澁谷 「以前、クライアントの方に『介護のホスピタリティーってなんだと思いますか』って聞いたことがあるんです。その方は『心配りじゃない?』と。まず相手の気持ちを理解することが大事だ、と教えてくれました。あとは、目配り。要はその方の状態を観察する力ですね。なおかつ、相手に関心を持つこともすごく大事だな、って」

ひとりの人が生きてきた時間と空間に足を踏み入れる重訪のかたち。これまで彼女が培ってきた視線は、介護の現場で日々、塗り替えられているようです。

澁谷 「飲食店はいろんな方と接することができるけど、常に人が入れ替わる。重訪は一対一で、常に一緒にいる。そういう環境で働いてきて、ひとりのクライアントの何を見つけてあげたら喜んでもらえるのかな、っていう目を養えたんじゃないかな」

アテンダント2年目。澁谷にとって、この仕事の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

澁谷 「まず、ダイレクトに『人の役に立ってる!』っていう実感がありますね。例えば、口を拭いてあげると『ありがとう』と感謝の言葉を言ってもらえる。やっぱり、ありがとうって言われてイヤな人はいないじゃないですか。この仕事やっててよかった、なおかつ、その人の役に立って嬉しいな、って思えるのが嬉しい」

澁谷は、介護という業種を通して新たな価値観と出会いました。

澁谷 「もし、介護に興味がある、という方がいたら『ぜひやってみてください!』って自信を持って言えます、私は。自分がそうだったので。

介護ってネガティブなイメージがあると思うんです。でも多くのやりがいを得られるし、想像以上に奥深い仕事だから、極めがいがある。土屋では、色々資格も取れれば、キャリアアップもできるので、メリットもいっぱいあるお仕事なんだよ、と伝えたいです」

つい先日、介護福祉士への最初のステップである実務者研修を修了したという澁谷。

澁谷 「今は、アテンダントとして実践的な経験をどんどん積みたいなって思います。現場に入って、一つひとつ丁寧に習得していきたい。

今後は、管理者としての仕事にも興味があります。コーディネーターと話していると、どの方も皆さん『大変だけど、やってよかったよ』って仰るんですよ」

目の前のこの人は今、何を思っているのだろう。

子どものようなまっさらな目で、好奇心を胸に、アテンダントたちは日々、介護の現場でこう問いかけています。

他者に向けて想像力を働かせ、対話の先にある喜びを笑顔で受け取ることができるのが、この仕事の何よりの魅力。

他者と自分の人生が重なる場所で「生きる」を共にする。澁谷は、重度訪問介護の現場で日々、そんな笑顔をつくり出しています。