―お休みの日はどんなことをされていますか?
そうですね、もうずっと映画を見てます。最近は『南極物語』っていう、南極観測隊とそり犬のタロとジロの映画をずっと(笑)。
―ドキュメンタリーや動物が出てくる映像を見てると、心が休まるとかいうか……
そうですね。映像と音楽はずっと好きですね。
映像は、見始めたら休みの日だと1日4、5本見てるかもしれません。寝る間もないぐらいずっと見てます(笑)。
あとは猫とゴロゴロして過ごしてますね。
―ちなみに好きな映画や、映画監督さんはいらっしゃいます?
坂元裕二さんっていう脚本家の方がいらっしゃるんですが、その方の脚本がすごく好きですね。
セリフがセリフっぽくないというか――。
演者さんもそういうふうに演じているとは思うんですが。大好きで、一時期、坂元さん脚本のドラマのシナリオを全部書き起こして、読んでいたことがありました。
―セリフ、ストーリー、会話のやり取り…‥どんなところに魅力があるんですか?
なんでしょうね。
深いところをつきつつも、コミカルなところがあって、重すぎないようにしてるところがあったり――なんて言ったらいいんだろう。
登場人物の人間らしさがにじみ出ているセリフが好きです。どのキャラクターも存在しているように感じます。
―ちょっとまた、仕事の話に戻ります。今、関わっているホームケア土屋福岡のクライアントさんやアテンダントさんについて教えていただきたいです。
私が関わっているクライアントさんで、昨年から支援をスタートしたばっかりで、ずっと居宅介護で支援を繋いでいた方がいらっしゃるんです。
ご自身で体を動かすことはできないんですが、自ら発信してヘルパーを集めて――っていうパワフルな方なんですが、
初めはなかなか関係が築けず、事業所やヘルパー側の現状をご理解いただけない場面も多かったんです。
でも最近は関係が築けてきたことで、私たちヘルパー側の状況も含め、いろんなことを知っていただけるようになって――ちょっとしたことでも泣きながら感謝してくださったり、
外出のご要望があるのに、2人体制がどうしても取れなくて、「人手不足で申し訳ないです」って事情を説明したら、「きつい時とか、あったら言ってね」って言ってくださったりとか――。
福岡のアテンダントさんはみんな本当に責任感が強くて、こまめに連絡をくださったり、現場の報告をしてくださるので、なんかそこは嬉しい部分かなとは思いますね。
―ご自身の経験も含め、「介護ってこんな方に向いてるんじゃないかな」と思うことはありますか?
私自身もそうなんですが、介護未経験で入っても、やる気があって、コミュニケーションとか接客業が好きな方だったら、この職種には向いてるんじゃないかな、と思います。
人が好きで――っていうのがあれば。だから、まずはトライしていただけたら嬉しいですよね。
私自身は、入ってくださった方が「入社して、本当に良かったな」「やりがいを感じるな」「充実してるな」って思えるような環境づくりに、これから取り組んでいきたいですね。
せっかく入ってくださったのであれば、長く勤められることがいちばん好ましいことなのかな、と思うので。
―先ほど、入社のきっかけに「土屋の理念があった」と仰っていました。理念の先には「こんな社会になったらいいな」っていう方向が、それぞれの中にもあるのではないかな、と思います。「10年後、20年後、こんな社会になってたらいいな」という願いはありますか?
すごく個人的なことを言うと――“ジェンダーレス”っていう言葉がなくなったらいいですよね。
バリアフリーとか、ジェンダーレスとか――あえて、人や場を分ける言葉が今はたくさんありますよね。
映像に携わってた時に、いろんなセクシュアリティの方――例えば、バイセクシュアルだったり、レズビアンやゲイの方、トランスジェンダーの方と深く関わってきたんです。
でも、そういったセクシュアリティを区切るような言葉があるっていう時点で、私は「ウッ」て構えてしまうところがあって……。
ひとりひとりを尊重し合えるような社会、っていうのかな。
障害とかジェンダーっていう名称が必要なくなるような――。
多分、社会全体がそんなふうに変わっていくには、ひとりひとりにかなりストレスがかかってくると思うんですよね。
人それぞれ価値観も、育ってきた環境ももちろん違うので。でも、そんな社会になればいいな、と思ってます。
―最後に。長野さんはなぜ、この介護のお仕事を続けられてるのか――を聞かせてください。
やっぱりいちばんは――笑顔が好きだからですね。
何気ないところで笑ってくださったり、感謝してくださったり。自分自身がもともと、「人の役に立ちたい」とか、そういったことを言えるような人間ではないんです。
なんですけど、でも――やっぱり、笑ってもらえたり、認めてもらえたり、「よかった」って言って感謝してもらえるとやりがいや充実感はあるのかなと思います。
そこがあるから、例え忙しくても「待ってる人がいるんだから、行かないと」って。“使命感”じゃないですが――そういう思いをクライアントの方から引き出してもらってるのかな。