配置すると報酬が加算される「医療的ケア児等コーディネーター」とは?

医療的ケア児が増加する中、「医療的ケア児等コーディネーター」と呼ばれる職種が注目されています。医療的ケア児等コーディネーターを配置した事業所は、障害福祉サービス等報酬の加算対象にもなります。

当記事では、医療的ケア児等コーディネーターという職種について、また報酬の加算について解説します。医療的ケア児等コーディネーターを理解したい方はぜひご参照ください。

目次

医療的ケア児等コーディネーターについて

「医療的ケア児等コーディネーター」とはどのような職種なのでしょう。

ここでは前提となる「医療的ケア児」や「医療的ケア」について触れつつ、医療的ケア児等コーディネーターの役割やなり方について、以下3つの観点から解説します。

  1. 医療的ケア児と医療的ケア
  2. 医療的ケア児等コーディネーターとは?
  3. 医療的ケア児等コーディネーターになるには

医療的ケア児と医療的ケア

「医療的ケア児」とは、生きていく上で日常的に医療的ケアが必要になる児童のことです。

「医療的ケア」とは、代表的なものでは「喀痰吸引」「経管栄養」「導尿」「在宅酸素療法」などが挙げられますが、ケア児の症状により多岐に渡ります。

医療的ケアは、医療者(医師や看護師など)が行う医行為(医療行為)とは区別されています。

自宅、保育所、学校などの医療機関以外の場所で、家族もしくは研修を受けた教員や介護者等が日常的に行う医療的生活援助行為が、一般的に医療的ケアと呼ばれます。

医療的ケア児等コーディネーターとは?

医療的ケア児が生きていくためにはさまざまな社会的支援が必要になります。

しかし、まだまだ社会的な認知度も低いため、親御さんが医療的ケア児に必要なサービスや施設を探そうとしてもなかなか見つからず、苦労しているのが現状です。

「医療的ケア児等コーディネーター」とは、医療的ケア児が必要としている支援やサービスの調整を行い、医療的ケア児やその家族が安心して過ごしていけるように、総合調整(コーディネート)を行う仕事です。

加えて、医療的ケア児を支援するための地域づくりを推進することも、医療的ケア児等コーディネーターの役割です。

似た職種として、障害を持つ児童などに対し、相談、支援、サービス調整などを行う「相談支援専門員」があります。しかし相談支援専門員は、医療的ケア児の分野に精通していないことも多く、より深く医療的ケア児をサポートできる存在として、医療的ケア児等コーディネーターが養成されることになりました。

医療的ケア児等コーディネーターになるには

医療的ケア児等コーディネーターになるためには、各都道府県で実施されている「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」を受講する必要があります(無料)。

養成研修は、講義と演習合わせて3~4日程度となり、東京都のように講義のみオンライン上で行う自治体もあります(日数、定員、講義方式などは自治体により若干異なります)。

※参考として、以下は、東京都での医療的ケア児等コーディネーター養成研修の概要です。
東京都福祉局 東京都医療的ケア児等コーディネーターについて

養成研修の主な受講対象は、医療的ケア児等コーディネーターとしての役割を担う予定のある、相談支援専門員、保健師、訪問看護師、行政職員などが想定されています。受講する上で、職業や年齢などの明確な定めはありませんが、自治体の推薦が必要となるケースもあります。

要医療児者支援体制加算について

医療的ケア児等コーディネーターを配置した事業所は「要医療児者支援体制加算」の対象となり、障害福祉サービス等報酬を加算することができます。

ここでは、この要医療児者支援体制加算について解説します。

要医療児者支援体制加算とは?

「要医療児者支援体制加算」は、障害福祉サービス等報酬における加算項目の一つであり、加算は35単位/月となります。

平成30年度障害福祉サービス等報酬改定により、計画相談支援及び障害児相談支援について、質のさらなる向上を目指すための見直しが行われ、要医療児者支援体制加算が新設される形となりました。

要医療児者支援体制加算の対象となる事業所は?

重症心身障害など医療的なケアを要する児童や障害者に対して、適切な計画相談支援等を実施するために、「定められた研修」を修了し、専門的な知識及び支援技術を持つ相談支援専門員を事業所に配置すると、要医療児者支援体制加算の対象となります。

この「定められた研修」というのが、前述した「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」にあたります。医療的ケア児等コーディネーター養成研修を受講し、医療的ケア児等コーディネーターに認定された人材を配置することで、その事業所は加算の対象となります。

なぜ今、医療的ケア児等コーディネーターが注目されているのか

医療的ケア児等コーディネーターが注目されている理由の一つとして、医療ケア児人口の増加が挙げられます。

昨今、新生児医療技術が向上したため、ひと昔前の時代では命を落としていたような疾患や障害を抱える児童を助けられるようになりました。

同時にそれは、継続的なケアが必要になる医療的ケア児の増加に繋がる形となり、2021年(令和3年)における国内の医療的ケア児人口は20180人まで増加しています。

医療的ケア児の中には、日々頻繁なケアが必要になる児童もおり、ケアをする周囲の家族などに大きな負担が圧し掛かっていることが多いです。中には子供のケアのために、仕事を退職したり、離婚してしまうケースもあります。

不安や悩みを抱える医療的ケア児、またその家族が増える中、社会全体で支援を行っていく必要があります。その最前線にいるのが、医療的ケア児と社会の繋がりを総合調整(コーディネート)する医療的ケア児等コーディネーターであり、今各方面から注目されています。

「医療的ケア児等コーディネーター」を将来の仕事に

以上、医療的ケア児等コーディネーターについて解説しました。

医療的ケア児が増加する中、医療的ケア児等コーディネーターに対しての需要も今後より高まっていくことが予想されます。

いま、福祉、介護、看護などの仕事に就いている方であれば、医療的ケア児等コーディネーターはその延長線上にある仕事の一つともいえますので、医療的ケア児を救いたいという意思がある場合は、将来の仕事として考えてみるのもよいかもしれません。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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