―最後に、これからのことを伺えれば、と思います。「定期巡回でこんなことを行っていきたいな」、と同時に「小金井っていう地域がこんなふうになってたらいいな」というところを聞かせてください。
地域包括ケアがここ何年も言われている中で、定期巡回はすごく大事な役割を担っています。
先ほどもお話ししましたが、小金井はかつてあった定期巡回がなくなってしまった時期がありました。
そういう中でも、自宅で暮らす方を訪問看護さんやケアマネさんが大変な思いで夜を支えていた。
その話を聞くと、この定期巡回サービスを小金井にちゃんと残さなきゃいけないな、と思いますね。
クライアントさんの生活はもちろん、他の介護サービスの人たちにとっても「僕ら定期巡回サービスがいなくなってしまうと、小金井市全体が大変になる」という状況を感じています。
小金井に1事業所しかない僕らはどうしても残らなきゃいけない。
そのためにはきちんとしたサービスを提供できることと、そしてそこに対して働く人たちが働き続けられる環境をつくることをやってかなきゃいけないなとは思っています。
僕はのがわにいた時に「のがわは最後まで安心して居られる事業所だ」ってずっと言ってきたんです。
でも今はーー「小金井市は安心して最後まで自宅にいられる街です」って言えるようになるための、ひとつの要因になれたらいいなと思っていて。
実は小金井の、訪問診療をやってくださってるお医者様たちの集まりの時に、宣言したことがあるんですよ。
「時間はかかるかもしれないんですが、小金井の夜のオンコールは全部うちに振ってもらえるぐらい、ちゃんとした事業所になりたいです」って。
「何かあったら、とりあえず定期巡回を呼んでくれれば介護員が駆けつけます。そこで看護や医療が必要だったら、訪看さんや訪問診療に僕たちから連絡することができるような体制が取れたら、誰もが安心して暮らせる街になるので、そこまでのサービスができるような事業所に成長していけるようになりたい」って話をしちゃったんです(笑)。
だから、やるしかないんです。
ありがたいことに、そこで訪看さんや訪問診療をやってくださってる先生たちがいい印象を持ってくださったようです。
「それぐらいの気持ちを持った事業所さんができてよかった」っていうふうに言ってくださったので。
今、看護師さんやお医者さんの方から定期巡回を使うことをご家族に勧めてくださるようになってきたんですよね。
そういう、いい関係性を構築しながら、小金井がいい街になったらいいな、って思いますね。
―いいですね。もうすでにいい循環が巡っているように感じました。最後に、大岩さんはなぜここまで介護の仕事を続けてこられたのか、この仕事の魅力を伺えれば、と思います。
本音の話をしてしまうとーーあまりこの仕事の魅力の話にはならないんです(笑)。
うつ病になった経緯もそうですし、これまでの話にも出てきたんですが、「自分はなんのために生きてるんだろうな」って思っちゃうところがこどもの頃からあって、今でもそうなんですよね。
誰かに必要とされてないと無価値な人間に自分が思えてしまう人間なので。
本音のところはきっと、消防士をやっていたのもそうだし、介護をやってるのも、直接誰かの手助けになることをしていないと自分自身が壊れちゃうからだと思ってはいます。
それって介護の仕事の魅力でもなんでもなくて、僕自身のパーソナルな部分なんですが、「こういう仕事を選んでいる理由はきっとそこだろうな」とは自分では思っているんです。
人と関わりながら、その人に「あなたがいてくれてよかった」って思ってもらえるーー言葉にしてくれなくてもいいんですが、その人が活き活きと過ごしてる姿を僕は見ていたいというかーー。
自立支援って僕、すごく素敵だと思うんです。
その人が社会的にも、経済的にも、精神的にも自立している姿ってすごく美しいな、って思うので。
そうやって、僕と関わったことでその人が自立に近づいていくことができるのであれば、すごく嬉しい。
それは、そのことで僕自身も「生きていてよかったな」って思えるからだと思うんです。
クライアントさんもそうだし、今一緒に働いているアテンダントに対してですが、「その人たちが幸せに生きてることに近づいていくひとつの要因になれたらいいな」ってずーーっと思って仕事をしてるというかーーだから、“介護の仕事の魅力”については僕は話せないんですよね(笑)。
僕が勝手にやってることなので。
―そうなんですね。パーソナルなところで介護の仕事に関わることになった方は多いのではないかとも思います。もちろんバランスは大事ですが、その部分と、仕事への熱意ややりがいというのはどこかでつながっていると思いますし。
ホームケア土屋関東ブロックマネージャーの小川力信(おがわりきのぶ/有限会社のがわ 副代表)さんから、「大岩くんってパッションの人だよね」ってよく言われるんですよね(笑)。
パッションが漏れてるから、それを感じる人は仲良くなれるね、って。
ケアマネさんでもそのパッションにほだされて「そこがたまらなく好き」っていう人が絶対できるよね、とよく言われます(笑)。