訪問看護

訪問看護ナーシングプラス 土屋

田代謙介

沖縄 アテンダント

沖縄のおじい・おばあに「あんたがやってくれて、よかったさぁ~」と言ってもらえる仕事、最高です!!

 《interview 2025.06.19》

訪問看護ナーシングプラス土屋 沖縄で働く田代謙介(たしろけんすけ)。
こどもの頃、「大工になって、自分で家を建てたかった」という夢を持っていた田代はその後、理学療法士をしていたいとこの影響もあり、理学療法士を目指すようになります。
学校卒業後は病院内でのリハビリの仕事を、そして今は訪問看護の理学療法士として、在宅で暮らすおじいちゃん、おばあちゃんと関わる日々。
安心できる家で、安全に、その人らしく生活してもらうには――関わりながら、おしゃべりしながら、クライアントのベストをみんなで探って、悩んで進む田代の日々を訪ねます。

CHAPTER1

こどもの頃は、勉強もせず外で遊んでばかりだった

4人兄弟のいちばん上。サトウキビ畑の間を通りぬけて学校へ

―どんなところで生まれ育ったんでしょうか。

生まれは沖縄市で、小学校から中学校までは隣町のうるま市で育ったので、友達はうるま市の方が多いですね。

兄弟が4人で、僕がいちばん上で弟が3人います。

いちばん下の弟とは16歳離れていて、今年4月に中学1年生になりました。

真ん中の弟ふたりはもう社会人なんですが、父、母はまだ子育て中で。

弟が小さい頃、僕が手を繋いで歩いていた時は「若いお父さんだね〜」なんてよく言われました(笑)。

―(笑)。田代さんは、小さい頃はどんなことをして遊んでいましたか?

勉強もせず外で遊んでばっかりでした。

朝ご飯食べて、お昼ご飯まで遊んで、お昼ご飯食べたらまた外に出て(笑)――活発な方だったのかもしれないですね。

僕が育ったうるま市は海もあって、沖縄市とくらべるとすこし穏やかな感じの町なんです。

今はもうだいぶ景色が変わって、住宅地が多くなってきてはいるんですが、自然が残っていたので、サトウキビ畑の間を通りぬけて学校に通って。

そんな場所でした。

―「こんな子だった」というような記憶はありますか?

「責任感が強いね」「優しいね」といったことは周りからはよく言われていた時がありましたね。

ただ、長男だったので「弟の面倒を見ないといけない」という思いもあってやっていたので、正直なところ、僕自身ではそんなふうには(笑)。

―その後、10代になってから、熱中していたものはありましたか。

小学校4年生の頃からハンドボールを始めて、今もやってます。

ハンドボールってなかなかハードなスポーツなんです。元々は外競技なんですが、外でも中でも、スポーツコートがあれば楽しめるスポーツで。

「投げる」「飛ぶ」「走る」っていう3つの運動をするので、体力的にはなかなかきついところはあるんです(笑)。

小学校で始めて、中学校、高校、リハビリの専門学校が忙しくなる前までやって、一度お休みした後、2年前ぐらいから復帰をしました。

今は週1回ぐらい練習をして、体を動かしてますね。

ちょうど先月も大会があったんですよ

CHAPTER2

理学療法士になって――いとこのお兄さんに憧れて

最初に働いたのは、ワイワイ楽しみながらリハビリをして、アットホームな雰囲気の病院でした

―小さい頃になりたかったものや、夢はありましたか?

「将来、自分で建てた家に住みたい」っていう思いがあって、小さい頃は「大工さんになる」ってずっと言っていたんです。

その思いが、高校の時くらいから「スポーツトレーナーをしたいな」にうっすら変わっていきました。

僕は今、理学療法士という立場で仕事をしているんですが、高校生の頃、僕のいとこが理学療法士の資格をとり仕事をしていました。

そのいとこは、頭も良くて、顔もかっこよくて、それでいて僕にはないもの――たとえば、絵がうまかったり、おじいちゃん、おばあちゃんやこどもとの接し方が上手で、いろんな方から好かれる人柄だったり――を持っていて。

僕にとって「かっこいいなぁ」っていう存在でした。

それまでは理学療法士の仕事なんて全然知らなかったんですが、話を聞いているうちに「幅が広い職種なんだな」、と。

そのいとこ自身は病院で、おじいちゃん、おばあちゃんのリハビリのサポートをしていたんですが、他にも理学療法士としてスポーツトレーナーの道に進むこともできたんですよね。

「そういう世界に飛び込んでみようかな」っていう思いもあって、飛び込んでみたら面白かった(笑)。

専門学校に入って、勉強そのものはすごく難しかったんですが、そのいとこと同じ立場になって、8年経ちました。
今も「(いとこのお兄さんは)やっぱりかっこいいな」って思いますね。

―理学療法士の資格を取られてからはどんなところで働かれてきたんでしょうか。

最初は縁のある病院に就職をして、いい方たちに巡り会いました。
そこで人としての基礎と、理学療法士としての基礎もそこで学びましたね。

リハビリ専門の回復期病棟からスタートして、その後、同じ病院の中の通所リハビリ、療養型の病棟と、3つの部署を経験させていただきました。

その病院は、みなさんすごく仲がいい雰囲気だったんです。
もちろん、上司や部下っていう括りはあるんですが、上司の方たちもみなさん優しくて。

他の会社とちょっと違ったのは――スタッフ同士が下の名前で呼び合うんですよ。

先輩でも、そのニックネームの後に「さん」づけで呼び合うような職場で、人の緊張の和らげ方をすごく重視する方たちでした。

僕はその病院で、これまでの社会人経験をほとんど過ごしているので「名前で呼び合うのが普通かな」と今も思ったりもします。

やっぱり仲良くなる最初のきっかけになりますよね。

地域柄、沖縄のおじいちゃんおばあちゃんは人懐っこいところもあって、「下の名前で呼んでほしい」っていうリクエストもあって、患者さんも下の名前で呼んだり、ご本人の希望があればニックネームで呼んだり。

ワイワイ楽しみながらリハビリをして、アットホーム感がある病院でしたね。

なので、僕もその人の性格を考えながら「この人とどんなふうに接したらよいかな」を考えて、ご本人が気持ちよくリハビリを受けてもらえるように――というところを意識していましたね。

そこで学んだことは今もすごく活きてるな、と思います。

CHAPTER3

病院での経験のあと、訪問看護のリハビリへ

訪問看護への興味――「在宅ではどういう関わりの中でリハビリを提供できるんだろう」

―その後、土屋に転職されたきっかけはどんなところにあったんでしょうか。

元々病院では、入院してる方たちや、通所としてお家から通ってくださる方たちのリハビリをしていました。

その中で、「次に仕事をするとしたら、もし在宅だったらどういうリハビリができるだろう」「ご家族さんたちと協力しながら、ご本人にとってのより良い生活をサポートしていきたいな」っていう思いがあって、訪問看護の仕事に興味を持ったんです。

訪問看護ステーションの中のリハビリと、訪問リハビリでも違う所もあるんです。

その中でも、僕は訪問看護の方に興味を持って、「どういう関わりの中でリハビリを提供できるか」を重点的に考えて仕事を探し始めました。

その時に転職エージェントで土屋の紹介をしていただいて――ちょうど、訪問看護ナーシングプラス土屋 沖縄が立ち上がったばかりの頃だったんですよ。

それで「立ち上げから関われるんだ」って興味が湧いて、入社したんです。

―事業所の立ち上げから関わるってなかなかないですよね。入社当時のことを聞かせてください。

立ち上げの時期に関しては、右も左もわからなくて(笑)。
でも働き始めた時に、職員のみなさんが優しくて、いい雰囲気だな、と感じていました。

僕が入った時は、リハビリの利用者さんがまだいなかったんです。

なので、そこから営業をして――営業は初めてだったんですが、「こんな感じなんだな」「難しいな」って思いながらやっていましたね(笑)。

2ヶ月後ぐらいに、デイサービスさんと縁ができて、今もそこで週4回ほどリハビリを提供しに伺っています。

そこはデイサービスの事業所なので、家から通って来る人へのリハビリをしているんですが、そこでの経験を訪問看護(リハビリ)に活かしたり、逆に在宅での経験をデイサービスのリハビリに活かしたり。

そういうことをしながら働かせてもらっていますね。

以前働いていた病院だと、リハビリは入院している人たちに行なうので、時間のところだけを見れば、いちばんじっくり提供ができるんです。

1時間行なって、休憩挟んで1時間、1時間……と行なっていって、合計で1日3時間ぐらい。

でも在宅になると、それが40分ほどです。
時間がかなり凝縮されるので、その人に合ったリハビリを効率よくやってあげるところを考えないといけないんですね。

今は、試行錯誤しながら行なっている部分と、逆に自分たちで考えながらできるのが楽しいところもあるので、その人に合ったリハビリを提供しながら、でも無理をさせないように、と思って関わっていますね。

CHAPTER4

“起きる”、“立ち上がる”、“歩く”――基礎的な動作に重きを置いて関わる仕事

安心できる家で、安全に、その人らしく生活してもらうためには

―田代さんが普段関わっているクライアントさんや、その方とどんな関わりをされているのか、教えていただけますか。

そうですね。ご自宅で転ぶ事が多い方がいて。
その方はその方で、転ぶことをあまり重大に思ってないようなところもあるんですが(笑)。

まずは「寝てるところから、起き上がって……」っていう基本の動作から今はつくっていこう、と僕は考えてます。

理学療法士はそういう基本的な動作――“起きる”、“立ち上がる”、“歩く”等――に重きを置いてアプローチしていく職業なんです。

ただご自宅だと、外でリハビリするよりも、ちょっとだらけてしまうってところがどうしてもあるんですよね。

そこをなるべくだらけてしまわないように――その上で、「安全に過ごせるようにどんなふうに関わるといいのかな」って考えながら関わってます。

やっぱり、家で生活している方にとっては、僕がいない時間の方が多いので。

ご家族さんと相談しながら、その方の生活習慣も理解しながら、悩んでる最中です(笑)。

病院にいる時は「退院ができるように」という目標に向けてリハビリをしてきました。

でも今は、安全に、安心して、その人らしく生活してもらう――ご本人さんの意見を取り入れながら、そこに重きを置いて関われているところがあります。

―お家の中のリハビリというのは、お家の中の家具を使ってされるんですか?

そうですね。たとえば、部屋に置かれているソファーの背もたれを触って歩いてもらったり。キッチンだったら、キッチンを触りながら、とか。

病院で働いていた時は、手すり等が整っていたので、環境的にリハビリがしやすかったんですが、実際、そういう環境がお家にあるかというと、ほとんどないことが多いです。

でも在宅で関わると、生活の中のリアルな形で練習やリハビリができるので、ご本人さんはもちろん、ご家族さんとも相談しながら、「こういう運動もありますよ」っていう提案ができる機会も多いです。

「こういう所に気をつければ歩きやすい」っていう確認をみんなでしながらできるところが、在宅のリハビリの強みとしてはあるのかな、と感じます。

CHAPTER5

相手の立場になって物事を考えること、クライアントにとっての“ベスト”をみんなで探っていくこと

客観的に観ること――クライアントご本人の希望と、僕自身の見解の間でギャップが大きくならないように

―田代さんは、今、お仕事の中ではどんな瞬間に嬉しさを感じていますか?

みなさん、リハビリをした最後に「本当、あんたにリハビリしてもらってよかったさー」って、さらっと言ってくれるんですよね。

ありがたいことに、いろんな方に言ってもらっているので(笑)。
その時は「やっててよかったな」って感じますね。

―医療や福祉、介護の仕事は常に“人”が真ん中にいます。田代さんは、仕事や生活の中で人と関わる時、どんな部分を大切にされていますか?

「相手の立場になって物事を考えること」には重きを置いています。

プライベートで人と話したり、友達と話をしてる時も「こんなふうに伝えるとこの人に響きやすいかな」っていうところをいつも考えながら、言葉を選んでいるところがあるかもしれません。

―介護の仕事に就かれて8年目になるとお聞きしました。その中で、仕事を通して田代さんが変わってきた部分があったら教えてください。

この職業に就いて変わったな、と思うのは――主観的に判断することよりも、客観的に物事を判断することが多くなってきたところがありますね。

もちろん、リハビリをする本人に対して、「この人には、杖なしで歩いてほしい」っていうような主観的な希望を持ってしまうことはあるんです。

ただ、本人がそこまで目指してなかったり、ご病気の内容によっては回復そのものが難しいところがある方も中にはいらっしゃるので、そこはご本人の希望と僕自身の見解の間でギャップが大きくならないように、客観的に観ることを大事にしてきました。

それでも、ご本人の中で目標として掲げてるところもあるとは思うので、そこは僕自身でもバランスも取りながら――ただ、客観的に見ることそのものはすごく増えてきましたね。

―病院で働かれていた時と、訪問看護で働かれている中でのやり取りやコミュニケーションの取り方に違いはありますか?

以前働いていた病院だとお医者さんが常に近くにいらしたので、直接確認ができるところは大きかったなと思います。

訪問看護だとお医者さんとの相談は、電話での相談が主になってくるので、直接動きを見てもらってアドバイスをいただくことはできないんですよね。

なので、そこは病院でのリハビリをする上でメリットとしてはありました。

逆に訪問だと、事業所内ではスタッフのみなさんと意見交換をしながら関わっていますし、疑問に思ったら、ケアマネージャーさんから情報をもらえたり、相談をしながら関われます。

連携が多くなるクライアントさんもいますが、多い分、いろんな情報には触れられるので、それぞれの意見を汲み取りながら関わることは心がけていますね。

ご本人はもちろん、ご家族と、僕たちの意見もあって、そこを調整しながら――ではあるんですが、僕たちも「ああかな、こうかな」とその都度考えながら、ご本人にとってのベストなところを探っていくのが面白いな、と思えるところがあります。

CHAPTER6

「人と話したり、関わることが好き」な僕にはうってつけの仕事

仕事もプライベートも、どっちも全力投球で――自分らしく働いていくにはそれが大事

―お休みの日はどんなふうに過ごされているんですか。

休みの日は、車を洗うのがめちゃくちゃ心の整理なんです。
ので、暇さえあれば毎週車を洗って(笑)。

そこから時間があったら、映画が好きなので映画館に行ったり、ドライブに出かけたりして、リフレッシュしてますね。

―これからのところを少し伺えればなと思います。今働かれているナーシングプラス土屋沖縄で、今後こんなことができたらいいなという思いがありましたら聞かせてください。

今、事業所内でリハビリを担当している理学療法士は僕1人なので、作業療法士さん等のメンバーがもう少し増えて、いろんな方向からリハビリを提供したり、アプローチができるような事業所になっていけたらいいですね。

その人が希望する生活のサポートを続けて、利用者の方から「土屋にお願いしてよかった」って言っていただけるような事業所――今後もそれを目標に続けていけたらいいな、と思います。

―一緒に働いているのはどんな方たちなんですか。

スタッフがみんなすごくいい人たちなんです。

協力的で、それだけでも大きな出会いですし、みなさん僕よりも経験を積んでらっしゃる方たちで、頼りがいのある方たちなので、困ったら相談ができる環境があります。

看護師さんが7名、理学療法士として僕がいて、スタッフは全員で8名なんですが、リハビリに関しては逆に僕が詳しいところもあるので、みなさんと相談をしながら、利用者の方とお家でできる運動を僕から提案したり、運動の冊子を作って渡したりもしました。

―冊子を作られたんですか?

そうなんです。
ストレッチのやり方や体の動かし方――座ってできる体操とか――を3つぐらい、わかりやすくイラストを入れて作りました。

注意点も入れたりして、利用者の方のお家に持っていって、たまに一緒にやったりしてますね。

―その冊子をお家で見ながら、自分でもできるような。

そうですね。「それぞれやってくれたらいいな」って思います。

―田代さんご自身のこれからはいかがですか?「こんなふうに働いていきたいな」とか、「こんなことやってみたいな」というところがあったら。

僕としては――コロナ禍があって、「旅行に行きたい」と思っていた年がコロナ禍に当たっちゃったんです。

でも今は転職して2年ほど経って、仕事にも慣れてきました。

僕はもともと「いろんな世界を見てみたい」っていう思いがあるんです。
プライベートも充実させることで、仕事も充実できたらいいな、と思ってます。

ひとまず、「近いうちに海外旅行に行きたいな」っていうアバウトな目標は立ててます(笑)。

―具体的には……?

「ヨーロッパに行きたいな」っていう思いがずっとあって。
フランスとか、イタリアとか、オーストラリアにも行ってみたいんですよね。

「ヨーロッパの街並みを見てみたい」っていうのと、その土地の食べ物を食べたいです(笑)。

―田代さんにとって、看護や医療、福祉の仕事を続けている原動力になってるものがどんなところにあるのか……を伺えれば嬉しいです。

僕としては、「この、リハビリっていう職業が好き」というか――たぶん、いちばんは「人と話したり、関わることが好きなのかな」と思っているので、そこが今の僕には、うってつけの仕事なんじゃないかなと思います。

そこがあって、続いているんでしょうね。

あとはみなさんから、「あんたがやってくれてよかったさー」って言ってもらえるのがかなり原動力になってますね。

―訪問看護ナーシングプラス土屋のロゴにも「自分らしく生きるを支える」という言葉があります。
クライアントの“その人らしさ”を守ると同時に、働く側の“自分らしさ”について、それから“土屋らしさ”ってどんなところにあるのか、を最後に伺ってみたいです。

そうですね、“自分らしく”……。

自分が思っていることや悩んでいることをみんなに相談して解決していくこと。

それから、働く時は働いて、プライベートはプライベートを楽しんで、「ON OFF」を切り替えながら働き続けていくのが理想かな、と思っています。

やっぱり、仕事も楽しいので。

仕事があるからプライベートも充実するし、プライベートがあるから仕事に身が入る――っていうことも最近すごく思うので、どっちも全力投球でいけたらいいな、って。

自分らしく働いていくにはそこが大事なのかな、と感じてます。

それから、“土屋らしさ”については――在宅で暮らしているクライアントさんの生活をいちばんに考えて関われるところはやっぱり訪問看護という仕事の魅力だな、と感じています。

訪問看護での関わりを通して、今までよりもっと内容濃く、みなさんが自分らしく在宅で生活していただけたら嬉しいですし、クライアントさんはもちろん、僕たち働く側も自分らしく生活をしていく――そこを今、それぞれの場所でつくってるんだと思います。

これからは、それぞれのところから“土屋”として、もうすこしでかいピラミッドをつくっていくような――そこに僕も力を貸せたらいいなと思っているので。

クライアントも働く側も満足して、そうあることで働き続けていけたらいいな、と思います。


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