認知症と向き合う介護。イライラしてしまうのは当たり前?ストレスの軽減法は?

脳細胞の壊死や損傷により、日常生活に支障をきたす認知症。

「病気だから仕方ない」「根本的な治療法はないのだから、向き合うしかない」とわかってはいても、認知症と向き合う介護にはイライラがつきものです。

「大切な家族にイライラするなんて、自分が情けない」「丁寧に向き合いたいのに、イライラしてつい声を荒げてしまう」というお悩みを感じているのは、あなただけではありません。

本コラムでは、誰しもが感じてしまう認知症介護のイライラについて、そしてイライラを感じてしまった時のストレス軽減法についてご紹介していきます。

目次

認知症の特徴

認知症はアルツハイマー型認知症や血管性認知症に代表される、脳の認知機能に影響が表れる病気の総称です。

認知症を患っていると、記憶や判断力の低下・失認・失語・失行といった進行性の症状が出現し、さらに妄想・幻覚・抑うつ・異食・徘徊などの症状が加わることもあり、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

また症状は進行性となっていますので、徐々に上記のような症状が悪化する傾向にあります。

根本的な治療薬は見つかっていませんので、症状を緩和する薬や症状の進行を緩やかにする薬を服用しながら、認知症を受け入れて向き合っていく必要があります。

認知症の介護にイライラしてしまう理由

認知症を発症したクライアントには、認知機能の低下から上記のような日常生活に大きな支障をきたす症状が出現します。

しかしながらクライアント本人はそれらの症状に自覚症状がなく、「自分が正しい」「周囲が自分を陥れようとウソをついている」「みんなが私をいじめてくる」といった思考に陥りがちです。

そのためアテンダントや家族が優しく声かけを行ったとしてもなかなか分かり合うことが難しく、反対にキツくあたられてしまうなどして心が折れてしまう方が少なくありません。

先ほどご紹介したとおり、認知症の症状は徐々に進行していきます。

根本的な改善が望めないまま、より強い症状へと変化していく状況に悲しみとやるせなさを感じてしまい、ついイライラしてしまうことは珍しいことではありません。

むしろ真剣に認知症を発症したクライアントに対して真剣に向き合い、大切に思っているからこそ生まれる感情ですので、イライラを感じたからといって自分自身を責める必要は全くありません。

認知症の介護でイライラしてしまったら

認知症のクライアントを介護しているなかでイライラとした感情が芽生えてしまっても全く自責の念にかられる必要はありませんが、いらいらした状態で認知症の症状に向き合ったとしても、ポジティブな結果は得られません。

イライラしてしまった気持ちやストレスを解消することで一度落ち着いた気持ちになることが大切ですので、以下のような方法で少しでもイライラを軽減していきましょう。

認知症介護のイライラ解消法①介護サービスの利用

認知症の介護は、家族の力だけで乗り越えることは非常に困難です。

認知症の介護に対してイライラの感情が生まれてしまっているという段階は、あなたの心に大きな負担がかかってしまっている状態です。

ケアマネージャーや主治医、介護施設などに速やかに連絡して、現状の確認と改善すべき問題点を相談し、適切な介護サービスを受給しながら認知症と向き合っていきましょう。

認知症介護のイライラ解消法②自分の時間を作る

イライラを感じてしまった時は一度その場から離れて、お気に入りのお菓子をつまんだりお茶を飲むこともリフレッシュの一つにつながります。

また介護施設などを利用していて介護に向き合う必要がないタイミングでも、家事や仕事を必死で終わらせようと忙しく動くのではなく、お昼寝や買い物など自分の時間をしっかりと充実させることが、イライラを解消させるポイントです。

認知症介護のことは少し忘れて、意識を解放してあげましょう。

認知症介護のイライラ解消法③十分な睡眠をとる

認知症を発症しているクライアントの傾向として、昼夜が逆転しがちという特徴がよく聴かれます。

昼夜逆転しているだけでなく、徘徊やせん妄などの周辺症状が出現している場合は、夜であっても急に家を飛び出した時に備えてあまり眠れないというご家族も多くいらっしゃいます。

しかしながら睡眠は、人間が健康的に生きていく上で絶対に欠かすことのできない、大切な時間の一つです。

睡眠不足を感じていたり、なんだか眠くてイライラするという時には必ず周囲や介護保険サービスに対してSOSを訴え、早急にまとまった睡眠時間を取るように心がけてください。

認知症介護のイライラ解消法④病院に相談する

ここまで認知症と向き合ってきたご家族が認知症介護に対するイライラの感情を抱えている段階は、抑うつなどの精神的な症状を発症する一歩手前の段階かもしれません。

睡眠の確保や小さなリフレッシュを行ってみてもイライラが解消しない場合は、気軽に精神科や心療内科を受診・相談して、一度現在の介護体制を見直してみるといいでしょう。

人に気持ちを打ち明けることで気分がラクになるケースもあれば、必要に応じて薬を処方してもらうことでイライラがすっきりとする場合もあります。

認知症の介護でイライラしても、自分を責めないで!正しく状況を理解して、少しずつイライラをコントロールしよう。

認知症の介護において、イライラする感情をいだいてしまうことは珍しくありません。

大切な家族に対する思いや肉体的な疲労が複雑に交差するなかで、また自分の時間を犠牲にし続けても報われない介護を続けていくなかでイライラを感じてしまっても、自分自身を責める必要は全くありません。

改めて認知症の介護と向き合う時間を少し減らす方向で考え、適切な介護サービスの利用や介護施設への入居を視野に入れて、徐々にイライラをコントロールしていきましょう。

必要に応じて行政や医療機関を頼ることに「恥ずかしい」や「情けない」と感じる必要はありません。

家族を大切にするのと同様に自分自身も大切にすることで、家族全員が笑顔になることができる環境を整えることをお勧めいたします。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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