頼る人がいない状況の中で、どうしても必要な入院費の支払いや洗濯物の処理、必要物品の補充、私特有の介護方法を医療者に伝える等の行政が認めた事柄を行うことが出来ました。

上記のような事を交渉の結果、退院後に後付けで在宅介護料から支払われた過去の経緯がありました。急な入院となる状況下で、今何を最優先にするべきなのか?冷静に考えたり、私一人では段取りも立てられず、どうなっていたか分からない事態でした。

少し元気になり、車椅子に座れるようになったときには、座って食事をしたり気分転換に売店に行ってみたり、普通の生活に戻るための準備を進めることができました。

同じことを繰り返さないために日常生活で気をつけるべきポイント、胃にやさしい食べ物や水分摂取量などの在宅に戻ってからも役に立つ医療的知識をヘルパーにも共有してもらうことにより、早期の社会復帰を可能としたことが大きな成果であると思います。

平成30年度から制度化された入院時ヘルパーを行政は認めていても、受け入れる側の病院がこの制度の必要性を理解できずに難色を示すことが多いのです。その結果、ヘルパーが病院に入れない現実があります。

ヘルパーが介護できないことは重度障がい者の命を脅かす事態であるという認識をもって、それを基に制度の運用を円滑に図って頂きたいと切に願うばかりです。

退院してから全身の過緊張による痛みに耐えながら、それを日常レベルに戻すまでに大変な思いをしたことを今でも昨日のことのように覚えています。

そんな状況を経て、普段から私を取り巻く人々に、私が入院をしなければならない事態になった時、どう動いてほしいのかを正確に伝えておくことの大切さを知ったのです。

平常時から、主治医と入院時のことを話し合っておく必要性を強く感じています。先ずは入院病床のある病院と関係性を作ることから始めなければならないのが現状です。

最近、健康であることは良いことなのですが、入院をしなければならない事態というのはいつ生じるか判らないことなので、準備を行いたいと考えています。

一つの病院で普段の診察からもし入院する必要が生じた時には、入院時ヘルパーを付けた状態で入院したいのですと主治医に明確に伝えておきます。

その方法は、主治医に文書にて入院時ヘルパーの制度の存在をまず伝え、理解を求めておきます。入院したくないと言ってもしなければならない事態は避けられない時もあるのです。

そして普段関わっているヘルパーにもこの制度を伝え、もし私が交渉できない状態であったとしても代わって病院側と折衝し、協力してほしいと常日頃から伝えておきます。

そんな自助努力の後に、どうしても必要となってくるのが国の後押しです。確かに医療の中の看護業務には、日常生活で介護が必要な人たちの食事や排泄の介護は業務のうちに入っています。しかし、看護師や医師の数は元々足りず病気の治療が優先になるため、個別対応は難しくて当然だと思います。

そこで、厚生労働省に対して要望したいことがあります。

入院時ヘルパーの制度があることを、まず各関係機関に周知徹底して伝えてほしいのです。

それから、入院をしなければならなくなった人の中で入院時ヘルパーを使うことを拒まれた事例が生じた場合、現地に出向き、速やかな厚生労働省からの直々の通達や指導をすることで1日も早く当該障がい者がヘルパーを入れた状況で入院生活を送ることが出来るよう指導して欲しいのです。

入院時に普段から介護に慣れたヘルパーが介護できるかどうかは、誤診を防ぐ意味や障がいを入院によって悪化させないために必要なことであり、命に関わる問題であるという認識を明確に持ったうえでの緊急対応をして欲しいのです。厚生労働省は私たちの命を守る責務を負っているという自覚が必要です。

入院時ヘルパーの制度を医療機関や現場医師、看護師など障がい者に関わる全ての人に知ってもらい、その必要性も理解してもらえるよう地道な努力を継続していくことが何より必要です。

そして、医師会などを通じて、どこに住んでいても受けられる医療を俯瞰する制度として普及させる必要があると思います。そのような状態が整っていれば、安心な地域生活が誰にでも継続していける社会となるのです。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

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