認知症の介護認定について知りたい!要介護認定の手順や基準を徹底解説。

脳細胞が正常に機能しなくなることにより、日常の生活を送ることが困難になってしまう状態が、認知症です。

脳細胞に異常をきたす要因は様々で、要因によってアルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症といった種類の認知症が確認されています。

日常生活に支障を感じるようになった認知症のクライアントは医学的な面からのサポートはもちろんのこと、日々の生活のなかで介護を必要とするようになります。

介護保険制度に基づく介護保険サービスを利用する場合、現在の日本では介護認定を受ける必要があります。

本記事では認知症のクライアントが介護認定を受ける際の手順や、利用することのできるサービスについて解説していきます。

目次

認知症のクライアントが、介護を必要とする理由

認知症はその名の通り、脳の認知機能に異常が生じる状態を意味する言葉です。

認知機能に影響がでると、単なる物忘れとは異なる性質の症状を発症してしまいます。

代表的な例としてよく挙げられるのが、「健忘症(加齢にともなう物忘れ)の場合は夕飯の内容を忘れてしまうが、認知症の場合は夕飯を食べたこと自体が記憶に残っていない」という比較です。

食事をしたかを忘れてしまうことで過食傾向になるクライアント、食事や水分補給の概念を忘れてしまうことで栄養失調や脱水状態になるクライアントなどが確認されています。

その他にも認知の歪みにより、戸締りや火の扱い方を忘れてトラブルになる、自宅や家族のことを忘れる、金銭管理が出来なくなる、など様々な症例が確認されています。

特に自宅で暮らす認知症クライアントの場合は、上記のような症状を未然に防ぐため、介護サービスによるサポートが必要不可欠となってきます。

認知症のクライアントが、介護認定を受けるには

認知症がきたす日常生活への支障を介護保険制度の力を利用して軽減したいと考えている場合は、介護度認定を受けることによって「介護が必要」と認められなくてはいけません。

また何よりもクライアントにとって必要な介護サービスが正しく利用できる環境を整えるためにも、正しく介護認定を受けましょう。

介護認定の手順①自治体への申請

介護度は、国の統一基準に従って各自治体が介護度認定調査を行うことで決定されます。

まずは自治体の窓口や地域包括ケアセンターを訪れて介護度認定調査を希望している旨を伝え、必要書類の準備と提出を行いましょう。

介護度認定の手順②訪問調査

書類が受理されると、自治体から認定調査員が派遣されてきます。

認定調査員は認知症のクライアントの居住状況や簡単な問答を通して、クライアントの現況を判断します。

問答の内容は、国の基準に基づいた身体機能・生活機能・認知機能・精神・行動障害・社会生活への適応といった幅広い分野から74項目となっています。

口頭の質問だけでなく、実際に立って歩くよう促される・足を上げるよう指示されるなど、身体の状態についての確認が行われます。

さらにクライアントの家族とも面接を行い、実際に生じている困りごとや、認知症の影響で支障をきたしている事案などについて確認します。

介護度認定の手順③主治医の意見書確認

介護度認定調査を依頼する際に提出する書類の1つに、主治医による意見書があります。

意見書は全国で統一された様式のものが用いられる決まりになっていて、心身に生じている障害の原因と予測される疾病について、現在の心身の状態について、生活する上での機能や特記事項などについて、主治医に記入してもらう必要があります。

主治医とは日頃からコミュニケーションを図り、クライアントの状態を正しく記入していただきましょう。

介護度認定の手順④介護認定審査会

認定調査員が入力した情報から算出されたデータ・特記事項・主治医の意見書が揃うと、介護度認定審査会による要介護度の決定が行われます。

要介護度は、非該当・要支援1もしくは2・要介護1〜5の8段階に分類されます。

非該当の場合は介護保険サービスを利用することができません。

また要支援・要介護では利用できるサービスに差や時間に差があります。

介護度認定を受けたら、利用するサービスを検討しよう

要介護認定の申請から認定までは、自治体によって差がありますがおよそ1カ月から3ヵ月程度の時間を要します。

介護区分が決定すると同時に、クライアントと介護保険サービスの橋渡し的な存在となるケアマネージャーも決定しますので、今後はケアマネージャーと一緒に、認知症によって生じている様々な困りごとを介助してもらうことのできるサービスを検討していくことになります。

居宅サービス

介護認定を受けながらも自宅で暮らすことを選択するクライアントには、訪問介護や訪問入浴介護、訪問リハビリなどの居宅サービスが人気です。

それぞれの介護度や困っている生活動作の内容から利用するサービスや時間・頻度を決定し、地域の事業所に利用を申請します。

通所サービス

自宅に暮らしながら日中の居場所として利用することができるサービスが、通所サービスです。

デイサービスやデイケアのほか、1泊程度のお泊りができるショートステイなどが該当します。

認知症の進行に伴って家に引きこもりがちになってしまうと、対人的なコミュニケーションや刺激が不足し、ますます孤立感を深めてしまう要因になりかねません。

通所型通所サービスは社会とのつながりを意識して、はりあいのある毎日を送る上でも認知症のクライアントにおすすめの介護サービスといえます。

入所サービス

介護認定を受けた認知症のクライアントが利用できる入所型の公的な事業所は、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院などが挙げられます。

そのほかにも民間施設として老人ホームなどがあり、介護認定を受けた認知症のクライアントは、費用やサービスの内容を比較して自身に適した施設へ入所を希望することが可能です。

認知症によって困りごとが生じるようになったら。介護認定の申請を検討しよう。

認知症は誰もが患う可能性のある、脳細胞のトラブルです。

劇的な効果がある薬や治療法があるわけではありませんので、症状とうまく向き合うために、介護保険サービスを利用して日常生活を送る必要があります。

認知症によって日常生活に困りごとを感じるようになったら、介護認定を申請して適切なサービスを受給し、前向きな毎日を始めていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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