―これからのところ伺えればなと思います。
過去の自分の経験から思うのは――「自分自身がヤングケアラーだ」ということに気づいていない人たち、それから当時の私のように、過疎地ゆえに「S O S」を発することもできない環境にいる人たちがいらっしゃると思うんですよね。
そういった方を助けようとした時に、土屋のような規模の事業所や企業でないと救えない人たちがいるんじゃないのかなと思ってます。
過疎地で、地域に密着した運営をしている小さな事業所にとっては、必要な時にすぐにアテンダントを派遣できたり、研修を行える施設が近くにあってすぐに医療的ケアを学べたり――というのはなかなかハードルが高いと思うんです。
でも土屋であれば、全国各地に事業所があることで、都心部から僻地へもアプローチができます。
こういった環境を今以上に拡大させて――小さな声すら出せない方たちにも、何らかの形でアプローチができるようにしていっていただきたいです。
現状では、私自身は直接支援を届けることはできないので、事業部の方たちがそういった声を拾いやすい環境づくりを、バックオフィスとして努めていきたいなと思ってます。
それから――もっともっと先の話になるかもしれないんですが、おそらく10年、20年経つと医療の発展もあると思います。
今まで難病とされていたものが症状が緩和したり止まるような新薬の開発もあるかもしれません。そういった変化と同時に、土屋という会社が今以上に成長できたら、もしかするとほとんどの方にサービスが行き届くんじゃないのかな、なんて思うんです。
そうなった時には、介護分野だけでなく、他のさまざまな社会課題も拾っていけるような会社になってほしいな、と思ってます。
―今の質問と少し重なるかもしれないんですが――今、介護や福祉の仕事を続けている原動力になっているものは山本さんにとってはどんなものですか?
ひとことで言ってしまうと、自分が当事者として、介護現場のリアルを知っているからこそ「なんとかこのサービスをたくさんの方に届けたい」という気持ちが強くあります。
土屋で働かれている方はみなさん、“誰かのために”っていう気持ちを持ってお仕事されていると思うんです。
この仕事に就くまでは自分でも気づいていなかったんですが、自分もホスピタリティの精神が高いんじゃないかな、って――。
そして、私自身も障害や難病を抱える家族のリアルを知っているから、「なんとかしたいな」って。
困っている誰かを救い出すことは、自分ひとりじゃできないかもしれません。
でも福祉の仕事に携わることによって、間接的に誰かを笑顔にしたり、救い出したりができるんじゃないか――それを感じたり、信じてるから、この業界にい続けてるのかなと思ってます。
―最後に――山本さんにとっての“自分らしく働く”ってなんかどういうことかなっていうのをちょっと最後に伺えたらなと思います。
そうですね。“自分らしく”っていうのは、強みの部分を活かせること、活かせる環境が整っていることなのかなと思ってはいるんです。
でも、“自分らしく”ってその時々で変化すると思うんですよね。
なので、その“自分らしく”が変わった時に、周りに正しく伝えたり、気づいてもらえたりできる環境をつくっていくことも含めて、自分の強みを活かして働くことが、“自分らしく”に繋がるのかなと思っています。
―山本さん自身の強み――それは土屋で働くことに限らず、ご自身として生きていくことの強みも含めて――は、どんなところにありますか。
バックグラウンドに関係するかもしれませんが、介護に関しては他人事じゃない人生を送ってきたので、土屋で何か起こると自分ごとのように捉えられると言いますか――。
コンプライアンス違反が発覚した時、「もしかするとどこかでサービスが提供できなくなるかもしれない」と――もちろん企業なので賠償金といったダメージも考えたりはするんですが、
やはり支援を受けている方にサービスが提供できなくなるのがいちばん――クライアントにとっても会社にとっても働く人にとっても、全体の未来にとっても本当に大きな損害なんです。
「このサービスを守らなきゃいけない」っていう意味での意識は誰にも負けないな、っていうところが自身の強みなのかな。
今は自分の経験を強みにできてるかな、と思いますね。