怒りの作法 / 坂本友志(ホームケア土屋 関東)

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介護の世界に飛び込んでから今年の8月でようやく2年目となります。個人的には、まだ2年も経ってないのかと思っておりますが、それは毎日が充実している証拠なのでしょう。

さて、異業種から転職してきて介護職の世界では、「怒り」ついて触れる、考える機会が増えてきたように思います。

これまでの私の持っている「怒り」のイメージは反骨精神などの怒りから生み出されるパワーと言った良い側面として捉えて生きてきました。現に私も何度も怒りに身を任せてナニクソの精神でやる気になり乗り越えた事もありました。

ただ、今回の介護職の世界での怒りについて考えてみた時に真っ先に思い浮かぶのは、クライアントとアテンダントとの間に生じる齟齬だったり、アテンダント同士の人間関係性だったり、色んな局面で怒りについて触れる事が多いので、私なりに怒りとの上手な付き合い方について書いてみようと思います。

怒りには他者に対して向ける怒り、自身に対して向ける怒りのパターンがあると思います。

私に関しては後者の怒りパターンが殆どなのですが、大抵そのときの怒りと言うのは、自分自身に問題があることが多いです。

その原因は決まっていて、自分でもわかっているのに出来なかった時に発動します。

「何で何度も同じようなミスをおかしてしまうんだ」と言う絶望感からの自己否定的な考えになり、負のスパイラルに堕ちていき、自分自身に対して「何で出来なかったのだ!」と怒りに向いていきます。

やがてその怒りがストレスとなりイライラが更に増幅して…

と、どこかで止めないと永遠に続きそうなのでここまでにして、私が個人的に実践している怒りとの付き合い方ですが、まずは自分自身についてよく知ることが大事です。

私においては、自分自身の心や行動の余裕がない時にこの怒りのパターンに陥り易いです。

人によって余裕に関しての解釈は様々かと思いますが、介護の現場においての余裕とは相手とのコミュニケーションの距離感であったり、支援内容を頭に入れて正確に行動できる事ではないかと思います。

最近は新人のアテンダントとも一緒に支援に入ることも多くなり、目の前で「あっ!このままいくとミスが原因で負のスパイラルに突入するな」という局面をみているので、まるで過去の自分をみているような感じになるのですが、支援の後に聞いてみるとやっぱり自己否定的にあふれた感想が返ってきます。

この自己否定的な感情になると頭が真っ白になり耳を塞ぐように一時的に他人の言葉が入ってこなくなります。私の場合は部下の耳が開くまで取り敢えず待ちます。

このタイミングでそこに陥った原因を究明し、理解し、一緒に解決出来れば怒りに陥る前の対処は可能で、むしろ成長に繋がります。

人によって自己否定的な感情になるタイミングは様々です。
先ずはどの支援先でも自分自身が不安になる、自信がない要素を先に考え、予測して上司に相談することで解決できる事も多いと思います。

ここで私が経験したある支援先でのエピソードを紹介します。

他社同行で新規の支援現場に入った時にベテランのヘルパーさんがリモコンでリフトを操作しているときに私にボソッと「私はこのリフトを信用していません、何故ならいつ壊れてもおかしくないじゃないですか。所詮、機械ですから」と言った時に「プロだな」と感心しました。

今にも壊れそうなボロボロのリフトだったら同じように思うかもしれません。ただそのリフトは製品としては新しく、普通の感覚ならそんな事は起こらないだろうと思える状態だったのです。

これはベテランの方でも常に最悪の事態を想定して支援に臨んでいると改めて知ることが出来たエピソードです。

訪問介護は一対一が基本です。
だからこそアテンダントとクライアントの関係はガラスのように繊細で尊いものだと常に感じます。

アテンダントとしてクライアントの支援にどれだけ真剣になって入れているか、その為に自分の苦手な事をきちんと上司に相談できているか?

私も人に教える立場になり、常に探求心を忘れず、良いことは積極的に取り入れて皆に還元していこうと思います。

最後に余裕を持って行動するためのコツとしては、私の場合、常に失敗する所から最初に考えて、自分なりにどうやったら成功するかの道筋を考えて行動してきました。

よく言われるのが「成功のイメージを持って常にポジティブに!」とありますが、私は「ネガティブからポジティブ」に思考をもっていく方が好きなタイプですので、常に失敗先行型です。

これに関してはスポーツをしてきた時の思考になりますが、一旦、対戦相手に負ける場面から考えて、負けるなら何で負けるのかまで予想する、そして次に負けない為にどう動くかを考える。それを繰り返すことで勝ちパターンを導き出すという考え方です。

自分の弱点を理解し、克服する。

まずは自分を良く知り相手と向き合う事から始めることで怒りのバランス感覚は徐々に改善していくのかもしれません。

 

坂本 友志 (さかもと ともゆき)
ホームケア土屋 関東

 

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