土屋の挑戦 インクルーシブな社会を求めて㉗ / 高浜敏之

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27 土屋の12のバリュー③ 社会正義の追求

命への、他者への、理念への責任を選び取り、社会正義を実現する

第2のバリューにはこのように書かれている。私たちはビジネスモデルに立脚して社会正義の実現を追求することを決断した。

社会正義とは何か?それは社会的公正と呼び変えてもいいかもしれない。正義と公正の反対はいうまでもなく不正義であり、不公正である。

社会には様々な不正義や不公正が横たわっている。環境問題、貧困問題、ジェンダー差別、優生主義、などなど、放置してしまったら人類の存続も危ぶまれるような様々な社会的課題があり、その解決は急務である。国連はこれら社会的課題を世界中の人びとや国々が一体となって解決するために、2015年9月の国連サミットでSDGsを採択した。SDGsは17の大きな目標と、それらを達成するための169のターゲットで構成される。

すなわちSDGsは全世界の人びとが共有すべき社会正義の総体の指標といっていいかもしれない。だから、バリューで社会正義を追求すると宣言した私たちは、SDGs経営を推進することを決断したといってもいい。ソーシャルビジネスというスタイルを選び取った私たちにとって、社会正義の追求やSDGsの実現が目的であり、売り上げと利益の最大化というビジネス上のターゲットはあくまで目的達成のための手段として位置付けている。

そもそも、障害や疾病を持つ人自身が望まないにも関わらず施設や病院で過ごさざるを得ないという状況はノーマライゼーションの思想にも悖り、社会正義に反していると考える。私たちが日本中くまなく重度訪問介護サービスを提供したいと思っている理由は、もちろん障害や疾病のニーズに応えたいという想いもあるが、同時にやむなく施設や病院での生活を余儀なくしている状況が社会正義に反すると考えるからでもある。

SDGsの3番目の目標には次のように書かれている。

3 すべての人に健康と福祉を

私たちの現在のメイン事業は訪問介護サービスの提供であるが、その目的はSDGsの3番目の目標を達成することでもある。介護を受けたくても受けることができない状態を介護難民問題と定義しているが、この介護難民問題を解決することでまた一歩このSDGsの3番目の目標達成に近づくと考えている。

日本がジェンダーギャップ指数で調査対象の156か国中120位であるというのはよく知られた話である。このジェンダーギャップを埋めることが公正な社会になるために必要不可欠であることはいうまでもない。また昨今、子供の貧困が深刻化している。この子供の貧困に関する経済的影響は数兆円にも及ぶと推計されている。

これら諸問題を解決するために、株式会社土屋では様々な取り組みが始まっている。ジェンダーイクオリティー委員会を通じて女性管理職を増やしていこうという潮流が生まれ、併設された非営利組織では移動式子供食堂や24時間対応保育所や知的障害を持った方々のシェアハウスなど、とても大きな可能性を内包するまさにゼロイチの事業が胚胎しようとしている。

このように土屋という大地に様々な社会問題を解決するための取り組みの種子が植えられ、多種多様な活動が開花する未来を願ってやまないし、そんなそれぞれの取り組みが経済的価値の創出に限定されず、しっかりと評価されるような組織文化を作っていきたい。先日「土づくり」というクライアント向けの広報誌が誕生したが、私たちのやりたいことはまさにこれ、社会正義ならびに社会的公正を実現するための取り組みという植物が様々な方向に生い茂ることができるような土壌づくり、だと思っている。

この社会正義を実現するための活動が持続可能となるようにより効率的な運営を心掛け、利益の最大化に努める、この利益を新しい種子を植えるための資源として活用する。という観点から、社会正義の実現とビジネスの効率的な運営ならびに成長に寄与してくれた方々を公正に評価できるような環境を整備していきたい。

 

◆プロフィール
高浜 敏之(たかはま としゆき)
株式会社土屋 代表取締役 兼CEO最高経営責任者

慶応義塾大学文学部哲学科卒 美学美術史学専攻。

大学卒業後、介護福祉社会運動の世界へ。自立障害者の介助者、障害者運動、ホームレス支援活動を経て、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。デイサービスの管理者、事業統括、新規事業の企画立案、エリア開発などを経験。

2020年8月に株式会社土屋を起業。代表取締役CEOに就任。趣味はボクシング、文学、アート、海辺を散策。

 

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