いざ、散髪へ。脱・貞子化計画。 / 鶴﨑 彩乃

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明日、待望の散髪に行く。去年のクリスマス前から風邪をこじらせて、慢性気管支炎までに悪化させた。咳が静まったのは、節分が終わった頃だった。私は、ここ数年ツーブロックスタイルを貫いている。サイドと後ろをバリカンで刈り込んでいるが、美容師さんの腕により、「女の子のベリーショート」に見えるようにしてもらっている。それは、私の要望ではない。友人でもある美容師さんが、私のもともと少ない女子力が枯渇するのを本人より、怖れてくれているのだ。友というのは、ありがたい。

彼女との出会いは、5年ほど前だったと思う。私の主観だが、バリアフリーの美容室を見つけるのは意外と難しい。理由は、「おしゃれさ」だと私は思う。こじんまりとした店内・ちょっとした段差・ガラスの扉、などなど。

ひとり暮らしを始めてすぐは、大きなエレベーターのある美容室に通っていたのだが当時、担当してもらっていた男性の美容師さんが退職したので、美容室を変えることにした。そこで、いくつかの美容室に電話をすると、「車いすの入るスペースが・・。」とか、「車いすのまま、髪を切れるかどうか分からない・・」と電話口ですっごく困惑されるため、こちらから明るくお礼を言って会話を終わらせた。

いよいよ、「めんどくせぇな。」という気持ちがムクムクしてきたので、ラスト1本電話をして今日は諦めようと思い、スマホの画面をポチった。すると、女性の明るい声が聞こえ、私が車いすユーザーであり、姿勢を変えることができないことを説明した。それを聞き終わっても彼女の声のトーンは全く変わらず、「予約とられます~?」と聞かれた。私は、少し拍子抜けしながら予約をとって、電話を切った。

「あれ、なんやったんやろ?」とつぶやき、ホッとして、息をはいた。予約した当日、私は病的な方向音痴のため、迷う時間も計算して家を出たが、珍しくすんなり目的地についた。すると、ビルの入り口に小柄な女性が立っていて、「鶴﨑さんですか?」と声をかけられた。その声は、あのときスマホから聞こえてきた笑顔だった。

私は、美容室が苦手だ。原因は「匂い」。幼い頃から、嗅覚が敏感だったからだと思う。彼女は、会話をしながら作業をスルスルと終わらせていく。彼女と私は共通点が多かったため、会話はとても盛り上がった。

私の障害についても、とても興味を持って聞いてくれた。ひとり暮らしをしていて、身体の無理のない範囲で仕事をしていると、私が話すと驚くほど感動してくれた。私の好みを最優先にして、その中でアテンダントも介助がしやすく、清潔さも保ちやすい髪型も考えてくれた。

私は髪の毛が多いので、誰が介助に来てくれても清潔に保つというのは、意外にとても難しい。髪の毛の特徴がもう1つある。もともとの髪色が漆黒のため、かなり短髪にしないと、相手に「暗い子」と印象を与えるらしい。母上様・友人談。

そのことを彼女に伝えると、「うんっ!分かるわ。染めよ。大丈夫、シャワーチェアには私が抱っこして連れてくし、黒の上からなにのせても所詮、黒いから引かれないよ。」と一気に笑顔で言われた。

お、おう。私の不安を全て見透かしていらっしゃる…さすがだ。もう、なにも言わなくても大丈夫な気がしたので、今では眉毛カット・髪型・髪色も含めて彼女にお任せしている。明日は、慢性気管支炎のせいで3ヶ月ぶりの散髪だ。貞子からどう変化するのだろうか。体重、1キロぐらい減らないかな。強めの願望。

彼女と出会って、気づいたことがある。障害者のイメージを具体的に持ってもらったり、変えてもらうには実際に会ってもらうのが1番だと感じる。私が適任かどうかは置いておいて。早く色々な人に直接出会って、笑って話せる環境になりますように。

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ(計算不要)

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

 

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