―浜本さんの価値観をお聞きできればなと思います。人と関わる時、どんなことを大事にして関わられていますか?
そうですね。
やっぱりたくさんのお母さんや、こどもさんたちと関わってきた中で、最終的に根底にあるものって、「愛なんだろうな」っていう感覚があるんですよ。
言葉とか、そういうのでもなく、無条件のあたたかい思いーー。
なので、お母さんたちに「こうしてあげたい」とか、「ああしてあげたい」っていうものって今はあまりなくて、
お母さんたちが来られて、その場に価値をつけてくださったらそれでいいかなって思ってるんですね。
なので、いつも変わらずーーお母さんたちがどんな思いで来られても、ほっとできる瞬間だったり、「あたたかいな」って思ってもらえるものを持って帰ってくれたらいいのかな。
もう年齢的なものもあるんだと思うんですけどね。
昔は「こんなふうにしたら嬉しいかな」って思っていたんですが、それって人によって違うし、「これは助かるな」って私が勝手に思っているだけで、それは私自身の価値観だなって思うんです。
私が発信できるものって本当に何もない。
だから、ただただここにいて、求めてくれるんだったら、求めてもらえるものを持って帰ってくださいーーっていうぐらいの思いで今はいます。
―お母さんやお子さんにとって、浜本さんのような方が「いつもそこにいる」ことが大事なんですね。
そうですね。
時には楽しく話して帰るだけの日もあるかもしれないし、何かを求めて来られる日もあるかもしれない。
でもそれはその方次第でいいんです。
私の方はいつも変わらず、受け止められたらいいなってーー。
受け止める、なんていうのもちょっとおこがましいかもしれません。
―これまでの関わりの中で嬉しかったこと、かけていただいた言葉にはどんなものがありますか?
保護者の方から、本当にあたたかい言葉をいただくんです、「ありがとうございました」って。
でも、いちばんかけていただくのって「出会えてよかったです」っていう言葉なんです。
「本当に、先生に出会えてよかったです」っていう、その一言。
人と人が出会うって、何万分の1、何千分の1の確率ですよね。
そこで何かしてもらったからっていうことではなくて。
ただただ、出会えたこと。
「出会えてよかったです」って言っていただけると嬉しいですね。
そういうーーもう覚えていないんですけど、「あの時のあの言葉がすごく響いてます」みたいなことをちゃんと覚えていたらこういう時、すごくいいんでしょうね、きっと(笑)。
―実際に、メイでは保護者の方たちとどんなふうに関わられているんでしょうか。
そうですね。
こどもを見る視点――いわゆる“保育士としての視点”っていうものがあるんです。
「この年齢だと何がどのくらいできるか」とか、「親はこういう関わり方をするといい」とか。でも、実際に子育てをしていたら、そういう視点ではこどもを見れない。
そこにすごくモヤモヤしてしまう保護者の方っていっぱいいらっしゃって。
私は保育士なんですが、今、子育て支援に来られてるお母さんたちには保育士のような関わりはしないんです。
お母さん目線で、「こんなところがこんなふうに成長したね」とか、「こういう見方をしたら、目に見えてないところも見えてくるよね」って、同じ目線で話をさせてもらうようにはしてるんです。
でもそれは難しくてー―「しんどさを感じてるお母さんがたくさんいらっしゃるんだな」と思ってます。
―そこがやっぱり、今、子育て支援事業をすることになった理由になっているんでしょうか。
ひとつこれ、っていうよりはそんな経験の積み重ねですね。
お母さんたちにとって大事、というか、「必要な場所なんだな」っていうことを強く感じたので。
保育園に勤めていた時もそうでしたね。
お迎えに来られた時にする、保護者の方との話がすごく大事。
それを感じたので、「保育事業を立ち上げるとしたら、お母さんにアプローチできるところかな」と思いましたね。