認知症に対応した介護施設を徹底解説!費用の違いや提供サービスの違いとは。

認知症の症状が進行するのに伴って、介護施設への入所を検討される方は年々増加しています。

介護施設としても認知症のクライアントへのサービス提供に特化したものが増えつつあり、自宅で認知症に向き合うための介護サービスと同様に、社会に欠かすことのできない重要なサービスとしてニーズが高まっています。

一口に認知症に対応した介護施設といっても、クライアントの状況に応じて様々な介護施設が展開されており、費用やサービスの内容は大きく異なります。

そこで今回は、認知症のクライアントを受け入れ可能としている介護施設の費用やサービスについて、比較解説してまいります。

認知症の家族が入所できる介護施設をお探しの方や、改めて認知症の介護に対応した施設の情報を復習しておきたいアテンダントは必見の内容となっています。

目次

認知症の介護

認知症は、進行性の認知機能低下がみられる状態のことです。

記憶力や判断力が低下したりするなどの中核症状に加えて、本人の性格やおかれている環境などが複雑に絡み合って誘因される周辺症状によって、せん妄や異食の他に暴力性が増すなどの変化がみられます。

日本では特にアルツハイマー型認知症の発症比率が高く、また65歳以上の高齢者が発症しやすい傾向にあります。

特に症状が進行すると日常生活に大きな支障をきたしますので、家族の在宅介護だけで認知症のクライアントを支えることは困難を極めます。

家族が認知症と診断されたら、介護保険制度の利用を検討したり、将来的に利用することができる地域の介護サービスや介護施設について調べはじめましょう。

認知症のクライアントが入所することのできる施設

在宅介護だけでは認知症のクライアントを支えきれないとなった時、家族の味方となってくれるのが介護施設です。

介護施設は一般的に入所型の事業所を意味しており、介護保険制度に基づいた介護サービスの提供体制が整っていますので、安心して24時間365日を過ごすことができます。

利用することができる介護施設の区分は、クライアントの要介護度によって制約があります。

事前に自治体による介護度認定を申請し、利用が可能な介護施設を確認しておきましょう。

介護度認定

日本では介護保険サービスの利用にあたって、クライアントが必要としている介護保険サービスの量や内容を決めるための「介護度認定」という制度があります。

自治体によるクライアントと家族を対象とした面談、かかりつけ医の診断書などからクライアントの要介護度を認定していきます。

要介護度の区分は「非該当」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の8段階に分けられます。

このうち非該当と判断された場合は、再調査によって要支援1以上の介護度認定がおりないと介護保険サービスを公的に利用することができません。

介護度別、認知症患者の受け入れが可能な介護施設

2023年現在の介護保険制度上で、認知症の症状に悩むクライアントが利用することができる介護施設は以下の通りです。

  • 誰でも入居可能……介護型サービス付き高齢者住宅(介護型サ高住)
  • 要支援2以上……認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 要介護1以上のクライアント……介護付き有料老人ホーム
  • 要介護3以上(例外的に要介護1~2かつ認知症により日常生活を送ることが困難な方)……特別養護老人ホーム(特養)

介護施設別の費用相場比較

認知症と診断されたクライアントが利用することのできる施設は、費用がそれぞれ大きく異なります。

主な理由としては、提供されるサービスの違いになってきますので、順に比較していきましょう。

もっとも費用が高額になりやすいのは、介護型サ高住

介護型サービス付き高齢者住宅は、賃貸型で提供される高齢者向きの住まいです。

マンションのような形で運営されていることが多く、月々の支払いの内容も介護保険サービスの利用や任意で申し込む食事代の他に賃料が必要となってきます。

自由度が高い日常生活を送りながらも、万が一に備えて専門知識のあるアテンダントが常駐している住居で暮らしたいという方向けの施設になっています。

介護型サ高住は運営事業者によって様々な趣向を凝らしていたり、充実の人員体制を整えていたりとサービスの内容に差が大きい介護施設です。

そのため入居一時金の目安が10万円~50万円、月額費用の目安が10万円~40万円などと、施設によって幅広い価格設定となっています。

利用を希望するサービスと家計を照らし合わせて、利用する施設の検討をする必要があります。

助け合って暮らすグループホーム

認知症対応型共同生活介護と呼ばれるグループホームは、5人から9人程度のクライアントで共同生活を送るスタイルの介護施設です。

料理や掃除などを分担し合いながら生活を送り、介助が必要な部分はアテンダントによるサポートを受ける形の生活となるため、できることは自分でやりたいというクライアントや、孤独感を防ぎたいクライアントに適した介護施設となります。

入居一時金の目安は7万円、月額利用料金の目安は12万円となっていますが、暮らしている地域によって大きな差がある傾向となっています。

入居を検討している地域の費用感を早めに確認しておくと良いでしょう。

心から安心できる場所の介護付き有料老人ホーム

認知症と判断されたクライアントからもっとも人気の高い介護施設が、有料老人ホームです。

民間企業が経営していることからサービスや食事にこだわりのある施設も多く、また定施設入居者生活介護(特定施設)に該当しますので、24時間体制での介護体制などの安心感が大きいと評判です。

サービス内容のこだわりによっても異なりますが、入居一時金の平均値で25万円、月額利用料金も平均値は20万円となっています。

介護付き有料老人ホームへの入所を希望される場合は特に、複数の施設を見学し、予算感とサービス内容を照らし合わせながら希望施設を検討されるようオススメしています。

公的な施設の費用感に安心できる、特養

特別養護老人ホームは、公的な介護施設に該当します。

費用の面から安心感が大きく、また要介護3以上のクライアント、もしくは要介護1以上の認知症クライアントで日常生活を送ることが困難な場合にのみ入居が認められるため、非常に人気の高い介護施設です。

入所一時金は不要、月額料金の目安は10万円前後となっていますが、人気故に空きがなかなか出ない介護施設でもあります。

入所を検討される際は、早めの見学と空き待ちの申し込みを済ませておくよう、オススメしております。

認知症のクライアントが入居する介護施設を検討する際は、費用とサービス内容をよく比較しよう。

認知症が広く社会的に知られるようになるにつれ、認知症のクライアントが入所することのできる介護施設は増加傾向にあります。

ただし民間企業が運営している有料老人ホームや介護型サ高住などは充実のサービス内容に比例して、月々の費用が高くなる傾向にあります。

改めて認知症と向き合う日常生活で必要としているサービス内容や住宅環境などを精査した上で、費用感として無理のない介護施設を検討していきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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