0歳のマサルヘ / 佐々木 優

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0歳のマサルへ、お元気ですか。
46年後のマサルから手紙を書きます。

君は3780gという大きな身体で産まれて、お母さんはすごく大変だったみたいだよ。
重たい君を背負って、お母さんは朝早くからタオル工場に行っているよね。
工場はホコリが多いから、マサルの身体が痒い痒いだね。
帰ってもお家にはお風呂がないから、大きなタライでお母さんが行水をしてくれるでしょう。
気持ちいいね。

おいおい感じるだろうけど、残念ながら君が産まれたお家はあまり恵まれていないかな。
これから先、君のお母さんとお父さんはお金のことでいつも喧嘩をすることだろう。
時々お茶碗とかお箸とかが空を飛ぶんだよ、すごいね。
大きくなって、もしお母さんが傍で泣いていたらマサルが慰めてあげてね。

そんなお家だけど、君は皆に可愛がられるよ、ユウさんユウさんって呼ばれてね。
今のお母さんは好きですか。
今のお父さんは好きですか。
お姉ちゃんも、お兄ちゃんも好きですか。
遊んでくれていますか。
あまりおもちゃもないと思うけど、毎日笑っていますか。

大きくなったらマサルはナニになるのかな、知ってるけど。
君はきっと、皆に優しくされて育つから、大きくなったら周りの誰かに優しくしてあげようね。
これを【恩送り】っていうんだって。
【恩返し】と違ってね、優しい気持ちが色んな人の手から手に伝わっていくんだよ。
マサルが優しく笑ったら、お母さんも優しく笑うよ。
お母さんが笑ったら、お仕事場の人もきっと笑ってくれるね、素敵だね。

寂しい気持ちになった時は、お姉ちゃんやお兄ちゃんの傍にいてね。
幼稚園にいく頃になってもね、泣き虫の君はいつも大泣きしてきょうだいを困らせるだろうけど、二人とも懲りずに君を守ってくれるよ、優しいね。
君のお父さんもお母さんもお仕事で忙しいから、きょうだい仲良くね。

マサルはご飯を食べてもよくモドしてしまう子だから、僕はそれだけが心配だよ。
残念だけど、大きくなっても、大人になってもずっとそれは続くんだよ。
辛い思いは君の傍から消えることはないと思うけど、頑張ろうね、ごめんね。
でも、もし熱が出たら近所のおじいちゃんが不二家のピーチネクターを買ってきてくれるよ、ごちそうだね。
今の僕はもうあんな甘いもの絶対に飲めないけどね、面白いね。

寂しいことをたくさん書いちゃったけど、安心してください。
マサルのお父さんとお母さんは、今も僕の家で元気で暮らしていて、今はお金のことでは困っていないみたいだよ。その代わり、家事や身体のことでいつも喧嘩をしているよ、まったく懲りない二人だね。
50年近くも相変わらず喧嘩をしていられるんだから、仲良しこよしだね。

今のマサルも、毎日大好きな仲間達と一生懸命いっぱいお仕事を頑張っているからね。
幸せだよ。
こうして君にお手紙を書いていたら、今が本当に幸せだって気付くことができたよ。

長くなったから、この辺でおしまいにするね。またお手紙を書くから読んでね。
それまで、毎日元気に泣いて、いっぱい笑って、くじけずに生きるんだよ。
46歳のマサルも、0歳の君に負けないように、しゃんと生きるからね。

最後に。
マサル、産まれてきてくれて、本当にありがとうね。

※写真は、18歳の頃の自宅火災の際に奇跡的に焼け残ったものです。

 

佐々木 優(ささき まさる)
ホームケア土屋 四国

 

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