―ここまで仕事について聞いてきたので、「お休みの日こんなことしてます」なんてお話を聞かせていただきたいなと思います。
お休みの日は今、犬を飼っているので、犬と遊んでるか。
あとは私、野球観戦がすごく好きなんです。コロナ前は北海道外も行ってました。
よく友達に言われるんですが――大阪だったら京セラドームに野球の試合を見に行く。
「じゃあ、そのついでにUSJに行こうかな」って言うと、「いや、ついでが違うよ」って(笑)。
私の中では野球がメインなんですよね。
ただ、コロナが流行ってからは、全然動かなくなってしまったのもあって今は行けてないんですが、また行きたいなとは思ってますね。
―これからについてはどんなことを思っていますか?看護や介護の仕事を経て、今、定期巡回という新しい仕事に関わるようになって――。
そうですね。
今はまた、高齢者に移ってきました。定期巡回も4月から始まったばかりで、ちょっとずつクライアントが増えてきたかなっていうところです。
お1人暮らしの方が多いんですが、みなさんが少しでも長く在宅生活ができるように支援できればいいなと思います。
今はそのために定期巡回サービスを知ってもらうことをメインでやってます。
ケアマネさんや病院のソーシャルワーカーさんのところへ周知活動で行かせていただいてるので、定期巡回っていうサービスをもっとみんなに知ってもらって使ってもらうことで、
1人でも多く、「定期巡回を使って、在宅生活ができてよかったよ」って言ってもらえるようになったらいいな、って。
今はもう、日々バタバタしながらやってる感じですかね。
札幌市っていう場所は独特で、サービス付き高齢者向け住宅についてる定期巡回が多いらしくて、実際に地域に出ていく定期巡回は市内でも数箇所しかないようです。
ケアマネさんからも「家で暮らしている方のところには巡回してくれないんでしょう」と、まだ理解してもらえないことも多いです。
それを「土屋の定期巡回は違うんですよ」「ちゃんと地域の方のところを回って支援をするんですよ」っていうところはもっともっと広めていきたいなと思います。
正直なところ、最初、周知活動があるって言われた時には、「介護なのに周知活動しなきゃいけないんだ?!」なんて私も思ってたこともあったんですが、幸いにも、札幌白石の事業所のメンバーはすごく協力的。
みんな、「周知活動に行ってくるよ」って言ってくれるし、「周りから支えられてるなぁ」って思います。
いろんな人に広めていって、支援が広がっていったらいいなって、今は思ってます。
―介護というのはいろんな人の人生に触れる仕事なので、出会った方を鏡として、色々思われることあるのかな、なんて思います。千葉さん自身はこれから、こんなふうに生きていけたらいいなっていう思いはありますか?
私は本当、好きなことをして――それこそ今だったら野球観戦して、自分の趣味や楽しみを持って、仕事もしつつ過ごしていければ楽しいな、そういうふうに生活していきたいなって思います。
正直なところ、この仕事をしていて、自分が「施設に入りたいか」って言われたら、「入りたくないな」って思っちゃうので。
できることならずっと在宅で、自分の好きなことをしながら生活していきたいですね。
「ずっと在宅で」と自分が思うからこそ、「同じように思ってる人っていっぱいいるんだろうな」と思えるんです。
そういう思いを持っている方たちをこれからも支えていけたらいいのかなって思いながら――ですね。
―今まで20年近くされてきた看護や介護の仕事の中で、千葉さんが大切にされてきたものや出会った方からいただいたものってありますか?
土屋に入って、重度訪問介護でいちばん初めに入らさせていただいたクライアントの方が、本当に私の中では――多分、今まで介護してきた中でいちばん大きい存在というか。
―先ほどお話しされた女性ですか?
そうですね。私は勝手に「何も伝えられないんだろう」って思い込んでいたんですね。
でも自分の思いをその人なりの方法でちゃんと表現――言葉だけじゃなくて、態度だったり、表情だったり――してくれた。
そのクライアントに出会って、「私はそんなに非言語のコミュニケーションに注視してきたことってあったかな?」って思ったんです。
専門学校の授業の中でも「コミュニケーションって言葉だけじゃないんだよ」とは言われてきたけど、
実際、コミュニケーションを取る時、私は喋ることができるのでどうしても言葉でのコミュニケーションが主になっちゃってたところがあったんです。
でもその方は喋れない。
でもすごく感情豊かに私たちにいろんなことを伝えてくれる――そういうコミュニケーションの仕方があることを教えてもらいました。
ほんっとう、今まで出会った人の中で、こんなにその人のことを思って接したことないんじゃないかな。
その方との出会いがなかったら、私は多分、こちら側の流れに沿った介護しかできなかったんじゃないかな、と思います。
そのクライアントのお家はご家族もすごくいい方で――たまにお父さんがいらして娘さんのマッサージをされるんですが、時々、すっごく嫌な顔をするんです。
で、お父さんと、「やっぱり30代(の娘)にもなって、お父さんにベタベタ体を触られるの嫌だよなぁ」ってお父さんが言ったことに、「いやぁ、そうですよね」なんて私も言って(笑)。
お父さんと一緒に「(娘は)今、こういうことを思ってるんじゃないか」とか、「この表情は絶対怒ってる。今、触ったことで怒ったな?」とかよく話をしました。
そういうちょっとした表情の変化から思いを汲み取れる力をその人はくれたかな――と思います。