戦略評価から改善へ ~11. 成果を活かす~ / 影山摩子弥

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CSR析出表やSDGs整理表・事業創造表などを運用して取り組むべきCSR/SDGsを確定させ、計画をつくり、社員の育成を図りながら取り組みを進め、一定期間が経過したら、事業の評価(戦略評価)をする必要がある。SDGsは経営戦略であるから、戦略としての評価は当然である。

その際、CSRの一環であるので、社会的意義と経営上の意味が想定通り達成されているかどうかを評価することになる。その際、ターゲットにどのような貢献しているかという観点を忘れてはならない。

評価は計画時に設定し、集めておいたデータと分析方法をもって行う。また、評価のタイミングは取り組みによって異なる。計画途中で評価する場合もあれば、中長期、短期のスパンが異なる場合もある。

本業における事業評価は、生産量や効率、売上などを指標として用いつつ行われているが、社会性戦略の成果は、金額や割合など、わかりやすい数値に変換することが難しく、評価のための指標を容易に確定できないこともある。

そのため、的確な事業評価をしていないケースも少なくない。その点では、SDGsは、少なくとも社会的意義の面に関する指標を提供してくれており、取り組むと得られることも多い。

図11-1は、CSRの戦略評価のうち、地域社会貢献の場合を例示したものである。

 

緑のタイトルの列には、取り組んでいる事業を書く。事業に名称を付けていれば、その名称を書けばよい。その右のピンクの列には、計画時に想定したステークホルダーのメリット、その検証方法、検証結果、検証に用いたエビデンス、目標達成度を記入する。

水色の部分は、計画時に想定した企業にとってのメリット、その検証方法、検証結果、検証に用いたエビデンス、目標達成度を記入する。

検証の結果、成果が芳しくなければその原因を探り、改善についての提案を考える。成果が出ていれば、現状維持の提案やより成果を高めるための改善提案を考える必要がある。

その上で、マネジメントレビューに臨む。マネジメントレビューにおいて、経営層から指示された内容を記すのが右端である。それに基づいて次期の計画策定に入れば、事業をPDCAで回してゆくことができるのである。

なお、図11-2は、CSRの戦略評価表をSDGs用に作り替えたものである。考え方は同じである。左端の黄色の列に事業内容、その右にゴール、ターゲットを書き、ターゲットにどのように貢献しているか、それを確認した資料と、順に書く。さらに、SDGsの計画時に想定したターゲットへの貢献度との関連での目標達成度を記入する。

水色の部分の列には、SDGsによって自社が得たもの、それを確認したデータ、計画時に想定した目標(自社のメリット)を書き、目標の達成度を記入する。それをマネジメントレビューにかけ、PDCAで回してゆけばよい。

 

◆プロフィール
影山 摩子弥(かげやま まこや)

研究・教育の傍ら、海外や日本国内の行政機関、企業、NPOなどからの相談に対応している。また、CSRの認定制度である「横浜型地域貢献企業認定制度(横浜市)」や「宇都宮まちづくり貢献企業認証制度(宇都宮市)」、「全日本印刷工業組合連合会CSR認定制度」の設計を担い、地域および中小企業の活性化のための支援を行っている。

◎履歴
1959年に静岡県浜北市(現 浜松市)に生まれる。

1983年 早稲田大学商学部卒。

1989年横浜市立大学商学部専任講師、2001年同教授、2019年同大学国際教養学部教授。

2006年 横浜市立大学CSRセンターLLP(現 CSR&サステナビリティセンター合同会社)センター長(現在に至る)

2012年 全日本印刷工業組合特別顧問 兼 CSR推進専門委員会特別委員(現在に至る)

2014年 一般社団法人日本ES開発協会顧問(現在に至る)

2019年 一般財団法人CSOネットワーク(現在に至る)

◎専門:経済原論、経済システム論

◎現在の研究テーマ:地域CSR論、障がい者雇用

◎著書:
・『なぜ障がい者を雇う中小企業は業績を上げ続けるのか?』(中央法規出版)
・世界経済と人間生活の経済学』(敬文堂)

 

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