はじめての介護!覚えておきたい基本的な介護用語10選

介護の分野では、普段の生活ではあまり聞き慣れない専門用語が用いられます。用語の意味がわからないと、現場で行き違いが生じたり、介護の勉強を進める上でも苦労することになるため、基礎的な用語の意味や使い方はしっかりと理解しておくことが大切です。

介護用語というのは無数にありますが、今回は特に使う頻度の多い用語10選を紹介します。これから介護を始める方はぜひご覧ください。

目次

1.介助

介助(かいじょ)とは、要介護者の日常的な生活や動作をサポートする行為を指します。代表的な介助としては以下が挙げられます。

  • 食事介助
  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 歩行介助
  • 移乗介助
  • 更衣介助  など

たとえば「歩行介助」では、手を引いたり身体を支えながら一緒に歩き、歩行のサポートを行います。「移乗介助」は、車いすからベッド、車いすから便座など、移乗(乗り移ること)の際のサポートを意味します。

介助と介護

「介助」と「介護」は似ており、どちらも要介護者の生活を支えるという意味で同じ側面を持ちますが、介助はより具体的な行為を指し、介護は全体的な概念としての意味合いが強いです。

また、関連する用語としてADL「日常生活動作(activities of daily living」があり、ADLは食事・排泄・入浴・更衣といった動作そのものを指します。

2.座位/臥位

「座位(ざい)」とは、上半身を90度程度に起こし、座っている状態を指す言葉です。派生する言葉として、45度程度に起こし座っている姿勢を「半座位(ファーラー位)」、上半身を起こし両足を伸ばしている姿勢を「長座位」と呼びます。

「臥位(がい)」とは、ベッドなどに横たわり、寝転がった姿勢を指します。派生する言葉として、天井を見て仰向けに横たわる姿勢を「仰臥位(ぎょうがい)」、身体を左右に向けて横たわる姿勢を「側臥位(そくがい)」、うつ伏せになって横たわる姿勢を「腹臥位(ふくがい)」と呼びます。

介護関連のマニュアル本などでは、姿勢を表す際に、こうした座位や臥位といった言葉が使われることがあるため、覚えておくとスムーズに勉強が進みます。

3.QOL

「QOL」とは、クオリティ・オブ・ライフ(Quality of life)の略称であり、生活、人生、生命の質を意味します。「どれだけ自分らしく生きられているか」の満足度を表す言葉でもあります。

たとえば、手足が不自由になると、自分の好きな趣味ができなくなったり、思うように外出ができず他者との交流が減ってしまうことがあります。そうした状態を「QOLが低下している」のように表現します。介護状態となるとQOLは低下しがちですが、そうした中で、少しでも自分らしい暮らしができるようにサポートすることが、介護の目指すべきところでもあります。

4.要介護度

「要介護度(ようかいごど)」とは、どの程度の介護(介助)が必要かの度合いを表すものです。「要支援1~2」「要介護1~5」「自立(非該当)」の8つで区分され、数字が大きくなるほど症状が重く、要支援1が最も軽症、要介護5が最も重症となります。

要介護度が高くなるほどより手厚い介護が必要になることを意味します。要介護度が高くなれば利用できる介護保険サービスが増え、利用限度額も高くなります。

要介護認定の申請は市役所の高齢者福祉窓口などで行います。申請後は本人の身体状況を踏まえ審査が行われ、要介護度の認定を受けた方は「要介護者」として扱われます。

5.介護保険サービス

「介護保険サービス(介護サービス)」とは、介護保険制度によって成り立っている公的なサービスです。利用できるのは要介護認定を受けた方のみとなり、自己負担額1~3割(収入などに応じて変動)でさまざまなサービスを受けることができます。

よく耳にする以下のようなサービスは、介護保険サービスに該当します。

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)
  • 通所介護(デイサービス)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)  など

他にも「介護福祉用具の購入」「介護タクシーの利用」なども介護保険サービスとして扱われることがあります(ただし一部非該当となるケースもあり)。

6.喀痰吸引

「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」とは、吸引装置と吸引カテーテルを用いて、痰(たん)を体外に吸い出す行為を指します。

通常健康な方であれば、痰を自力で排出したり飲み込むことができますが、高齢になり嚥下機能が低下した方や、呼吸器系疾患のある方などの場合、自力での排出ができず、痰がつまり誤嚥や呼吸困難、気道閉塞を起こすリスクがあります。そうした方に喀痰吸引が必要になることがあり、高齢化が進む中、喀痰吸引ができる人材が今強く求められています。

なお、以前は医師や看護師等しか喀痰吸引を行うことが認められていませんでしたが、平成24年4月からは、一定の研修を受けた介護職員等であれば、一定の条件下で喀痰吸引ができるようになりました。

7.地域包括支援センター.

「地域包括支援センター」とは、高齢者の健康や生活にまつわる相談(介護・医療・保健など)を受け付けている地域の総合窓口です。各市区町村に設置されており、無料で相談にのってくれます。

介護をはじめて間もない方、どこに相談してよいかわからない方にとっては大きな支えとなる施設でもあるため、いざという時のためにも、お住まいの地域にある地域包括支援センターの連絡先や場所を把握しておくことをおすすめします。

8.ケアプラン

「ケアプラン(介護サービス計画書)」とは、介護保険サービスをどのように利用するかをまとめた計画書のことです。

ケアプランの作成は、ケアマネジャー(介護支援専門員)という職種が、要介護者やその家族の状況をアセスメント(情報収集・課題分析)し作成するのが一般的ではありますが、利用者自身がケアプランを作成することもあります。

ケアプランの内容に沿って介護保険サービスを利用していくことになるため、担当のケアマネジャーとよく相談し、状況に合ったケアプランを作成してもらうことが大切です。なおケアプランは、必要に応じて変更や見直しをすることもできます。

9.特別養護老人ホーム(特養)

「特別養護老人ホーム」とは、原則として要介護3以上の高齢者を対象とした老人ホームです。略称で「特養」とも呼ばれます。

地方公共団体や社会福祉法人などが運営する公的な施設となり、月額8万~13万円程度と老人ホームとしては比較的安めの料金で入居できるのが利点ですが、その分人気が高く、数か月待ちになることも珍しくありません。

なお老人ホームには、料金が高いものの入居条件が緩い「有料老人ホーム」、生活に困窮している高齢者向けの「養護老人ホーム」、在宅復帰を前提とした「介護老人保健施設(老健)」など、他にもいくつか種類があります。

10.ユニットケア

「ユニットケア」とは、老人ホームのような入居型の介護施設において、居室をいくつかのグループ(ユニット)に分け介護を行う方式のことです。少人数の建物、かつ原則「個室」で管理するのが一般的です。

大きな特徴は建物の作りであり、従来の介護施設では、一つの部屋に4人分のベッドが用意された多床室が主流となっていましたが、ユニットケア型では1人1室の個室が与えられ、中央などに設けられた共有スペースで交流ができるという形式となります。

各自のプライバシーが尊重されるため、自宅に近い感覚で入居生活を送ることができます。

意思疎通するためにも介護用語は理解しよう!

以上、覚えておきたい介護用語10選を紹介しました。

介護用語を理解しておかないと、いざという時に意思疎通などができず、思わぬトラブルや事故につながってしまうこともあります。医師やケアマネージャーなど専門職の方と対話する際にも役立ちますので基本的な用語は覚えておきたいところです。

今回紹介した以外にも、介護用語というのはまだまだありますので、よく使うものから地道に1つずつ覚えていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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