医療的ケア児は何歳まで?医療的ケア児の定義と現状、相談先について

「医療的ケア児って何歳まで?」「医療的ケア児がよくわからない」と医療的ケアが必要な児の制度についてお悩みではないでしょうか。

この記事では、医療的ケア児は何歳までかという疑問にお答えしながら、医療的ケア児の定義とその家族の現状についても解説します。

あわせて、医療的ケア児が受けられるサービスがわからない時の相談先も紹介しています。

医療的ケア児がよくわからない方の参考になる内容となっていますので、最後まで読み進めてください。

目次

医療的ケア児は何歳まで?

医療的ケア児は何歳までかというと、18歳未満の児童のことをいいます。

なお高等学校等に在籍する医療的ケア児が、誕生日を迎えて18歳になったとしても、卒業するまでは医療的ケア児です。

医療的ケア児の年齢は、令和3年に制定された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律にて定められています。

なお医療的ケア児とは、日常生活や社会生活を営むために、医療的ケアを受けることが不可欠である児童のことをさします。

医療的ケアとは、人工呼吸器の管理や酸素吸入器の管理、吸引、経管栄養、導尿などが挙げられます。

医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律

上で少し触れましたが、ここでは医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律に関して説明します。

目的

医療技術の進歩によって医療的ケア児は増加していますが、医療的ケア児の心身の状態に合わせた支援体制が整えられていないことが課題でした。

また家族は医療的ケア児の介助のため、離職するケースが少なくありません。

そのため医療的ケア児の健やかな成長をはかること、そして医療的ケア児の家族の離職防止の助けとなる目的で令和3年に制定されました。

そしてこの法律は、誰もが安心して子どもを産み、どのような子どもであっても育てられる社会実現に貢献する目的もあります。

支援措置

医療的ケア児とその家族に対する支援措置は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 国・地方公共団体による措置
  • 保育所の設置者、学校の設置者等による措置
  • 医療的ケア児支援センターによる措置

国・地方公共団体による措置は、医療的ケア児が通う保育所や学校等に対する支援、児童およびその家族の日常生活への支援、相談体制の整備、人員確保などを行っています。

保育所の設置者、学校の設置者等による措置は、保育所の支援では看護師等または喀痰吸引等が可能な保育士の配置、学校の支援では看護師等の配置を進めています。

医療的ケア児支援センターによる措置は、児童とその家族の相談にのって情報提供や助言をすることや、医療・保健・福祉・教育・労働等に関する業務を行う関係機関等への情報の提供や研修を行っています。

参考)
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律 厚生労働省
医療的ケア児支援センター等の状況について 厚生労働省

医療的ケア児とその家族の現状

ここからは、令和元年度から令和2年度にかけて行われた、医療的ケア児者とその家族の生活実態調査の報告書から、医療的ケア児とその家族の現状について一部抜粋して紹介します。

この調査は、全国47都道府県、1,741の市町村にて調査されています。

医療的ケア児の年齢は3歳〜19歳で、3歳が最も多く、次いで4歳、2歳と幅広い年齢に分布していました。

必要な医療的ケア

医療的ケア児に必要な医療的ケアは、数が多いケアから以下のとおりです。

  1. 経管栄養(経鼻・胃ろう・腸ろう)
  2. 吸引(気管内、口腔・鼻腔内)
  3. 気管内挿管、気管切開
  4. ネブライザー
  5. 酸素吸入
  6. 人工呼吸器管理
  7. 持続注入ポンプ使用
  8. その他(インスリン注射、血糖値測定、成⻑ホルモン注射、浣腸、膀胱ろうなど)
  9. 定期導尿
  10. 鼻咽頭エアウェイ
  11. 人工肛門
  12. 中心静脈栄養
  13. 継続する透析(腹膜灌流を含む)

経管栄養は調査全体の77.4%、吸引は69.0%と、全体の半数以上の医療的ケア児に必要な医療的ケアとなっています。

経管栄養と吸引は医師・看護師だけでなく、研修を修了した介護職員でも可能です。

また保育士も、吸引の研修を修了した職員であれば可能です。

そのため医療的ケア児に対応できる事業所が増えてきており、以前よりもさまざまなサービスが活用できるようになっています。

ただし、経管栄養と吸引以外は医師・看護師の対応が必要ですので、各事業所や保育園、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教育機関では看護師の配置を進めているところです。

医療的ケア児のサービス・制度への理解

報告によると「医療的ケアを必要とする子どもの⽀援サービス・制度がよくわからない」に対して「当てはまる」が19.9%、「まあ当てはまる」が25.1%でした。

合わせて45.1%の方が、医療的ケア児へのサービス・制度がよくわからず、45.1%の中の77.0%が相談支援が必要と回答をしています。

そこで相談先が明確化された支援が、医療的ケア児支援センターの設置です。

医療的ケア児支援センターの役割

医療的ケア児支援センターは「どこに相談すればよいかわからない」という医療的ケア児の家族からの相談窓口を担っています。

医療的ケア児支援センターへ相談すると、地域の適切な担当者に繋げられるような情報提供やアドバイスをうけられます。

医療的ケア児に悩んでいることがありましたら、まずは医療的ケア児支援センターへ相談をしましょう。

加えて医療的ケア児支援センターは市町村や各関係機関と連携・対応しており、医療的ケアとその家族のニーズを共有しています。

事例や最新施策の共有、医療的ケア児等支援者養成研修等の実施もしており、中核的な役割を担っています。

なお医療的ケア支援センターは、各都道府県の設置義務とされています。

東京では2箇所設置されており、一か所は豊島区南大塚にある東京都立大塚病院内、もう一か所は府中市武蔵台にある東京都立小児総合医療センターです。

参考)
医療的ケア児支援センター等の状況について 厚生労働省
東京都医療的ケア児支援センター 東京福祉局

医療的ケア児の支援は拡充が期待される

この記事では、医療的ケア児は何歳までという疑問にお答えしながら、医療的ケア児の定義と現状について紹介しました。

医療的ケア児の介助やサービスなど、あらゆる悩みをお持ちの方は、医療的ケア児支援センターへご相談ください。

医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律は令和3年に制定されたばかりであり、これからの拡充が期待されています。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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