Discover Another World

皆さん、初めまして。田中恵美子です。
新たに始まるコラムの名称を「Discover Another Worldにします!」とお伝えしたところ、担当者の方たちから「かっこいい!」と褒められて有頂天になっています。わーい!がんばります!
Discover Another Worldという題名を思いついたのは、まさに私が障害のある人たちとの出会いがそうだったからです。そしてこれから私が皆さんに紹介していきたい障害の世界もきっと皆さんにとって新しい世界、違った社会になるだろうと思うからです。
障害のある人たちの出会いは、今から25年前、1995年のことです(ああ、四半世紀!遠い目…)。当時私はサラリーマンで、企画旅行専門の小さな旅行会社で働いていました。そこに障害のある人たちの旅行団体である“希望の翼”から連絡が入りました。
“希望の翼”は福岡県を中心に九州で旅行をメインに活動している当事者団体で、会員には働いて暮らしている人や普段は施設で暮らしている人もいました。国内旅行や海外旅行をすでに何度も経験されていて、今度は北欧に行きたい、しかもいわゆる観光旅行ではなく、施設などを見学したいと私の勤めていた会社に依頼してくれたのでした。
それまで私の会社は官庁などの視察旅行が多く、障害当事者との旅行は初めてでした。手配の事務的な仕事ばかりしていた私にも、いろんな人がいるからということで、研修と介助要員を兼ねて添乗が命じられました。
今、視察として思い出せるのは、スヌーズレンがあって、ボールプールがあって、、、ということぐらいで、後は美術館でレンブラントを見たこと、お城をめぐったこと、夜、毎晩のように皆さんの交流(飲み会)につきあったこと、そうそう、魅惑的なおねえさま方がガラス越しに客を誘う、いわゆる”飾り窓街”にもいきました…。オイオイ、一体どこに行ってんだか
石畳の街並みを手動の車椅子でこぐ人、その力強さに驚き、でも疲れてしまうのではないかと、私が「押します」と申し出て一緒に歩いたこと。膝に砂袋を置いて在位を保つような、最重度の障害者の方のシャワーに付き合って、一緒に入って気持ちよさそうな笑顔を見せてくれたこと。
やったこともない介助を何の恐れもなくやっていた自分が、今思うと恐ろしいですが、楽しくて仕方なかった。「ありがとう」と言ってもらえることがうれしかった。役に立っているという実感があった。
今、思うと本当に申し訳ないのですが、私自身がエンパワーするために旅行に参加したような気がします。お金もらって自分が元気になって…。本当にすみませんでした。
旅行は結構長かったような… その記憶さえももうあいまいなのですが、帰国まであと数日という頃になると、皆さんがだんだん帰りたくないというようになりました。もちろん、旅が楽しいのは私も一緒ですが、もっと切実に「帰りたくない!」とおっしゃいます。
普段の生活では移動が不便なこと、なかなか飲みに行けないこと、聞いてみると、それはこの旅行でも同じではないか…。先の石畳しかり、飲み屋の入口だって段差があったし。でも日本と明らかに違ったのは、どこでも入れたこと。手を貸してくれる人が必ずいる。入った後、店で嫌な思いをしなかった…そんなことを聞かされながら、なんとなく私がそれまで知らなかった日本の一面が見えたような気がしました。
さて、その後、私は日本に帰ってきてから、もっと障害のことが知りたくなりました。正確にいうと、障害という視点から見た日本社会が知りたくなったのです。それがきっかけで私は28歳で大学3年生に編入しました。
ということで、第1回目はここで終了です(^^次回にこうご期待(^_-)-
田中 恵美子(たなか えみこ)プロフィール 
1968年生まれ。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業後、ドイツ・フランクフルトにて日本企業で働き2年半生活。帰国後、旅行会社に勤務ののち、日本女子大学及び大学院にて社会福祉学を専攻。その間、障害者団体にて介助等経験。現在、東京家政大学人文学部教育福祉学科にて、社会福祉士養成に携わる。主に障害分野を担当。日本社会福祉学会、障害学会等に所属し、自治体社会福祉審議会委員や自立支援協議会委員等にて障害者計画等に携わる。研究テーマは、障害者の「自立生活」、知的障害のある親の子育て支援など、社会における障害の理解(障害の社会モデル)を広めることとして、支援者らとともにシンポジウムやワークショップの開催、執筆等を行い、障害者の地域での生活の在り方を模索している。