―秋田さんは人と接する中で、どんなことを大事にして日々過ごされていますか。
障害を持つ人の中には自分の思ってることをなかなかお話できへん人もいるので、
なるべく人と話をする時は、時間をかけて話できたらいいな、っていつも思ってます。
中途半端に聞いて、「わかった」となるものではないので。
そこが私にとっては大事かな。
―KOTOでの関わりはどんな感じなんでしょう?スタッフ同士の連携や、普段からみなさんでいろんなことを共有したり……
そうですね。
たとえば私はスタッフのひとりずつに「○○さんがこんなふうなんだけど、何かわかることある?」みたいに問いかけてますね。
グループL I N Eやったら言いにくいこともあるやろうし、ひとりずつに「こんなことあったんやけど、どういう考えしてる?」「○○さんには、どんな対応をしてる?」って。
本当は同じ対応してもらわないと困るところもあるけれど、それぞれ対応も違うかもしれないし、考えもみんな違う。
だから、それぞれの考えを聞いて、「そうなんや」って思うことは私もよくあります。
―そういうやり取りを大事にされてるんですね。
そうですね。
うちのスタッフには、ダブルワークの人が多いんです。
例えば、転職した先が合わなくて、一回辞めてからまたKOTOに帰ってくる人もいるんです。
辞める時、相談もしてくれて、いろいろ考えて、辞めたんやと思います。
その時は「また、KOTOが良かったら帰ってきてね」って伝えているんです。
それもあって、他に仕事しながらも長く続けてくれてはる人もたくさんいらっしゃいます。
ただ、働くスタッフの年齢は上がってきてますね。
スタッフは全員で13名いるんですが、上は70代から、いちばん下が40代。
40代の方が今ひとりしかいないんですよ。
先のことを考えたら、若い人がもっと入ってきてくれたらいいなって思いますし、「若い人の考えも聞きたいな」って思うことはありますね。
―この仕事を続けてきた中で、出会ったものとか、秋田さん自身が変わってきた部分とかってありますか。
昔はもっととげとげしかったかもしれません。
年齢的なものもあって、あんまりこの頃は怒らなくなってきたかな。
「諦めてるのかな」って思う時もありますけど(笑)。
スタッフが私が怒らへんのを見て、「秋田さんは怒らなあかん時に怒らなあかんねんで」っていうことは時々言われます(笑)。
優しすぎるのもあかんし、なんでもかんでも自分でしようとするから、「次の人が育たへん」っていうことも言われますし。
―日々の中ではいかがですか。管理者として、というところでも、普段の関わりの中でも、喜びとか、「こんなことあると嬉しいな」、とか感じる瞬間があったら教えてください。
喜び――そうですね……。
毎月15日に「スペシャルデー」って言って、ホームで出す食事をいつもと違うスペシャルの食事にしているんです。
この間はお寿司とか、そうめんを夏バージョンで出しました。
その翌日に出勤すると「美味しかった」「よかった」って言って、クライアントが喜んでくれるのが嬉しいことかな。
喜びといったらそれぐらいかな……正直、「また今日何が起きるかな」とか思うことの方が多くて。
この間は突発的に救急車で運ばれた人がいて、遠くの病院まで迎えに行って――毎日いろんなことがあって、楽しいって言えば楽しいんかな(笑)。
「毎日が平凡じゃなくて、いろんなことがあるから、私、この仕事続けられるのかな」っていう思いもありますね。