装備、間違えました? / 鶴﨑 彩乃

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ギシギシと痛む身体をなだめすかして、車いすに座る。
最近、私は身体に「反乱」を起こされまくっている。大きなものでは、気管支炎・脱水症状を起こして緊急搬送。これが、半年の間に起こったのだ。本当に勘弁してほしい。

私の身体は、25歳を区切りにして大きく変わっていった。疲れやすくなり、体力が劇的に落ちて、肩こりと腰痛の痛みが増した。本気でゾッとした。たぶん、恐怖ではない。ただ不安だった。

今も不安である。自分の身体が自分の管理下にない気がして、もどかしく泣きそうになる日が多々ある。キーボードを打つスピードは年々遅くなり、頭に浮かぶ行数との違いに呆然とするけれど、それでもなんとかしがみついてきてくれる左手は、健気にも思えるが、ホッとひと段落して「もういいですか?」とやってくる痛みにはまだ慣れない。

「25歳ってお肌の曲がり角とかどこぞのCMで言ってたけど。こんなに身体が痛いとは聞いとらん!つーか、何、まだ20代なのに血尿・脱水・気管支炎、腰痛で睡眠不足のおまけ付き。」
何かをやけ食いしたい気分ではあるが、虚弱体質なので難しい。もう笑うしかない。

私だってこの身体の一応、主である。この「反乱」に何も策を講じていないわけではない。その策の1つが訪問リハビリ。リハビリの先生に自宅まで来てもらって、マッサージ・筋トレ・立位訓練などをする。

まず、身体のコリやら痛みをとるためにマッサージをしてもらうのだが、これが拷問並みに痛い。もちろん、先生があえて痛くしているのではない。私の身体が、外部からの刺激を極端に嫌がる設計になっているらしい。とんでもない設計ミスだ。

先生と今日のリハビリの方針みたいなものを話すとき、痛かったり違和感があるところを伝えるのだが、先生は大抵、笑顔で「ずっと座ってパソコン打って。ひとり暮らしで頑張ってんだもんな。疲れるよな。」と言う。

そのとき、ハッとするのだ。私の身体も心もいつも割と頑張ってるのではないかと。

不意打ちの労いの言葉に思わず泣きそうになったが、泣かなくて済みそうだ。なんせ、拷問の最中。痛みで、それどころじゃない。ふと先生と目が合った。彼女はニヤリとした。言われなくてももう分かる。痛みの本丸へ突っ込むのだ。涙が出ませんようにと、あんまりアテにしていない神様に念のため祈っておいた。

私は、自分の障害を個性だとは、思わない。こんな個性、あげれるもんなら速攻で誰かにあげる。しかし、現実はそうではない。誰もいらないだろうし。「鶴﨑彩乃」として、生まれてくるための装備品が、人よりポンコツだったのだ。

それは、誰のせいでもない。変わり者の前世がもしかしたら、選んだのかも知れないけど。愚痴を言いつつ、人生を歩んでいくしかないのだ。このポンコツな身体とともに。

愚痴を聞いてくれて、ありがとう。また愚痴るかもしれないけれど、まぁ。気が向いたら聞いてほしい。たまーに褒めてもらえたらテンションあがるかな。

 

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ(計算不要)

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

 

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