介護業界で働くために必要!認知症の介護基礎研修が義務化って知ってる?

令和の時代において、非常に需要が高まりつつあるサービスが「介護」です。

日本の人口の超高齢化、また医療の発達に伴う寿命の伸びに比例して、年々介護を必要としているクライアントの数は増え続けているのが現状です。

ニーズの高まりを受けて急ピッチでサービスの拡充や業界への参入が相次いでいる介護ですが、この度あらためて「認知症介護基礎研修」がアテンダントに対して義務付けられたことはご存じでしょうか。

今回は今まで以上に社会からの必要度が増している認知症クライアントに対する介護と、新しく義務付けられた介護基礎研修についてご紹介していきます。

目次

認知症クライアントに対する介護

認知症は、脳の神経細胞の働きが鈍くなることによって認知機能に異常をきたし、社会生活が困難になる症状を意味します。

日本では2012年の時点で、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症を発症していると推計されています。

年齢を重ねることによるもの忘れ(健忘症)とは異なり、認知症によるもの忘れには自覚症状がありません。

記憶力や判断力が低下することによって日常生活の様々な場面で支障をきたす可能性があり、また健忘症よりも症状の進行が早いことから、介護福祉サービスを必要とするクライアントが多くいらっしゃいます。

今後も人口比率における高齢者や後期高齢者の割合が高まることが予想される日本では、介護と認知症の関係値がさらに深まると考えられます。

【参照】知っておきたい認知症の基本(政府公報オンライン)

認知症について正しい知識をもって介護を

認知症の発症にともなって介護を必要とするクライアントが増加の傾向にあるなかで、厚生労働省は2015年度に新オレンジプランと呼ばれる「認知症施策推進総合戦略」を策定しました。

この戦略により、認知症の人を介護するために必要な基礎知識や基本技術の習得を学ぶことができる「認知症介護基礎研修」が2016年より開始されました。

さらに2021年4月の介護報酬改定に伴って、無資格のアテンダントは認知症介護基礎研修の受講が必須となりました。

2024年3月末までは経過措置期間として未受講のアテンダントも介護事業所に勤務することができますが、2024年4月以降は無資格かつ認知症介護基礎研修のアテンダントは勤務ができなくなりますので、注意が必要です。

認知症クライアントに対する、介護基礎研修の基本情報

あらためて認知症介護基礎研修の重要性がわかったところで、実際に受講が義務付けられているアテンダントや研修などについて確認していきましょう。

対象となる受講者

認知症介護基礎研修の受講が義務付けられているのは、介護サービス事業所で直接的に介護を提供する立場にある、無資格のアテンダントです。

全てのアテンダントは、認知症介護基礎研修を受講していない場合、2024年4月以降は勤務をすることができなくなります。

ただし、一部のアテンダントは研修の受講が免除されています。

対象となるのは、以下の要件に当てはまるアテンダントになります。

  • 福祉用具貸与もしくは居宅介護支援の事業所に勤務するアテンダント
  • 医療・福祉に関する国家資格保持しているアテンダント
  • 介護職員初任者研修に代表される、介護の公的研修を修了したアテンダント
  • 福祉系高校や養成施設で認知症に関する科目を受講しているアテンダント

新しく入職したアテンダントの場合

先ほどご紹介した通り、2024年4月以前にアテンダントとして勤務している無資格者の場合は、2024年4月までに研修の受講が必須となります。

2024年4月以降に新しく事業所に勤務することになったアテンダントの場合は、入職から1年以内に研修を受講する必要があります。

新卒・中途を問わず、上記の受講免除者に該当しない場合は入職してから1年以内に認知症介護基礎研修を受講しなくてはいけません。

ただし介護職員初任者研修など他の介護に関する研修を受講する予定がある場合は、介護職員初任者研修の修了をもって介護基礎研修が免除となります。

先輩アテンダントや事業所側とよく相談し、計画的な研修の受講を行いましょう。

研修の日数

認知症介護基礎研修は、厚生労働省が管轄する公的研修の一種です。

実際に研修を取り仕切っているのは、市区町村などの地方自治体になります。

勤務する事業所が所在している自治体によって、研修のスタイルや研修時間が異なりますので、一度確認をしてみましょう。

研修のスタイルは集合型研修とオンライン型(eラーニング)研修の2種類が一般的です。

集合型研修の場合は講義3時間+演習3時間の6時間前後、オンライン型研修の場合は動画視聴2.5時間+確認テストの半日程度というケースが多く見受けられます。

一部の自治体では集合型研修とオンライン型研修のハイブリット型を採用していることもありますが、基本的には半日~1日以内が研修の受講に必要な日数になります。

受講にかかる費用

研修のスタイルや日数と同様に、受講にかかる費用も自治体によって様々です。

目安としては1,000円から5,000円が相場となっています。

事業所に勤務しているアテンダントの場合、受講にかかる費用を事業所が負担する場合や、勤務の一環として有給などを使用せずとも研修に出席できる場合もあります。

今一度研修を受講する前に、状況の確認を行っておきましょう。

全ての認知症クライアントが尊重される社会へ。介護基礎研修の受講を忘れずに。

認知症が理由で介護を必要とするクライアントの数が増加傾向にある日本では、介護に携わる全てのアテンダントが認知症に対する正しい知識をもってサービスを提供することが大切です。

認知症の症状に対する理解と正しい接し方を学ぶことができる認知症介護基礎研修は、介護に関係する資格を保持していなかったり、研修を修了していないアテンダントにとって、とても大切な学びの機会です。

2024年4月からの受講義務化を前に、まだ認知症介護基礎研修を受講していないという方は、改めて自分が受講対象者であるかどうかを確認し、必要に応じて受講の申し込みを行いましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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