介護事業部

介護事業部 ホームケア土屋

尾上真奈花

大分 オフィスマネージャー

キャリアアップという「叶えてきた夢」を周囲につなげる

 《interview 2022.03.15》

地元・大分で重度訪問介護・訪問看護事業を広める尾上 真奈花。オフィスマネージャーとして、持ち前の心意気と包容力で地域の介護を支えています。介護業界へ転身後、キャリアアップという夢をリズミカルに叶えてきた尾上。いくつもの道を歩み、周りに支えられながらキャリアを切り開いてきた彼女の軌跡を振り返ります。

CHAPTER1

「まだ見ぬ小さな声」を通して出会った、自身のキャリアパス

現在、ホームケア土屋 大分でオフィスマネージャーとして活躍する尾上。クライアント、アテンダント、コーディネーター、合わせて30名程を抱える大分事業所は、現在、重度訪問介護事業所と訪問看護ステーションを運営しています。

尾上の仕事を語る上で、なんといっても外せないのは、そのキャリアアップの速さ。介護未経験だった彼女が、重度訪問介護(重訪)の世界に足を踏み入れ、オフィスマネージャーになるまでの時間はなんと1年半足らず。

尾上 「まさかこんなに速く、キャリアアップができるとは思っていなかったですね。今はオフィスマネージャーという職を与えていただいているので、自分にできるのは大分の売上を上げていくこと。そこをしっかりやっていきたいと思っています」

土屋のミッション、「探し求める小さな声を ありったけの誇らしさとともに」。尾上は、その声を「まだ見ぬ小さな声」と捉え、こう解釈しています。

尾上 「『まだ見ぬ小さな声』というのは、クライアントだけではなく、アテンダントにおいてもそうです。まだ出会っていない契約前のクライアント、仕事を探しているアテンダント、全てにおいて小さな声を拾っていく。
その方たちと出会うことができれば、小さな声を集めることもできますし、契約が取れれば売上も上がります。『売上が上がる=小さな声を集められている』ということなので、そういう点でこのフレーズを大事にしています」

命を預かる介護の業界で、売上や経営の話をするのって、なんだかうしろめたさがないでしょうか。でも、理念だけでは継続できないのが仕事。

土屋は、介護問題解決を目的としたソーシャルビジネスカンパニーであり、「小さな声を集めること=会社を持続させること」という理念と経済が繋がっています。だからこそ、尾上は経営やキャリアアップに対して積極的に語るのです。

尾上は共に働くスタッフたちへの信頼も、人一倍熱く語ります。「みんなのおかげでオフィスマネージャーになれたので」──そう話す彼女が職場で大事にするモットーは「人の悪口は言わない、社内では愚痴を言わない、スタッフを信じる」。

尾上 「自分のところ(大分事業所)にいるアテンダントは全力で守ります。せっかく縁あって入ってくれたんです。例えば、病気になって普通だったら辞めなきゃいけない状況でもその子ができる仕事をすればいい。面倒を見るよ、って。とにかくスタッフが働きやすい環境をつくって、『離れたくない職場だな』と思ってもらいたいですね」

まさに姉御肌!とも言える心意気。オフィスマネージャー・尾上の熱い思いが光ります。

CHAPTER2

「PCを触ったこともない!」夢中で走り抜けたオフィスマネージャーへの道

そんな尾上のキャリアのスタートは高校生の時。

看護5年一貫校に通いながら始めた大手ファーストフードチェーンのアルバイトで、初めて「働くこと」と出会った尾上。接客からスタートしますが、ここでも尾上ならではの速度で駆け上がり、高校生の間に新人を教える立場になります。

卒業後は、看護師として総合病院に勤務。しかし、ひとつの職に満足することなく、その傍らでアルバイトをするという生活を続けます。

尾上 「お金に困って……。というよりは、ストレス発散としてアルバイトをしていました。というのも、看護師の職場というのは派閥が多かったり、若手に発言権がなかったりで、理不尽な場面が多くありました。そんな中で、アルバイトをして好きなことができて、その上、お金ももらえることがすごく楽しかったんです」

当時は飲食店でアルバイトをしていたという尾上。二つの仕事を続けながら、アルバイトの仕事で感じる楽しさに気づいた尾上は、やがて看護師という仕事に疑問を持ち始めます。

看護師として勤務した5年の間に、尾上は結婚・出産を経験。育休を取得し、一度は職場に復帰したものの、「介護や看護で人に寄り添うよりは、営業をしたい。人と喋る仕事がしたい」という自身の心の向きに気づいた尾上。復帰後1年しないうちに看護師を辞めることに。

心のままに動き出した尾上は、自身の“好き”を活かせる営業職を探し始めますが、「看護師という経歴しかなく、大卒でもない」という背景もあり、なかなか思うようにいきませんでした。

そんな中で出会ったのが、重訪の世界。経験や経歴より、人間性を重視する──そんな土壌と出会えた尾上は、2020年4月、現場から仕事をスタート。入社当初からキャリアアップを見据えていたと言います。

尾上 「私の場合、勤務は子どもの保育園の都合によったので、現場に出られる時間は限られていました。コーディネーター業務を教えてもらいながら、どんどん仕事を覚えて、プラス入れる現場に入っていく、という感じでしたね」

そして約1年後、大分事業所の立ち上げと共にコーディネーターへ。

尾上 「実は、それまでパソコンを触ったこともなかったんです。私の世代はタブレットやスマートフォンで、全部事足りてしまうのでパソコンをわざわざ持つこともありませんでした。看護師をしている時には事務作業をしたこともなかったので、動画を見て操作を覚えました。行政のサービスや保険制度も全然わからなかったので、当時は、とにかくすぐに市役所に電話していましたね」

無我夢中で経験を積み重ねていった尾上。2021年7月、念願のオフィスマネージャーとなります。

CHAPTER3

自身の野望に素直に。ステーキもお寿司も、自分で稼いで家族を連れて行く

尾上が軒並みならぬ速度でキャリアを築けたのには、彼女自身が明確な目標を持っていたからこそ。背景には、彼女が育ってきた環境がありました。

尾上 「ただ単純に『上に立ちたい』っていう野望が強くて(笑)。自分のやり方でやりたいという思いが強いんです。背景としては、長女だからというところが大きいですね。親戚の中でも、最初に生まれているので『私が一番』っていう思いが常にどこかにあるんだと思います。小学校や中学校でも集団行動が苦手でした。正直にいうと、そんなに学校に行っていないんです(笑)」

若い頃から経営者と出会う機会も多かったという尾上。彼女が活き活きといられるのは、枠にはまって学ぶ学校や会社ではなく、よりダイレクトに人や社会と出会える場所だったようです。

そんな彼女を支えてきたのが、家族の存在。

尾上 「頑張れる原動力は、こどもに不憫な思いをさせたくないというところですね。私はシングルマザーなので、両親が揃っている家よりも、習い事にしてもそれと同等、もしくはそれ以上のことをしてあげたい。そんな思いがあって頑張れています」

そして「美味しいものを食べたり、旅行に行くこと」も、モチベーションを保つ大切な時間。

尾上 「本当に私、ステーキやお寿司が好きで。でも、誰かに連れていってもらうのではなくて、自分がお金を出して家族を連れていきたいんです。昨年、祖母が亡くなったのですが、祖母には『私が人生で一番美味しかったと思うステーキとお寿司を食べさせたい』という思いがありました。亡くなる前に、家族5人で行って、祖母には食べてもらうことができました。
そういうところに連れて行けるように──もちろん、しょっちゅうは行けないですけれど──、『自分で稼がないと』というのがモチベーションの維持になっていますね」

CHAPTER4

やりたいことがあれば、やれる環境がある。土屋の「働きやすさ」という土壌

ハキハキとした口調から潔いエネルギーを感じさせる尾上。彼女が持ち前の心意気を発揮できているのには、今いる環境が関係しているようです。

尾上 「先輩や上司も本当に優しくて、私は恵まれているんです。そのおかげで、今は伸び伸びと仕事をさせてもらっています。
上司には、何かあればすぐに自分の思いを伝えていますし、何かあっても怒らずに聞いてくれます。失敗しても、怒ったり冷たくする人もいない。1回の失敗だったら大丈夫、でも2回目はないよ、という感じですね(笑)。
そんな環境もあって、会社のためにも大分事業所を周知していきたいし、地元が大分なので、自分がいる会社の認知度が上がればいいなという思いでいます」

「大分では、重訪=土屋というイメージがだいぶ浸透してきている」と話す尾上。大分事業所のこれからを語る尾上は、その目標も驚くほどはっきりとしています。

尾上 「今後の目標としては、今年中に売上目標を達成して、重訪の事業所を県内にもう一つ、最終的には二つ出したいんです。昨年からスタートした訪問看護事業も、大分県の中で1位にしたいですね。大分事業所のこれからを考えていくと、後継者をつくっていきたいという思いもあります。みんなにも(上に)上がってきてもらいたいので。今はオフィスマネージャーですが、今後は柔軟な働き方ができるような立ち位置になりたいです」

多くの人と信頼を築き、責任を持つ立場に立ったからこそ、伸び伸びと動くことができている今。「最終的にはGM(ゼネラルマネージャー)まで上がりたい」と語る尾上は、アテンダントや、これから土屋と出会う人にも、自身が叶えてきた夢をつなげます。

尾上 「土屋は、やりたいことをやらせてくれます。例えば、今、大分で行なっている訪問看護ステーションに関しても、土屋で働く友人が『介護ではなく、看護がしたい』と言っていたのが始まりでした。その当時は難しかったのですが、昨年、本社から『訪問看護をやりたいところはありますか?』と伺いがあった時に、『大分がやります!』と手を挙げて。それでOKが出て、立ち上げたんです。
土屋は、上層部の方たちの柔軟性が高いので、他の介護業界と比べると若い人たちは働きやすいと思います。本当にやりたいと思ったら意見を言える環境があって、実際にやらせてもらえる。そこがいいところですね」

仕事の楽しさに誠実に働く尾上と話していると、キャリア=仕事だけではない、自身の生を真に活かして働くことと経済が、分かちがたく結びついていることを強く感じさせられます。

土が良ければ、すくすく伸びる。「人生」と「仕事」が重なったところで尾上が叶えた夢。真っ直ぐに夢を見る人に、真っ直ぐに応えてくれる、そんな仕事の仕方がここにあります。


TOP
TOP