「60歳なのに物忘れが多くなって不安」「認知症は60歳でもなる?」とお悩みではないでしょうか。
この記事では、認知症は60歳でもなるのかを紹介しながら、認知症の要因となる病気についても解説します。
また若い方の認知症とご高齢の認知症の違い、相談窓口についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
認知症は60歳でもなる?
結論からいうと認知症は60歳でもなります。
一般的に認知症は65歳以上の方が多いですが、65歳未満の方でも認知症になることがあり、若年性認知症といいます。
2020年3月に厚生労働省から発表された資料によると、全国の若年性認知症の数は3.57万人と推計されています。
18歳から64歳の人口における10万人あたりの若年性認知症の数は50.9人です。
また女性よりも男性のほうが多い傾向にあります。
若年性認知症の要因となる病気
なぜ若年性認知症になるのかというと、要因となる病気があります。
要因となる病気を割合の多い順に紹介します。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- 前頭側頭型認知症
- 外傷による認知症
- レビー小体型認知症/パーキンソンによる認知症
それぞれ詳しく紹介します。
1.アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が減り脳が萎縮することで症状が現れる病気です。
アミロイドβという異常なタンパク質の蓄積と、神経原繊維変化(過剰にリン酸化されたタウタンパクの蓄積)の2つが特徴です。
もの忘れや、職場・家事などのミスなど、小さな変化から発覚しやすいです。
2.血管性認知症
脳梗塞や脳出血など、脳血管の病気によって発症する認知症を脳血管性認知症といいます。
脳の血管が詰まる脳梗塞は、脳に酸素と栄養が行き届かないことにより脳神経細胞が働かなくなります。
脳出血は脳の血管が破れることにより、脳神経細胞を壊したり圧迫したりします。
血管性認知症は脳卒中の発症と共に症状が出現するので、突然認知症の症状が表れるのが特徴です。
3.前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、脳の一部である前頭葉や側頭葉が委縮することで症状が現れる認知症です。
タウタンパクやTDP-43というタンパク質が異常に変化し蓄積されることで、委縮が起きるといわれています。
前頭葉は社会性・人格・言語を、側頭葉は記憶・聴覚・言語をつかさどります。
症状は社会性の欠如や人格の変化、同じ行動を繰り返したり自発的な言葉が出にくくなったりするのが特徴です。
4.外傷による認知症
外傷による認知症は、打撲や事故など脳に外傷を受けたことがきっかけで発症する認知症です。
また過去に脳に外傷を負った人は、そうでない人と比較すると認知症になりやすいことがわかっています。
5.レビー小体型認知症/パーキンソンによる認知症
レビー小体型認知症は、脳の神経細胞にレビー小体というタンパク質の塊が蓄積し、このレビー小体が神経細胞を傷つけることによって発症する認知症です。
パーキンソン病は体をスムーズに動かすドパミン神経細胞が壊れ、ドパミンの生成量が減ることで発症します。
パーキンソンの症状が発現して1年以内に認知症を発症した場合はレビー小体型認知症、認知症の発症が1年以上の場合はパーキンソンによる認知症と診断されます。
若年性認知症と高齢者認知症の違い
若年性認知症と高齢者認知症は発症年齢が異なることから、起こりうる問題も違ってきます。
若年性認知症によって起こりうる問題を紹介します。
仕事や家計に影響がでやすい
60歳は定年前であり、現役で働き収入を得ている方が多いです。
認知症を発症すると仕事に支障が出ることがあり、これまで通り働くことができず、家計に影響が出ることがあります。
受診が遅れやすい
もの忘れや仕事のミスがあっても「疲れているから」と思い、受診が遅れることがあります。
また更年期障害によるイライラ・不安感や、うつ状態だと思いこんで医療機関を受診するため、誤った診断がついたまま過ごすこともあります。
介護者の負担が大きい
結婚されている場合、介護者は配偶者となることが多いです。
仕事をしている配偶者の場合、仕事と介護の両立が大変となるでしょう。
両親や義両親に介護が必要な状態であると、介護者の介護負担がさらに増えることになります。
また認知症のご本人が家族介護をしている場合、家族介護を今後どうするかも考えなくてはなりません。
認知症は医師による診断が必要
認知症は専門の医師による診断が必要であり、診断がないと会社の福利厚生や行政サービスを受けられないケースがほとんどです。
認知症の診断ができる医療機関は、認知症外来や物忘れ外来がある病院や、神経内科、精神科、心療内科のある医療機関で可能です。
外来は予約が必要な場合がありますので、事前に医療機関に問い合わせましょう。
認知症の診断を受けたら相談窓口で相談を
若年性認知症と診断されると、今後の生活に漠然とした不安を抱くでしょう。
専門の相談窓口で不安な点を相談すると、経済的問題や療養生活などに関わるアドバイスをしてもらえます。
相談は以下の場所で可能です。
- 医療機関のソーシャルワーカー
認知症の治療や経済的問題、自宅で受けられる行政サービスの相談援助をします。
- 最寄りの地域包括センター
介護に関わるあらゆる相談援助をします。
- 市区町村の窓口
介護保険サービスや障がい者福祉の制度について相談援助をします。
- 若年性認知症支援コーディネーター
全国の都道府県に設置されており、相談内容に応じて制度やサービスを紹介しています。
また会社によっては、病気による福利厚生を受けられるケースもあります。直属の上司や福利厚生を取り扱っている部署へ相談しましょう。
認知症の疑いがあれば医療機関へ受診しよう
認知症は60歳でもなることがあり、若年性認知症といわれます。
若年性認知症は病気により発症し、病気によって症状や発現する期間も異なります。
まずは認知症か他の病気かを判別するために、専門の医療機関へ受診しましょう。
すみやかに受診することで適切な治療ができ、将来のライフプランも早めに考えられます。
また若年性認知症は高齢者の認知症とは違う問題を抱えるため、今後の生活に不安を抱くことがあります。
記事で紹介した相談窓口を活用し、少しでも不安が軽減できるように環境を整えましょう。