【実録】土屋の絆 / 佐々木 優

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22時30分

自宅のリビングでパソコンを開き、唸りながらコラムの執筆をしているところに、コーディネーター(CN)からの電話が鳴る。

(ざわざわ・・・ざわざわ・・・なんやろ・・・)

彼女の仲間のアテンダントが、諸々の事情でこれから土屋での働き方に影響が出てくるのが辛いという内容であった。

CN「Aさんと話したんやけど、もしかしたら今みたいに働けんかもしれんって。」

「・・・うーん。」

CN「Aさんっていつも弱音を絶対吐かんやん、本当に大変なんやと思う。」

「・・・うーん。」

CN「土屋でずっと頑張ってきたのに・・・。」

「・・・うーん・・・。」

CN「もー、また泣かんといて、すぐに(笑)」

「だって頑張りよん俺もずっと見てきたもん(涙)」

 

私は書きかけのコラムの続きに、そのままCNとの会話を打ち続けていった。

以下、アテンダントの人名と適度な改行以外は当時のそのままの記録、ある意味【原文ママ】である。

備考:やけん=だから(愛媛県今治市の方言)

人生って何なんやろね
頑張ってるのに第一線から離れるんよね
せつないし割り切れんけど
でも誰のせいでもない
これがリアル
あの子のために俺らに何ができるんやろ
みんなの毎日の負担を思いやる仕事だけじゃない生活のしんどさ
俺らってなんか助けてあげないかん人らにまみれて生きとるし、自分らもみんなに助けられとるし

こんな夜中まで誰かのことを考える仕事、自分今までしたことある?ないよね
ないないないない

今までないよ、あの人のお家の事情がこうでねって、どうにかしてあげたいとか
出会ってしまったら他人じゃないやん
自分事に考えてしまうよね。そう
利用者の家族も
そこまで考えるのもいかんのやろうけど、考えんのやったらこんな仕事してない
そうそうそう一日一日が切実やん
ずっと続くもん家族には
利用者の家族のそういう絶望感とかって、まだまだ俺らは仕事の一部って思ってしまっとるとこあるよね、どうしても

電話のバッテリーが切れた。

人を助けるって、そんなこと、私になにができるん
彼女の話、あなた聞いてあげたよね
だれが聞いてあげられるの
やけん、利用者のことも自分のことみたいに考えたり、やけんって何ができるんかわからんけど、考えよることが目の前の相手に伝わるんやないん?

うんやけんBさんも土屋は違うって
Bさんもいったん離れたけど、私はそんな土屋と繋がっときたいって言ってくれた

離れとるけど顔を合わさんけど自分のことを思ってくれてるのが伝わるんやない?
心のつながりみたいなのは感じてくれてるのかもしれんね
別にくさい話なんかしよるわけやないんやけどね

私らだって高浜さんや古本さんにいつも会うわけやないけど、なんかの機会であの人らの思いに触れてホッとするのとおなじで感じるんだと思う

これ他の事業所の人らもこんな話しよんかな

しらんがな!

最近はいった非常勤さんも言ってくれたよ、土屋みたいなこんな繋がりってないって言ってくれよるよ
ネットで色んな就職先とか事業所を探してたけど、やっぱり土屋さんのって言ってくれたから
Aさんもやけど、みんなそれぞれに色んなものを抱えて支援に行ってる。感謝しかない

じぶん、ちょっと前まで自分の目の前の利用者のことばっかり考えよったのに、最近なんで周りの人のこともそんなに考えれるようになったん

みんなが幸せになればいいなって思うようになった。関わっとるみんなが笑っててほしい
悲しい顔を見たくないって思うようになったんよ

変わったねえ変ったよ

自分で変わったっていう自覚ないけど、みんな幸せになるために生まれてきたんやろ
みんなも利用者もイケてなくても笑っとってほしいんよ

どしたんぞ自分、今日なんか変なもん食べたんか

ああ??!!

―――

土屋の絆は本当に最高なんだと改めて気づかされた会話であった。
なので、書きかけのコラムよりも先にこの物語を寄稿した。

 

佐々木 優(ささき まさる)
ホームケア土屋 四国

 

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